集中治療患者の上腸間膜動脈の血流に対する鍼灸治療の効果の検討
Project/Area Number |
19K16947
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 52010:General internal medicine-related
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
松本 淳 岐阜大学, 医学部附属病院第二内科, 技術補佐員 (90467209)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 腹部内臓血流 / 集中治療 / 鍼治療 / 上腸間膜動脈 / 超音波カラードップラー / 血流 / 超音波カラードップラー法 |
Outline of Research at the Start |
集中治療領域の重症患者の予後改善の重要な因子として消化管機能の維持や早期の経腸栄養開始が注目されている。正常な消化管機能維持には蠕動や分泌とともに血液灌流が重要である。消化管に関連の深い血流に対する鍼治療の効果として、健常人における上腸間膜動脈の血流増加効果が報告されているが、集中治療中の重症患者においても同様の効果があるかについては未だ明らかでない。本研究では、集中治療中の重症患者を対象として、鍼治療による上腸間膜動脈の血流変化を超音波カラードップラー法により検討し、このような重症患者の消化管機能に対する鍼治療の効果の機序の一端を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は集中治療中の重症患者における鍼治療による上腸間膜動脈を指標とした腹部内臓血流の変化の検討を行い、重症患者の腹部症状に対する鍼治療の効果の機序の一端を解明することにある。令和4年の取り組みとして、大学病院集中治療患者の上腸間膜動脈の血流変化に対する鍼治療の効果を超音波測定により評価する観察研究を行った。超音波測定が可能であった症例では、鍼治療後に上腸間膜動脈の血流の増加を確認した。しかし、後述の如くコロナ禍による入院状況の変化などにより、予定していた症例数に至らなかったため、再度体制を整え次年度においても同様の検討を継続する予定である。 また、集中治療領域の鍼治療や指圧等の鍼関連の経穴刺激療法に関する系統的文献調査のアップデートを行った。Pubmedを用いて、病院の集中治療室で鍼灸治療または指圧等の経穴刺激が行われた英語論文を検索・収集した。新生児や小児ICUの報告、学会抄録やプロトコル論文は除外した。その結果、1件のレビューを含む25件の文献が検索された。介入の内訳は鍼または鍼通電15件、経穴圧迫6件、経穴経皮的電気刺激3件であった。筆頭著者の所属の国は、中国10件、台湾5件、イラン3件、日本2件、イギリス、ドイツ、アメリカ、オーストラリア、イタリアが各1件であった。治療対象は、胃排出能や栄養改善4件、急性消化管障害2件、ストレス性潰瘍1件、術後嘔気嘔吐1件、敗血症関連6件、睡眠関連2件、鎮静関連2件、疼痛関連2件、人工呼吸関連6件、呼吸安定3件、せん妄予防1件、不安1件(重複あり)が挙げられた。このうち、消化管に関連するものが12件であった。無作為化比較試験は18件であった。頻用経穴として足三里が16件の報告で使用されていた。集中治療領域の様々な症状に対して鍼治療や鍼関連の経穴刺激療法の有用性を示唆する報告がみられ、特に消化管機能に関する報告が多くみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和4年には集中治療室入院中の患者の鍼治療中の上腸間膜動脈の血流を測定する観察研究を終える予定であったが、測定担当者変更に伴う倫理委員会の変更審査手続中の研究中断や、コロナ禍による大学病院集中治療室の入院状況の変化や対象患者家族の来院困難(面会禁止)による同意の取得機会の設定が困難であったこと、基準に合致する症例の選定が困難であったこと、病態の急変による中止、当該部位血流の超音波カラードップラー法による描出困難例などの理由より、データー収集の遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
大学病院集中治療患者の鍼治療中の上腸間膜動脈の血流変化に関する観察研究の患者の組み入れを進める。次年度は、研究の遅れの一因であったコロナ禍による様々な制限が緩和傾向となる予定であることから研究が進むことが期待される。同研究では、集中治療室入室中に鍼治療を受ける患者の鍼治療前後の上腸間膜動脈の血行動態の変化を観察することで鍼治療の短期効果を検討する。上腸間膜動脈の血行動態の観察は腹部超音波カラードップラー法により行い、血流量、抵抗指数、拍動指数, 収縮期最大速度、拡張末期血流速度を算出する。同時に、脈拍、動脈血酸素飽和度、血圧、心拍変動係数の変化も観察する。APACHEスコアによる集中治療患者の重症度と鍼治療による上腸間膜動脈の血行動態の変化の関連の検討を行う。心拍変動係数で評価される自律神経系の変化と鍼治療による上腸間膜動脈の血行動態の変化の関連の検討を行う。
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Report
(4 results)
Research Products
(4 results)