数学科教師の省察における専門的知識の形成過程を分析するための理論的枠組みの構築
Project/Area Number |
19K14242
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
袴田 綾斗 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 講師 (50824215)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 大学数学教育 / 数学教授学 / 教授人間学理論(ATD) / 教師教育 / 教員養成 / 探究 / 省察 / 数学教育学 / 教授人間学理論 |
Outline of Research at the Start |
本研究は,数学教師の省察を分析するための理論的枠組みの構築および研究方略の開発を目的とする。研究の遂行にあたっては,省察における知識の表出を捉え,知識間の相互作用を分析するために,数学教育学における「教授人間学理論」を援用し,その理論の特徴である知識の記述枠組みを用いる。構築した理論的枠組みによる省察の分析と枠組みの検証・修正を往還することにより,精緻な枠組みの構築と定式化された研究方略の開発が可能である。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和4(2022)年度は,昨年度に引き続き,数学科の教職免許取得を希望する大学生を対象とし,探究型の学びを実現し,さらにそれを指導者・支援者の立場から省察するための教授実験を計画・実施することができた。 ここで探究とは,ある問い(学習者が自ら設定することもあれば,何らかの形で与えられることもある)に対する答えを得るために,利用できるものは必要に応じてなんでも利用し,その中で関連知識が学ばれていくような活動を指している。探究的な学びは,近年,教育実践および教育研究において注目されている。これに関する本研究の独自性は,探究においてどのような知識が学ばれ得るのか,それはどのように学ばれ得るのか,そしてどのようではないのか,といった知識論的な視点を中心に据えていることである。また,それを記述・説明するための理論的な枠組みを採用していることも重要な点である。 本年度は,確率・統計の知識が生じるような教材を用意し,それを用いた教授実験から得られたデータを質的に分析した。その結果,推測統計における仮説検定の考え方が自然に発生し,区間推定を含む確率・統計の関連知識が動員されていることを記述することができた。また,ベイズの定理を利用したベイズ更新の知識にも触れることができるということを確認できた。この分析結果については,大学数学教育をテーマとする国際会議で成果報告を行っている。 このように,探究のための教材開発や,そこで生じる知識の記述・説明はかなりの程度できた一方で,探究指導のための教授学的な知識については,今年度は詳細な研究を行うことができていない。この観点からの研究については,次年度の遂行課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記「研究実績の概要」に記載の通り,探究的な学びのための教材開発,その教材を用いた教授実験,そして実験結果の分析を行い,その成果を国際会議で報告することができた。また,国際会議での発表を通して,同様の研究テーマに関心をもつ他国の研究者とも共同研究を始めることができた。このように,このテーマに関しては,一定の成果を得ることができたことに加えて,引き続き研究を発展させるための具体的な方向性も見出せている。 一方で,上記の通り教師の省察活動については,まだ着手できていない研究課題もある。 以上の理由から,進捗状況は「おおむね順調に進展している」と判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は以下の2つである。 1) 国際的な共同研究を推進すること。 上記「現在までの進捗状況」の通り,国際会議における成果報告をきっかけに,共同研究が始動している。数学教育の国際化は近年加速度的に進展しているため,本研究でもより実りのある成果を上げるために,国際的な共同研究を推進していきたい。そのためには,国際ジャーナルへの論文投稿を共同研究の一環として行うことが考えられる。 2) 教師(教職志望の学生)の省察活動の分析 この課題についてはまだ着手できていない部分があるため,本年度に集中的に遂行していきたい。実施予定の教授実験の中に,指導者・支援者としての省察を位置づける方法はすでに考案しているため,その実施を着実に行う。
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Report
(4 results)
Research Products
(6 results)