都市近郊水源域における近代1世紀分の高精細な林分構造マッピングと水収支変遷の解析
Project/Area Number |
19K06345
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41050:Environmental agriculture-related
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
橘 隆一 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (20432297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 桂子 岩手県立大学, 総合政策学部, 教授 (10457898)
下嶋 聖 東京農業大学, 地域環境科学部, 准教授 (60439883)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
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Keywords | 水資源 / 水収支 / 多摩川源流域 / 森林蒸発散量 |
Outline of Research at the Start |
本研究代表者らは,これまで首都東京の水資源保全を念頭に,多摩川源流域において森林構造の変遷と水収支の解明を進めてきた。 過去約100年間の気象観測情報と土地利用変遷の情報に基づき,多摩川源流域における森林構造の歴史的変遷に伴う水収支の推定を試みた結果,年代が経つに連れ,森林面積が増加するとともに年平均蒸発散率も微増していることが明らかとなった(佐藤・橘・下嶋・泉,2018)。 そこで本研究では,上述の成果を足がかりとし,黎明期の東京都水源林における林分構造の変化を高精細マッピング化し,多摩川源流域における現代に至るまでのおよそ1世紀超分の森林構造と水収支の変遷を詳細に解明することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
東京都の水源域に位置する東京農業大学奥多摩演習林内にある狩倉沢流域において流量観測を開始した。流域面積は 16.7 ha,最高地点は狩倉山山頂の 1,452 m で,地質は後期ジュラ紀から前期白亜紀の付加体からなっている。日原鍾乳洞が付近に存在することからも地質構造が非常に複雑であることがわかる。植生は主にスギ,ヒノキの人工林で,ミズナラ,キハダ,クリ等の広葉樹も一部生育している。流域末端には量水堰があり,かつて2000 年からしばらく流量観測が行われていた。そこで,この流域の降雨流出特性を明らかにすることを目的として 2022 年 7 月から流量観測を雨量観測とともに開始した。水位流量の関係を明らかにするため,およそひと月に 1 度の頻度で観測を継続している。 多摩川源流域における水収支の変遷の推定に向け,多時期のリモートセンシング画像を用いた土地被覆分類および変遷把握を行うため,SfM(Structure from Motion)ソフトや汎用画像ソフト(Photoshop)を活用し,モノクロ空中写真を用いた半自動処理により土地被覆分類および変遷把握の解析手法を検討した。その結果,モノクロ空中写真を用いた半自動処理による土地被覆分類および変遷把握の解析手法について提示することができた。 一方で,岩手県八幡平市にある樹齢12年の幼齢カラマツ人工林において,10×10 mのプロットを2つ設けて2022年8月24日から12月10日まで蒸発散量を測定した。両プロットの立木密度はそれぞれ2,300,2,600本/ha,平均樹高は11.2,10.3 m,平均胸高直径は12.9,11.9 cmである。蒸散量はGranier法を用い樹液流速を測定することで求め,樹冠遮断量は樹幹流下量と樹冠通過雨量を測定し,林外雨量から差し引くことで求めた。 それぞれの結果の一部は国内学会において報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多摩川源流域を構成する一樹種であるカラマツ人工林の蒸発散量について,成長段階あるいは林齢に伴う変化曲線を求めるため,幼齢カラマツ人工林にて一昨年度より3年計画で調査を開始した。ところが,展葉期における実地調査を検討していたものの新型コロナウィルス感染拡大の影響により断念せざるを得なかった。しかしながら,前年度においてはようやく予定していた林地において蒸発散量の情報を取得することができた。 さらに,東京都の水道水源林を含む多摩川源流域における実際の流量測定等の実地調査を予定していたものの,やはりコロナ対応の状況下で予定変更を余儀なくされてきたが,東京農業大学奥多摩演習林の狩倉沢流域において流量等の観測を開始することができた。 加えて,カラー化した多時期の空中写真及び衛星画像を用いた多摩川源流域における土地被覆変遷の把握を目指し,モノクロ空中写真を用いた半自動処理による土地被覆分類および変遷把握の解析手法を検討することができた。 何れの成果も国内学会において報告できた。
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Strategy for Future Research Activity |
幼齢カラマツ人工林にて引き続き蒸発散量を測定するとともに,カラマツ人工林の成長ステージに伴う蒸発散量の変化についてとりまとめたい。狩倉沢流域においても流量観測を継続しつつ,多摩川源流域全体の流出特性の把握を試みていく。 それらの成果に空中写真及び衛星画像を用いた多摩川源流域における土地被覆変遷の結果を含めて考察し,目的を達成したい。
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Report
(4 results)
Research Products
(9 results)