中国における農業経営の大規模化とその効率性に関する実証研究
Project/Area Number |
19K01642
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
寳劔 久俊 関西学院大学, 国際学部, 教授 (90450527)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2019: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 中国 / 農業経営 / 構造調整 / 効率性 / 農地 / 農業構造調整 |
Outline of Research at the Start |
農地権利保護の強化と非農業就業の増大、労賃上昇による農業機械化の普及を背景に中国では近年、農地流動化が急速に進展し、大規模経営を展開する新しい農業経営体も出現してきた。本研究では、農業経営の大規模化が著しい穀物生産に焦点をあて、中国の農業先進地域で穀物生産に従事する多様な経営体を対象に農業経営に関するアンケート調査を実施する。この調査データに基づき、異なる農業経営体間での生産効率性の格差に関する実証分析を行うとともに、経営規模や経営形態に応じて支給される補助政策の効果を費用便益の観点から検討することで、大規模化を促進する政策介入の効率性を検証していく。
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Outline of Annual Research Achievements |
農地権利保護の強化と非農業就業の増大、労賃上昇による農業機械化の普及を背景に、中国では農地流動化が急速に進展するとともに、新しい農業経営体も数多く出現している。本研究課題ではこの新しい農業経営体の参入による農業の構造的変化に注目し、「経営規模」(零細、中規模、大規模の経営体)、「経営方式」(農業協同組合への参加状況、大規模専業農家の有無、農業企業の有無など)という2つの分析軸を設定して、農業経営の効率性に関する比較研究を行うものである。 この研究目的を達成するため、昨年度(2021年度)から本年度(2022年度)にかけて、委託調査の形で実施した農業経営体に関するアンケート調査の結果に基づく考察を進めてきた。本アンケート調査は、江蘇省を3つの地区(蘇北、蘇中、蘇南)に分類し、各地区を代表する地域を選出した上で、それらの地域から合計で約600世帯を無作為に抽出する方式で行われた。 調査データに関する詳細なクリーニング作業と記述統計の集計作業に加え、集計値が実態と大きく乖離するケースについて、委託先に調査原票の確認作業と調査地への問い合わせを集中的に実施してきた。その結果、信頼性の高いデータベースの構築作業はほぼ完了した。それと同時に、研究書や学術論文、各種のマクロ統計や新聞記事データベースなどを利用して、中国における農業経営の実態について情報収集を行い、データ解析のための理論的枠組みと具体的な実証手法の検討も進めてきた。これらの作業を踏まえ、経営規模と経営方式という2つの分析軸を設定し、調査データベースを利用して経営状況に関する推計モデル(費用関数、利潤関数等)の実証作業を進めることで、経営規模と経営方式に応じた生産効率性の比較研究を実施してきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度(2022年度)は、中国国内における新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大と、それに伴う都市部のロックダウンが発生したため、当初予定していた調査対象地域での現地調査を実施することはできなかった。その一方で、中国側とはオンラインで連絡を密に取りながら、アンケート調査に関する詳細なデータ・クリーニング作業と集計作業を集中的に行い、信頼性の高いデータベースを構築する作業を進めてきた。 そしてアンケート調査の結果に基づき、経営規模と経営方式という2つの分析軸を設定し、経営状況に関する推計モデルに依拠しながら、生産効率性の比較研究を実施してきた。特に、農地貸借の発生頻度と貸借契約の内容、借入農地と自作地との生産性に比較などの実証分析を進めることで、農地利用状況に関する経済的な特徴を明確にすることが可能となった。 以上の理由から、「(2)おおむね順調に進展している」と評価することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に実施したアンケート調査の結果に基づき、中国側の研究者と協議を行いながら、フロンティア生産(費用)関数、あるいは利潤(費用)関数の推計に基づく生産効率性の比較研究を実施する。さらに、経済環境は類似するが経営規模や経営方式が異なる複数の地域を対象に、経営体間の統計的マッチングを行うことで、観察不可能な経営体の固有要因の制御も試みる。 開発経済学では、途上国農業における農地面積と単収との間の「逆相関仮説」(負の相関に関する仮説)について古典的な論争がなされてきた。様々な途上国に関して膨大な数の実証研究が行われ、中国の穀物生産に関する実証分析も進展しているが、本仮説について必ずしも統一的な見解に至っていない。その一方で、近年の中国農業研究では農業労働賃金の上昇を通じた農業機械化や農地貸借への影響を実証した研究、あるいは農業経営の生産効率性向上や大規模化に貢献する農村の新たな制度・組織に注目した研究も増加している。ただし先行研究では、「逆相関仮説の検証」と「要素価格変化による農業技術選択の実証」が別々に実施される傾向があり、農業経営の効率性の視点からの体系的な分析は十分に行われてこなかった。この2つの視点を適切に融合させて議論すると同時に、農業を取り巻く制度的変化(協同組合の設立・加入など)と経営規模を関連させ、農業経営の効率性を統一的に議論する。 また、2023年度にはアンケート調査の実施地域で補足調査を行い、データ推計や論文執筆中に浮かんできた疑問点や不明な点を確認するとともに、その研究成果の一部を国際学会で発表したり、ワーキングペーパーとして出版する。その際、中国での新型コロナウイルス(COVID-19)状況や日中間のビザ発給の状況を考慮しながら、現地調査の実施時期について慎重に検討していく。
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Report
(4 results)
Research Products
(12 results)