スポーツ種目別・練習形態別の衝撃度実験によるスポーツフロアの性能劣化指標の構築
Project/Area Number |
18K10827
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59020:Sports sciences-related
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
野川 春夫 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 特任教授 (70208312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝田 隆 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ研究部, 主任研究員 (20254807)
工藤 康宏 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 先任准教授 (30410864)
田中 登志雄 (柳谷登志雄) 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 先任准教授 (70329077)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2020: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2018: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
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Keywords | 床板剥離事故 / 木製瑕疵感知システム / 共用木製体育館 / スポーツフロア事故 / AI機能搭載瑕疵検知システム / 性能劣化 / 管理劣化 / 予防保全 / スポーツフロア / 床板剥離 / スポーツ事故 / フロア画像診断システム / AI搭載フロアドクター / 体育館総合診断システム / 衝撃度 / スポーツ種目 / フォースプレート / 安全管理 / 性能劣化指標 / 衝撃度実験 / 共用体育館 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年に西が丘ナショナルトレセン(NTC)の体育館において発生した木製床板剥離(31針を縫う大ケガ)の後も公共体育館の床板剥離事故は止まらず事故原因の確定に至っていない(表1参照)。床板剥離のメカニズムと木製疲労の点検法の確立を試みたが、実験方法の複雑さと高額な実験費用のため、床板剥離のメカニズム究明から方向を転換し、予防保全の基礎となる床板剥離を引き起こす瑕疵(亀裂、打痕等)の感知システムの開発を進めてきた。 木製床板の剥離を引起す瑕疵の感知は、専門家の「眼」でも見落とされやすいことから、床板の下地メーカーおよび建設工学のベンチャー企業と共同で「機械の目」を使った『AI機能搭載瑕疵感知システム』の開発に着手し、2020年1月から試作品(仮称・フロアドクター)を使った実験データ収集とデータ解析を開始した。また「瑕疵の感知」に加えて『瑕疵の重篤度』の判断基準(診断システム)が必要なことから、診断システムの開発を可能とする縦断的データの蓄積を進め、『AI機能搭載瑕疵感知・診断システム』構築の基盤形成に取り組んでいる。 木製スポーツフロアの瑕疵感知システム開発には豊富なデータの蓄積が必要なため、使用頻度別・利用種目別・利用者別の複数の共用体育館を対象にしたデータ収集を計画した。また、性能劣化または管理劣化を確認するために調査対象の体育館において定点観測の準備をしてきた。 2020年度は、COVID-19による公共施設や学校施設の閉館によって、2020年度は都内の公共体育館2ヵ所と大学の共用体育館及びNTCの共用体育館のみのデータ収集を行い、AI機能搭載のフロアドクターの瑕疵感知レベルは約90%であることから、感知レベルの改善に取り組んでいる。なお、本研究は、企業との共同研究であり、企業秘密を厳守する立場から現時点での研究知見の公表・論文化を控えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新たなシステム開発には豊富なデータの蓄積が必要だが、2020年度はCOVID-19による公共施設や学校施設の閉館あるいは厳しい使用制限によって、都内の公共体育館2ヵ所と大学の共用体育館及びNTCの共用体育館しか撮影実験ができなかった。データ量が少ないことが進捗状況に大きな影響をもたらしている。また、COVID-19 による公共体育館施設の利用が極端に減少したため、定点観測の必要性が生じなかったことから、フロアドクターの瑕疵感知能力(信頼性)の追試ができていない。 木製共用体育館を使用頻度別・利用種目別・築年数別・フロア材質別等に分類して、様々なレベルの木製床の撮影実験を予定していたが、COVID-19の感染拡大によって撮影実験が当初の目標をはるかに下回ったため、フロアドクターの瑕疵感知力の妥当性と信頼性を確認するまでに至っていない。 フロアドクターによる瑕疵感知システムでは、木製スポーツフロア特有の板目の模様による誤認と館内の照明・照度の違いによっても誤認がいくつか発生した。いわゆる「機械の目」も騙される可能性があることが明らかになったので、これまでとは異なる共用体育館のデータ収集が必要になった。また、フロアドクターで瑕疵を感知してもその瑕疵(亀裂・ひび割れ・打痕・反り・浮き等)が床板剥離にどの程度つながるかの重篤度についての診断までには至っていない。瑕疵診断システムを同時並行で構築することが求められる。
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Strategy for Future Research Activity |
3回目の緊急事態宣言が発出され、公共の社会体育・スポーツ施設だけでなく学校教育施設においての利用が大幅に制限されるので、前年度同様に多種類(使用頻度別・利用種目別・利用者別)の共用体育館を対象とした木製床の撮影実験は厳しいことが予測される。したがって、床板剥離が最も多く発生するバレーボール中心利用の体育館、バスケットボールのゴール移動(用器具庫からの出し入れ)が頻繁な体育館、車いすスポーツを行う体育館を実験対象として、フロアドクターの瑕疵感知力を改善しながらデータ収集を行う予定である。 また、2021年4月下旬にバスケットボールゴールの落下(中学生軽傷)と校庭の防球ネット支柱の倒壊事故(児童死傷)が発生し、学校内の運動施設の緊急点検が行われている。財源不足により老朽化が一層進む公共体育館において、児童・生徒及び市民を床板剥離事故から守る『予防保全』の観点から、体育館のスポーツフロアだけでなく内壁や天井の劣化度を研究協力者が開発中の360度高感度カメラ(3D)を使って、実験調査対象の体育館(4施設)の各内壁の壁面と天井を撮影し、瑕疵のある部分を特定した後に瑕疵の重篤度を確認する。 さらに共用体育館の管理劣化度の状況を明らかにするために、公立学校及び社会体育施設の担当者に対して、スポーツ庁(2017)「体育館床板の剥離による負傷事故の防止策に関する取組状況調査」をベースに、スポーツフロア及び内壁・天井の維持管理状況を加えた質問紙調査を実施し、公共共用体育館の『管理劣化度』と『経年劣化度』の現状を明らかにする。
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Report
(3 results)
Research Products
(14 results)