行動の結果を予測する順モデルの社会的拡張性の検討:責任能力の指標の開発に向けて
Project/Area Number |
18K13361
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 10030:Clinical psychology-related
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Research Institution | Chiba University (2022) University of Human Environments (2020-2021) National Center of Neurology and Psychiatry (2018-2019) |
Principal Investigator |
大隅 尚広 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (50737012)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2018: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 自己 / 虚偽 / 認知的葛藤 / 皮膚電位反応 / 行為主体性 / 意思決定 / 責任 / 感覚抑制 / 顔表情 / 感情 / 事象関連電位 / 道徳 / 統合失調症 / 脳波 / 責任能力 / 順モデル / 自己感 |
Outline of Annual Research Achievements |
司法において被告の責任能力の有無が問われる際に着目される心理的要件の1つに弁識能力がある。弁識能力とは、要するに、事物の善悪や行為の意味・性質を認識する機能のことである。行為の意味や性質に関する認識については、自らの行為によってどのような結果が生じるのかを予測する機能と言い換えることができる。本研究の目的は、このような機能の働きを客観的にとらえる指標の開発に向けて、自らの行為が引き起こした社会的事象に対して特異的な脳活動パターンを明らかにすることである。 令和4年度においては、社会的場面における反応のターゲットに対する自律神経系の反応が、反応の社会的意味に応じて変化するか否かを検討した。自律神経系の活動は、本研究課題において着目した感覚的情報処理の脳活動とは異なるが、注意、情動、動機づけなどの心理活動に応じて変化し、自己の行為に関連する情報処理を理解するうえて役に立つと考えられる。具体的には、情報隠匿検査を課題とする実験を行い、自己に関連する情報に対して虚偽の否定反応をする場合と正直な肯定反応をする場合、また、自己に関連しない情報に対して虚偽の肯定反応をする場合と正直な否定反応をする場合について、皮膚電位反応(SCR)を比較した。この実験の結果、虚偽の否定反応をする場合の方が正直な肯定反応をする場合よりも、自己に関連する情報に対するSCRが大きいことが示された。一方で、自己に関連しない情報に対しては、虚偽の肯定反応をする場合の方が正直な否定反応をする場合よりも大きなSCRが見られた。これらの結果を集約すると、一貫して自己情報に対して虚偽の反応をするときに生理的覚醒が大きく、自己と反応の不一致が認知的葛藤を生じさせる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では、行動の選択に対する他者の反応に対する脳活動ついて検討する予定であったが、所属機関の変更により、研究環境の確認と整備に多くのエフォートが割かれることとなった。計画していた脳波の測定を行うための環境が十分に整わない間は、測定する指標を自律神経系に変更して実験を行ったため、それに合わせて、実験で用いる課題についても変更せざるを得なかった。しかし、それらの制約の中で行った実験により、実験課題および測定指標の特性に応じて行為主体性の影響が表れることが見出され、研究目的を果たすために用いるべき方法について理解を深めることができたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度において、脳波を測定するための機器や消耗品の用意や、研究倫理審査での承認など、実験を行うための準備を整えることができた。実験のデザインは既にできているため、実験参加者の募集ルートを確保して本実験を実施していくことにより、研究目的の達成に向けて進展させることができると考えている。
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Report
(5 results)
Research Products
(14 results)