東方キリスト教における「説教」の研究:聖と俗の架橋としての「説教」
Project/Area Number |
18K12206
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01030:Religious studies-related
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
袴田 玲 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 講師 (30795068)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2019: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2018: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
|
Keywords | グレゴリオス・パラマス / フィロテオス・コッキノス / ビザンツ / 説教 / 一般信徒 / 女性 / マリア / 東方キリスト教 / 宗教学 / キリスト教 / 正教 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度に続いてグレゴリオス・パラマスの説教テクスト、コッキノスによる『パラマスの生涯』や『イシドロスの生涯』、グレゴラスよびカンタクゼノスの両者による『歴史』、公会議文書の読解を継続した一方、ディミトリオス・キュドネスとニコラオス・カバシラスの書簡やカバシラスのマリア説教も精読し、パラマスとイシドロスの一般信徒に対する教導の内容とその活動についての分析と併せ、帝国末期のビザンツ正教において隆盛したマリア崇敬とそのへシュカスム運動との関連についても明らかにした。 2022年8月には、新型コロナウイルス感染症の流行により2年にわたって延期されてきたInternational Byzantine Studies Congressがイタリア共和国において開催され、報告者も口頭発表Gregory Palamas and the Universalisation of Hesychasmを行った。同月末には2年半にわたる英国オックスフォード大学での在外研究を終えて帰国し、9月にはキリスト教史学会でシンポジウム「古代・中世キリスト教における女性イメージの多様性」にパネリストとして参加し、口頭発表「グレゴリオス・パラマスのマリア像:人間の救済におけるマリアの主体的・積極的役割について」を行った。その後、2023年1月に開催された国際学会THE 14TH INTERNATIONAL SYMPOSIUM FOR FUTURE TECHNOLOGYでの口頭発表Theotokos (Virgin Mary) as Remedy for Human Beingを含め、本年度中に合計5本の国内・国際学会発表を行った。 さらに、2023年3月には、新型コロナウイルス感染症の流行のため延期してきたギリシャ共和国およびトルコ共和国における現地調査も実施し、資料収集や現地研究者との研究交流を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は新型コロナウイルス感染症の流行のために当初計画より二年間繰越(延期)され、来年度が最終年度となるが、これまで延期されてきた国際学会や海外での現地調査が本年度に立て続けに実施されることとなり、これまでやや遅れていた研究が加速的に進められた。そのため、当初予定していた研究計画の大半は(予定していた年度とは異なるものの)実行することができたと考えている。本年度末に行ったギリシャやトルコでの現地調査で収集した資料等はまだ分析途中の段階であるが、来年度のなるべく早くに分析を終え、成果を発表したい。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究は来年度が最終年度となるが、これまでに収集した資料の分析は進め、ビザンツ帝国末期の正教思想における民衆教化の実態の解明に努め、その成果を論文の形にして学術誌上で発表することを目指す。また、本研究をこれまで進める中で明らかになってきた当時のマリア崇敬の実態について、カバシラスのマリア説教やコッキノスのマリア讃歌、反対にグレゴラスのマリア崇敬への否定的態度なども併せて考察したい。さらに、本研究課題を遂行する中で培った国際研究協力体制の土台を確かなものとし、今後も国際シンポジウムの共催や共同での論文執筆などを進めていきたいと考えている。
|
Report
(5 results)
Research Products
(28 results)