マルコフ連鎖における定常分布の不等式系に基づく数値計算法と待ち行列モデルへの応用
Project/Area Number |
19K11841
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 60020:Mathematical informatics-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
滝根 哲哉 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (00216821)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | マルコフ連鎖 / 条件付き定常分布 / 不等式系 / 数値計算法 / 待ち行列モデル / 定常分布 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,可算無限な状態集合上で定義された斉時かつエルゴード的な連続時間マルコフ連鎖における条件付き定常分布の新たな数値計算法を開発し,各種待ち行列モデルへの応用を目指す.具体的には,一般のマルコフ連鎖における条件付き定常分布を推移率行列の北西角がもつ情報から得られる線形不等式系で特徴付け,これを元に新たな条件付き定常分布の数値計算法を開発する.なお,この数値計算法では出力結果の誤差上界も同時に出力される.さらに,開発した数値計算法を基礎として,従来の行列解析法では取り扱うことができなかった各種待ち行列モデルに対して,それらに固有の構造を活用した数値的解法を確立する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、可算無限集合上で定義されるマルコフ連鎖の条件付き定常分布に対する新たな数値計算法を開発し、従来の行列解析法が適用できない各種待ち行列モデルの性能評価へ応用することである。従来の研究とは異なり、本研究では、条件付き定常分布を線形不等式系の解として特徴づける、すなわち、N次元ベクトルとして与えられる条件付き定常分布を相対的内部に含む凸多面体を同定し、それに基づく数値計算法を開発する。さらに、開発した数値計算法を基礎として、従来の行列解析法では取り扱うことができなかった各種待ち行列モデルに対して、それらに固有の構造を活用した数値的解法を確立を目指している。 本年度は従来の標準的な手法では数値結果を得ることが困難な、状態爆発を起こす準出生死滅過程を対象に、不等式系に基づく接近法から得られる知見を整理した上で、幾つかの数値計算手法を考案し、数値実験を行った。その結果、不等式系に基づく接近法では推移律行列を構成する対角ブロック行列の逆行列に関する情報が不可欠であることから、状態爆発を起こす準出生死滅過程では常にこの部分の計算がボトルネックになることが確認された。この問題を回避するために、状態集約が可能なモデルに焦点を絞り、集約された状態空間上での平衡方程式に対して不等式系に基づく接近法を適用するという方針をたて、現在、チケット待ち行列と呼ばれるモデル群における小規模モデルに対する数値計算実験を繰り返しながら適用可能性を探っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
従来、数値計算が困難なモデル群は、その構造の詳細な分析が行われていないため、例を一つ取り上げるたびに、新たに構造分析が必要となる。幾つかの有望と思われるモデルの検討を行ったが、結果は芳しくなく、結果的に時間を消耗する形となった。
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Strategy for Future Research Activity |
チケット待ち行列と呼ばれるモデル群の中で、不等式系に基づく接近法が有効なものを発見することに注力する。少なくとも、客の到着時に見かけの待ち行列長が既知であるとするモデルに対しては、状態爆発の速度が緩やかなため、数値計算が可能なものが存在するはずであると考えている。
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Report
(4 results)
Research Products
(3 results)