Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
腱組織から抽出されたテノモジュリンという膜貫通蛋白質に注目し、腱索断裂発症にいたるメカニズムを解析した。昨年度までの研究成果から、(1)胎生14.5日からテノモジュリンの発現が確認され、発現は腱索に特異的であった。(2)正常ヒト腱索において、テノモジュリンは内皮下のエラスチンが豊富な層に同心円状に発現していた。ヒト腱索断裂症例において、テノモジュリンの発現は断裂部に一致し減少していた。(3)腱索間質細胞培養上清にはヒト冠動脈内皮細胞の血管管腔形成能、遊走能を抑制する作用が認められ、また、テノモジュリンのsiRNAを用いることによりその効果は減弱した。(4)成犬を用いた腱索損傷モデルにて、ヒト腱索断裂組織における所見と類似していた。ということがすでに示されており、本年度は、腱索断裂発症機序およびテノモジュリン蛋白のより詳細な機序を解明するために、昨年度から継続してテノモジュリンノックアウトマウスを作成し、解析することとした。しかし、ホモのテノモジュリンノックアウトマウスは何度試みても繁殖せず、様々な解析を行うことは不可能であった。この原因は不明であるが、テノモジュリンが個体発生に重要な役割を担っている可能性もある。ホモのノックアウトマウスが得られなかったので、ヘテロのテノモジュリンノックアウトマウス成獣の心臓の組織標本を作成し、心臓(特に弁・腱索)に変化をきたしていないかを解析することとした。結果は、心臓の形態は正常で、明らかな心肥大や弁膜症・腱索断裂はきたしていなかった。これについても、運動負荷等心臓に負荷をかけることにより腱索断裂等の病態を発症しやすくなる可能性も考えられ、今後の課題であると考えている。
All 2009 2008
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (7 results)
Circulation 118(17)
Pages: 1737-1747