性差から紐解く定型発達-非定型発達における実行機能の連続性と非連続性
Project/Area Number |
19K02947
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09060:Special needs education-related
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
大村 一史 山形大学, 地域教育文化学部, 教授 (90431634)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 実行機能 / 発達障害 / 個人差 / 実験系心理学 / 脳・神経 |
Outline of Research at the Start |
発達障害の定型発達-非定型発達を隔てる見えない分水嶺を、実行機能のプロフィールにおける性差の視点から、行動指標(行動データ)と生理指標(ERPデータ)を通して探り、発達障害の認知神経メカニズムの解明とそれにもとづくアセスメントの基礎を提案することを目的とする。本研究では、発達障害特性の基礎メカニズムの解明に焦点をあてるため、定型発達者を中心に展開しつつも、非定型発達者にまで対象範囲を拡大にする。ADHDとASDをターゲットに、両障害に見られる認知行動特性の定型発達内・非定型発達内での変動量に着目し、群内および群間の個人間比較を質的・量的アプローチによる実験から検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、発達障害の示す認知行動特性の傾向を実行機能のプロフィールとして描き出し、性差を発達障害の質的要因の一つとして捉え、行動指標(行動データ)と生理指標(事象関連電位データ)の組合せによって検討している。昨年度に続き、本年度も新型コロナウイルス感染症の影響継続と水漏れ被害によるシールドルームの全損が生じたことによる復旧作業のため、実験データの取得が困難であった。取得済みの時間判別課題と情動処理課題のデータを解析してきたが、これまで行ってきた解析では衝動性傾向と一部関連が見られるものの自閉性傾向との関連は見い出せてこなかった。そこで、本年度は特に時間判別課題の性差と衝動性傾向のみに要因を絞って昨年度までの解析方法を一から見直すことにした。 これまでの時間判別課題の解析において、事前に学習していない時間間隔と学習した時間間隔の判別において、学習した時間間隔を正しく判別する場合には、学習していない時間間隔を正しく判別する場合よりも、判別時に惹起するP3と正答フィードバック時に惹起するP3に大きな振幅が認められることがわかってきている。関連する先行研究の精査によって、判別時に惹起するP3はP350として報告されていたものの詳細な検討が続けられてこなかったことが判明した。そこで新たな解析の切り口として、このP350の視点から学習した時間間隔を判断する際の脳内メカニズムを重点的に検討する必要性が見い出せた。解析途中ではあるが、このP350は男性よりも女性が大きな振幅を示し、この振幅の変動は衝動性傾向と関連する可能性が示唆された。また同課題において、高次認知機能に関連するとされるガンマ帯域反応(30-80Hz)を対象とした周波数解析も継続中であるが、今のところ学習した時間を正しく判別できた場合に出現するガンマ帯域反応に性差は確認できていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度も新型コロナウイルス感染症の影響が継続したため、シールドルーム内の密となる環境下での人を対象とした脳波計測を伴う心理生理実験を実施は困難であった。さらに、前年度に発生した水漏れによるシールドルームの全損被害の復旧作業が本年度末までずれ込んだため、実験データの取得は不可能であった。そのため、前年度同様に、本年度も取得済みのデータの解析と解析方法の再検討のみに注力せざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
シールドルームの復旧作業は本年度末までには完了することができたため、今後は、実験環境の再整備を進め、速やかに実験を再開することを目指す。これまでの実験中断により、研究支援者である学生の実験技能の継承が途絶えてしまったため、学生への研究指導を充実させつつ丁寧に実験を展開していく。また取得済みデータのさらなる解析も併せて進めていく予定である。
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Report
(4 results)
Research Products
(2 results)