Project/Area Number |
20046017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田口 康二郎 The Institute of Physical and Chemical Research, 交差相関物質研究チーム, チームリーダー (70301132)
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Project Period (FY) |
2008 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2008: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 磁気的フラストレーション / 磁性誘電体 / スピンカレントモデル / コニカル構造 / らせん磁気構造 / 偏極中性子 / フラストレーション / Y型六方晶フェライト / コニカル磁気構造 / 磁場誘起電気分極 / 分極反転 / 磁気異方性 / proper screw 構造 |
Research Abstract |
今年度は、磁気的なフラストレーションによって螺旋磁気構造をとるY型およびM型の六方晶フェライトについて、主に研究を行った。Y型六方晶フェライトにおいては、ゼロ磁場および螺旋の伝播ベクトルに垂直方向に磁場を印加した状態での中性子回折実験を行った。ゼロ磁場での実験からは、低温での磁化の立ち上がりに対応して、ブラッグ点の散乱強度が増大する振る舞いが観測され、スクリューからコニカル構造への転移を確認することができた。また、横磁場を印加した実験からは、磁場強度に対応して複数のコメンシュレートな波数を有する相が存在することが明らかになった。さらに、横磁場を印加した状態で偏極中性子を使った実験では、磁場誘起の誘電分極の値が最大になる相において、確かにスピンのc軸方向成分が存在することが確かめられた。これによって、この系の磁場誘起分極は、スピンカレント機構によって生じていることが明らかになった。 さらにM型の六方晶フェライトにおいては、単結晶の磁化の振る舞いから、200Kを超える温度でフェリ磁性からコニカル磁気構造に転移することがわかった。特に鉄サイトへのスカンジウムドーピング量を変化させることにより、コニカルへの転移温度を室温以上に高めることに成功した。また、低温で螺旋の伝播方向に垂直に磁場を印加すると螺旋の伝播ベクトルと磁場の両方に垂直な方向に分極が生じることを見出した。磁場強度を増やしていくと、数kOeという弱磁場でメタ磁性的な磁気構造の変化を伴って分極が消失することもわかった。このことは、この系では磁気異方性によって横滑り型のコニカル構造が不安的であることを示している。
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