Project/Area Number |
19H00912
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 35:Polymers, organic materials, and related fields
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
櫻井 英博 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (00262147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
燒山 佑美 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (60636819)
福島 孝典 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (70281970)
岸 亮平 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 准教授 (90452408)
中野 雅由 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (80252568)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥45,760,000 (Direct Cost: ¥35,200,000、Indirect Cost: ¥10,560,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,280,000 (Direct Cost: ¥5,600,000、Indirect Cost: ¥1,680,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,280,000 (Direct Cost: ¥5,600,000、Indirect Cost: ¥1,680,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,280,000 (Direct Cost: ¥5,600,000、Indirect Cost: ¥1,680,000)
Fiscal Year 2020: ¥7,280,000 (Direct Cost: ¥5,600,000、Indirect Cost: ¥1,680,000)
Fiscal Year 2019: ¥16,640,000 (Direct Cost: ¥12,800,000、Indirect Cost: ¥3,840,000)
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Keywords | スマネン / ソフトマテリアル / 錯体高分子 / 一重項励起子分裂系 / スターフェン |
Outline of Research at the Start |
スマネンとは、フラーレンの部分構造、カーボンナノチューブのキャップ構造に相当する、お椀型湾曲構造を有する芳香族化合物であり、日本オリジナルの物質である。2003年の初合成以来、湾曲構造に由来するスマネンの持つユニークな性質について明らかにしてきた(研究1.0)。その知見を受け、スマネンやその類縁体、さらにはその集合体の特性を最大限に活用し、真に日本独自のマテリアルとして成長させるための発展研究(研究2.0)を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、フラーレンの部分構造に相当する、お椀型湾曲芳香族化合物「スマネン」をモチーフとして、そのユニークな性質、および集合体構造の特徴を生かし、真に日本独自のマテリアルとして成長させるための発展研究を行う。4つのテーマに対して、それぞれ簡潔に成果を記す。 ①新たな一重項励起子分裂系分子に関しては、単量体に関する基礎的な物性についての論文を報告した。また、2021年度に見出した、簡便なアザホモスマネンの合成法を、本系に応用する検討を行った。 ②スマネンの周縁芳香環部位に6ヶ所エステル基を導入した液晶が、同様の芳香環主骨格を有するトリフェニレンをメソゲンとする液晶とは全く異なる柔軟性有することを見出し、その原因が、お椀のカラムナー積層が本質的に有している自由度に由来していることを明らかにすることができた。このような現象は平面分子では不可能であり、お椀独自の物性発現を示すことができた。 ③2021年度にジフルオロスマネン単結晶の誘電応答特性を示したが、その続報として、ジフルオロスマネンとスマネンが共結晶を形成する性質を利用して、その構成比率を変化させることによって、結晶の誘電特性を制御できることを見出した。同種の構造を有する結晶で誘電特性を自在に変化させる例はこれまでになく、お椀ならではの特徴を活かした成果である。 ④スマネンの周縁芳香環をさらに伸長した、湾曲スターフェン(Curved Starphene)分子の合成に初めて成功した。今回の合成経路はジルコナサイクルを経由するので、既知の反応と組み合わせることで、様々なスターフェン様の分子群の合成を実現できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初設定していた4つのテーマについて、それぞれの進捗状況には多少差があるものの、いずれにおいても研究は進んでいる。 ①の一重項励起子分裂系においては、当初の分担研究者であった中野教授の逝去によって、研究ペースが遅れたことは否めない。しかしながら、合成面においては少しずつではあるが進展の芽が見え始めているので、最終年度での成果は大いに期待できる。 ②の液晶については、従来系と2021年度から始めた系、いずれにおいても成果が見出されており、最終年度では、いくつか重要な結果を報告できる状況にある。 ③の超分子系は最も順調に成果が出ている。 ④の合成については、スマネンの大量合成法の開発gが、担当学生の不在により再開の目処が立っていないが、その他の合成手法の開発では、順調に成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね当初の予定に従った研究が進行しているので、最終年度においても大きな柱の4つのテーマに変更はない。 ①一重項励起子分裂系については、1報目の理論論文に対応した実在系の分子合成は終了したので、それ以外のスマネンキノイド系などの合成と測定に注力する。 ②スマネンソフトマテリアルについては、これまでに明らかになってきた系について、最終成果の取りまとめに注力する。 ③錯体高分子については、孤立空孔を有するMOF系の合成に加え、溶液系での検討を可能にするケージ状錯体の合成も同時並行で実施する。またセシウムイオン特異的錯形成を利用した研究についても引き続き応用研究を行う。また、湾曲系COFの合成も引き続き検討する。 ④の合成については、スマネンベンジル位の官能基変換反応に進展が見られているので、最終年度に成果としてまとめる。
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