ランダム力学系におけるホモクリニック接触の幾何と統計
Project/Area Number |
19K14575
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 12020:Mathematical analysis-related
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中野 雄史 東海大学, 理学部, 准教授 (50778313)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | ホモクリニック接触 / Birkhoff非正則集合 / Markov作用素 / Lyapunov非正則集合 / 準安定性 / ランダム力学系 / 逆正弦法則 / Darling-Kac法則 / 収縮性 / 非正則集合 / 擬収縮性 / 漸近周期性 / 創発現象 / カントール集合 |
Outline of Research at the Start |
典型的な力学系は、双曲性と呼ばれる秩序立った幾何構造を持つか、統計的に非常に複雑な振舞いを見せるかであることが知られている。Newhouseによる歴史的発見以来、非双曲力学系研究の中心には、常にホモクリニック接触の幾何があった。その一方でランダム力学系理論では、ランダム特有の幾何的な難しさから、現在でもホモクリニック接触の研究が存在しない。本研究の目標は、quenched型理論と呼ばれる近年のランダム力学系の新展開を背景にして、従来のものより幾何的なランダム力学系理論を展開し、ランダムなホモクリニック接触と、これを端緒としたランダム非双曲力学系理論という自然な研究領域を開拓することである。
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Outline of Annual Research Achievements |
ホモクリニック接触を持つ力学系に対しては、時間平均が存在しない点の集合(Birkhoff非正則集合)がLebesgue測度正となる例が豊富に存在することが知られている。一方でV. Araujoは2000年に、「物理ノイズ下ではBirkhoff非正則集合がLebesgue測度零になる」ことを証明した。これはPalis予想への部分的貢献など可微分力学系理論に少なくない影響を与えたが、その後目立った進展はなかった。これに関連して次のような結果を得た。 (1)Araujoの結果における物理ノイズは2つの条件を満たすノイズと定義されるが、うち1つが実は不要であり、もう1つの仮定も「一様収縮性」と呼ばれるMarkov作用素論における既知の概念の十分条件になっていることを示した。さらに「平均収縮性」の概念を導入し、後者がAraujoの結果における結論と同値になる事を示し、論文投稿した(中村文彦氏、豊川永喜氏(北見工大)、P. Barrientos氏(UFF)との共同研究)。 (2)Araujoは時間平均の存在と有限性までしか結論していないが、物理ノイズ下では中心極限定理なども成立することを上記の共同研究の中で示した。ここからあらわれる自然な疑問として、「中立不動点を持つ間欠性写像のような、重要だが中心極限定理が成り立たない力学系の物理ノイズによる摂動系は、零ノイズ極限でどのように振る舞うか」というものである。これを背景として、準安定性にまつわる問題について、中村氏、S. Lloyd氏(XJTLU)、S. Vaienti氏(CIRM)、W. Bahsoun氏(Loughborough)らと研究を進め、一部完成した部分を論文投稿準備中である。また、平均間欠性を持つランダム力学系のDarling-Kac法則、逆正弦法則に関する結果(中村氏、豊川氏、矢野孝次氏(大阪大)との共同研究)も論文投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、ホモクリニック接触を持つ力学系のランダム摂動に関して、重要な結果を得ることができた。一方で、これらの進展が予想外に大きかったために、当初の目的であった「ランダム力学系のホモクリニック接触」そのものに関する研究に十分な時間を取ることができなかった。そのため、本研究はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、Markov作用素の観点からのAraujo定理の拡張、区分拡大写像のLyapunov非正則集合の構成、平均間欠性によるランダム力学系の逆正弦法則、ランダム区分拡大写像の準安定性といった予想外の方向からの研究進展があったため、当初予定していた方向からの研究調査に十分時間を割くことができなかった。そのため来年度は、今一度、当初の方針に戻って研究を行う予定である。具体的には次の通りとなる: ホモクリニック接触を持つ決定論的力学系を微小摂動すると無限個の吸引周期点を構成できる(無限個の観測可能な時間平均を持つ)ことが知られており、結果として非双曲力学系特有の統計が現れる。これに関して、ランダムなホモクリニック接触を持つ力学系を微小摂動した場合でも類似の結果が得られるかを確認する予定である。また、関連して持続的なランダムなホモクリニック接触を構成できるかを、(決定論的力学系の場合と同様)対応するランダムthicknessの導入とその摂動安定性の解析によって、確認する予定である。
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Report
(4 results)
Research Products
(58 results)