海洋酸性化が沿岸生物の世代交代、群集・個体群構造に及ぼす長期影響評価
Project/Area Number |
19H04288
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 63040:Environmental impact assessment-related
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
高見 秀輝 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(塩釜), グループ長 (50371802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 正裕 公益財団法人海洋生物環境研究所, 海生研実証試験場, 研究員 (20444870)
井上 麻夕里 岡山大学, 自然科学学域, 教授 (20451891)
村岡 大祐 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(長崎), グループ長 (30371800)
小埜 恒夫 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), 主幹研究員 (40371786)
酒井 一彦 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (50153838)
井口 亮 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (50547502)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2020: ¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
Fiscal Year 2019: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
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Keywords | 海洋酸性化 / 順化・適応 / 長期飼育 / 継代飼育 / 沿岸生物 / キタムラサキウニ / 造礁サンゴ類 / 世代交代 / アマノガワテンジクダイ / 順化 / 適応 |
Outline of Research at the Start |
人為起源二酸化炭素がもたらす海洋酸性化の生物への影響評価については、短期間の飼育実験による生物の応答を基準としており、一方で比較的長寿命の生物における長期的な影響については不明な点が多い。本研究では、沿岸生態系で中心的な役割を果たすウニ類、造礁サンゴ類、魚類に焦点を当て、産業革命前の280 ppmから将来大気濃度の2000 ppmまでの範囲で複数の二酸化炭素濃度を段階的に設定した海水中で、数年レベルの長期的な飼育実験を実施し、各発育段階や世代交代などにおける生理・生態特性の変化を比較する。得られたか結果から酸性化への順化・適応過程の可能性を明らかにする共に、応答が起こるメカニズムを解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
二酸化炭素濃度を1000ppmおよび2000ppmに調整した海水と約400ppmの原海水(対照区)で4年間飼育したキタムラサキウニを親として用い、対照区の親から得られた子世代を1000ppmと2000ppmで飼育する実験区(非順化区)と、1000ppmと2000ppmで飼育した親から得られた子世代をそれぞれ親と同じ濃度で飼育する実験区(順化区)を設定した。各実験区の子世代について、受精後8日目の八腕期浮遊幼生の段階で腕長を比較した結果、2000ppmの非順化区のみ対照区と比較して平均値が低下した。以上から、幼生期における酸性化環境への順化・適応については2000ppmで影響が出る可能性が考えられた。親ウニの棘の微量元素の経年分析の結果から、幼生期は成熟個体よりも棘のMg/Ca比が高くなる傾向にあることが示唆された。造礁サンゴの三種の長期飼育実験に向けて、異なる二酸化炭素濃度条件で短期飼育実験を実施した。その結果、これらサンゴ種の長期飼育条件が明らかとなり、海水酸性化にエダコモンサンゴが最も脆弱であることが判明した。遺伝子解析について、サンゴのトランスクリプトームデータから、サンゴと褐虫藻に加えて、他の内在生物の遺伝子データの分離を行い、各生物での発現量マトリックスの作成を進めた。褐虫藻組成に関しては、ストレス暴露処理間では明瞭な差異は見られなかった。キタムラサキウニに関しては、ストレス暴露処理サンプルのRNA抽出を行い、RNA-seqによるショートリードデータの取得に成功した。魚類に関しては、トランスクリプトーム解析に向けたサンプル処理の準備を進めた。 二酸化炭素濃度の精度管理については、船舶観測用pCO2計を用いて飼育水のpCO2レベルを直接測定し、飼育実験装置のpCO2制御装置に生じたずれの検出とずれ補正式の作成を行いより精度の高い濃度管理が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
キタムラサキウニの飼育実験では、新型コロナウィルス感染拡大により、共同研究者の実験施設への立ち入りが制限され、計画よりも約1年の遅れが生じた。他のサブテーマに関しては概ね計画通り進捗した。
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Strategy for Future Research Activity |
キタムラサキウニでは、昨年度に引き続き親世代が経験した海洋酸性化環境が子世代へ順化・適応する過程を明らかにするため、酸性化環境で 飼育中の親ウニから得られた配偶子によって次世代のウニを生産し飼育する。得られた結果から、親が経験した酸性化環境が子世代の生残・成長に及ぼす影響について詳細に明らかにする。また、ウニの棘の微量元素を分析する際には飼育海水のMg/Ca比も分析し、pCO2の変化に伴って海水の成分が変化しているかどうかを確認する。棘の分析と同様に海水の分析も進め、より多角的にpCO2が与える棘への影響を考察していく予定である。造礁サンゴ類に関しては、引き続き遺伝子解析用サンプルの追加も行いつつ、取得済みのトランスクリプトームデータの解析を進め、論文化を進める。ウニ類・魚類に関しては、再度ストレス暴露実験サンプルの確保を行いつつ、遺伝子発現量の定量化とストレス暴露との関連について明らかにする。飼育実験系の二酸化炭素濃度精度管理は今後も着実に必要に応じた精度管理を実施する。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Perspectives on in situ sensors for ocean acidification research2019
Author(s)
Sastri, A., Christian, J.R., Achterberg, E.P., Atamanchuk, D., Buck, J., Bresnahan, P., Duke, P.J., Evans, W., Gonski, S.F., Johnson, B., Juniper, K., Mihaly, S., Miller, L.A., Morley, M., Murphy, D., Nakaoka, S.-i., Ono, T., Parker, G., Simpson, K., and Tsunoda, T.
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Journal Title
Frontiers in Marine Science
Volume: 6
Pages: 653-653
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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