Project/Area Number |
19H05618
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Broad Section C
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Research Institution | Osaka Metropolitan University (2022-2023) Osaka Prefecture University (2019-2021) |
Principal Investigator |
藤村 紀文 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (50199361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 武 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (30405344)
是枝 聡肇 立命館大学, 理工学部, 教授 (40323878)
佐藤 琢哉 東京工業大学, 理学院, 教授 (40451885)
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Project Period (FY) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥203,060,000 (Direct Cost: ¥156,200,000、Indirect Cost: ¥46,860,000)
Fiscal Year 2023: ¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2021: ¥32,500,000 (Direct Cost: ¥25,000,000、Indirect Cost: ¥7,500,000)
Fiscal Year 2020: ¥55,770,000 (Direct Cost: ¥42,900,000、Indirect Cost: ¥12,870,000)
Fiscal Year 2019: ¥80,080,000 (Direct Cost: ¥61,600,000、Indirect Cost: ¥18,480,000)
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Keywords | 強誘電体 / 素励起 / 急峻スイッチトランジスタ / 固体熱ダイオード / コヒーレント状態 / 負性容量 / 電気熱量効果 / 熱マネジメントデバイス / 1 |
Outline of Research at the Start |
「強誘電体/半導体界面に生じる負性容量効果を利用した超低消費電力駆動不揮発FET」と「電気熱量効果を用いたモノリシック熱マネジメントデバイス」は,超低消費電力IoTシステムの構築に貢献できる革新的なデバイスとして大きな期待が寄せられている.一方でそれらのデバイスの動作に対する明確な物理描像は構築されていない.本申請では,高速で駆動するデバイス物性を評価する方法として,強誘電体に存在する多彩な素励起を利用する方法を提案する.申請年度内にフォノン・マグノンと熱波動のコヒーレンス状態を利用してnsec程度の高速で変化するデバイス物性の新しい評価方法を確立し,デバイスデザインに向けた指導原理を構築する.
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Outline of Annual Research Achievements |
「急峻スイッチトランジスタ(負性容量FET)動作の新しい物理描像」として,強誘電体/半導体界面における減分極電界と半導体表面に形成する空乏層の形成の影響であることを明らかにした.また、その機構解明に対して重要な情報である「分極保持中の内部電荷移動」の正確な評価法を開発した.コヒーレントフォノン/マグノンの評価において,素励起(電気分極)を伴うテラヘルツ電磁波(チェレンコフ放射)が試料内に伝播する様子を時間分解イメージングするシステムを構築した.このシステムを用いて,BiFeO3において電気分極を伴うテラヘルツ電磁波とマグノンの結合モードの空間伝播を時間分解イメージングすることに成功し,その生成メカニズムを明らかにした.マルチフェロイック物質であるBiFeO3における円偏光ラマン散乱分光では,試料内の互いに120°異なる方向を向く約20ミクロン以下のサイズの磁気ドメインの可視化に初めて成功した.また,顕微円偏光ラマン散乱分光法を用いて,単一の磁気ドメインにおけるマグノンの分光に成功した.さらに、正圧電応答顕微鏡法(DPRM)を用いて,空間分解能40 nm程度でのドメイン観察が可能であることが分かった.ただ、PLDを用いた高品質薄膜の作製が、ウクライナ情勢の悪化でNeガスが全く入手できなくなり試料作成が止まってしまった.強誘電体の電気熱量効果の計算機シミュレーションを行い,強誘電体薄膜を用いても高周波駆動することによって固体ヒートポンプとしての駆動が可能であることが明らかにした.熱波動測定では,熱グレーティング法を発展させ,約20Kにおける量子常誘電体であるSrTiO3にて,欠陥の少ない試料を用いることで、さらに寿命の長い明瞭なコヒーレント振動状態の熱波動(コヒーレント第二音波)の励起に成功した.また,熱ダイオードのシミュレーションでは熱波動の内部全反射を利用した一方向性デバイスのデモンストレーションに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
・HfO2系高品質極薄膜の作製が可能になっていたが、ウクライナ情勢の悪化でNeガスが全く入手できなくなり試料作成が止まってしまった.下記の素励起評価に向けた試料の供給がとまり、現状有している試料でのみ下記の研究を遂行することになり大幅に研究が遅れている。今だ、入手が難し状況なので、Heを用いた薄膜成長を始め、最初の条件だしから行っている。 ・試料作製と評価のグループ間交流もコロナ禍の移動制限のため,大きな後れが生じた.しかしながら,各グループ内で,薄膜試料に対応するための精密評価方法の確立や新たな素励起評価手法の開発など,新規な成果が次々と報告された.「マグノンと光との間の角運動量の授受」や「マグノンとフォノン・ポラリトンの時間分解イメージング測定」などに加えて,素励起(電気分極)を伴うテラヘルツ電磁波(チェレンコフ放射)が試料内に伝播する様子を時間分解イメージングするシステムを構築し,BiFeO3において電気分極を伴うテラヘルツ電磁波とマグノンの結合モードの空間伝播を時間分解イメージングすることに成功した。また,マルチフェロイック物質であるBiFeO3における円偏光ラマン散乱分光では,約20mm以下のサイズの磁気ドメインの可視化に初めて成功し,単一の磁気ドメインにおけるマグノンの分光に成功した.実験結果の詳細な解析から、BiFeO3におけるマグノンに対するラマンテンソル(複素ラマンテンソル)の導出に成功した. ・サーモリフレクタンス法とシミュレーションを組み合わせた解析に必要な電気熱量効果によって得られた熱の運搬・吸熱・発熱に関するデータの収集が可能になった.約20Kにおける量子常誘電体であるSrTiO3において,寿命の長い明瞭なコヒーレント振動状態の熱波動(コヒーレント第二音波)の励起に成功した.熱ダイオードのシミュレーションでは熱波動の内部全反射を利用した一方向性デバイスのデモンストレーションに成功した.
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Strategy for Future Research Activity |
1.高品質 HfO2系の作製条件の最適化検討が振出しに戻ったので、これまでに作成した試料を用いた変化へと方針転換する. 2.強誘電性自発分極の分極反転ダイナミクスおよび双安定性のパルス電場に対する過渡応答を電気的,誘電的に測定する. 3.フェムト秒光パルスを強誘電体に照射することで試料内外に放射されるテラヘルツ波を時間分解測定する系を構築し,テラヘルツ放射を伴う素励起(電気分極)の3次元的運動を得ることをめざす.4.BiFeO3における円偏光ラマン散乱分光ではマグノンと光との間で角運動量の授受があることがわかったが,その物理的な原理の詳細は不明である.理論的な側面からもアプローチを続ける.5.有機強誘電体材料内および有機強誘電体/電極界面での熱拡散に関して,サーモリフレクタンス法や過渡的熱グレーティング法とシミュレーションを組み合わせた解析を実施する.6.ピコ秒レーザーをポンプ光に用いるインパルシブ誘導熱/ブリルアン散乱システム用いてよりQ値の高いコヒーレント第二音波を発生させる. 7.二次元的な初期温度の振幅・位相パターン(熱ホログラフィ)や,時間変化するダイナミックな初期温度分布を励起することに挑戦する.それによって,熱の波動性をより顕著に引き出すことが可能となる. 8. 熱ダイオードについてはたとえば異なる熱波動速度を持つSrTiO3とKTaO3,あるいはSrTiO3とダイヤモンドなどで,臨界角を越える角度で接する境界面をシミュレートするなど,現実の物質での実現可能性を踏まえた考察を進める.
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Assessment Rating |
Interim Assessment Comments (Rating)
B: In light of the aim of introducing the research area into the research categories, progress in research has been delayed. Further efforts are required in future.
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