Project/Area Number |
20H00086
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 8:Sociology and related fields
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
橋本 健二 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (40192695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 直人 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (00314831)
佐藤 香 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (10313355)
片瀬 一男 東北学院大学, 情報学部, 教授 (30161061)
武田 尚子 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (30339527)
浅川 達人 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (40270665)
石田 光規 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60453495)
妻木 進吾 龍谷大学, 経営学部, 准教授 (60514883)
丹辺 宣彦 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (90212125)
津田 好美 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (90336058)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥43,420,000 (Direct Cost: ¥33,400,000、Indirect Cost: ¥10,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2021: ¥24,700,000 (Direct Cost: ¥19,000,000、Indirect Cost: ¥5,700,000)
Fiscal Year 2020: ¥12,350,000 (Direct Cost: ¥9,500,000、Indirect Cost: ¥2,850,000)
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Keywords | 都市分極化 / 社会-地区分析 / 階級 / アンダークラス / 健康格差 / 社会地区分析 / 健康 / 社会的ニーズ / 新型コロナウイルス感染症 / ジェントリフィケーション / 階級・階層 / 都市空間 / 社会移動 / 貧困 / 格差拡大 |
Outline of Research at the Start |
日本では1980年代以降、急速に格差が拡大してきたが、同時に地域間格差も拡大してきた。その結果、新たに富裕層の集まる地域や貧困層の集まる地域が形成されるなど、都市の空間構造に変化が生じている。そして豊かな地域に住む人々が、ますます豊かで便利な生活を営むようになる一方で、貧しい人々は、産業や行政サービスが衰退するなど、多くの問題を抱えた地域に居住するようになり、多くの社会問題が発生しはじめている。本研究は、東京圏、名古屋圏、京阪神圏の3つの大都市圏を対象に、格差と都市空間構造の両面から、大都市部に生まれつつある社会問題の構造を明らかにし、問題解決の基礎を提供しようとするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、地域メッシュ統計と国勢調査の小地域統計による社会地区分析を進めるとともに、2022年1月に実施した三大都市圏調査のデータの分析を行なった。その概要は、以下の通りである。 第1に、社会地区分析によって、三大都市圏の空間構造、その共通点と相違点、変化の趨勢について検討した。その結果、三大都市圏では共通に、中心都市の中心部およびその近傍に上層階級、周辺部に下層階級が集中するというセグリゲーションの進行と、中心都市中心部におけるジェントリフィケーションの進行が認められた。 第2に、三大都市圏調査データの分析からは、(1)三大都市圏は、東京圏で新中間階級、名古屋圏で正規労働者階級、京阪神圏にはアンダークラスが多いという違いはあるものの、ほぼ共通の階級間格差の構造がみられる、(2)三大都市圏では共通に、中心都市中心部に居住歴の短い新中間階級が多くみられ、ジェントリフィケーションの進行が個票データからも裏づけられる、(3)社会的ニーズの充足状況は所属階級によって大きく異なっている、(4)アンダークラスと旧中間階級は新型コロナウイルス感染症の蔓延により、仕事や収入の減少など強いインパクトを受けた、などの事実が明らかにされた。 第3に社会地区分析の結果とインターネット調査から得られたデータを結合して、居住地の特徴や類型が、人々に与える影響について分析した。その結果、(1)居住地の特性は、個人の属性から独立に、メンタルヘルスや主観的健康に影響を与えている、(2)居住地の階層構成は個人の属性から独立に社会的ニーズの充足状況に影響している、(3)ジェントリフィケーションの進行が顕著な地域の住民、とくに近年流入してきたジェントリファイヤーは、格差拡大を容認し、自己責任論を支持し、経済に対する規制に反対する新自由主義的傾向を示す、などの事実が明らかにされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
社会-地区分析は予定通りに進行しており、成果もすでに学会誌論文や書籍として公表されている。 三大都市圏住民を対象とするインターネット調査は予定通り実施され、予定を上回る43820人の有効サンプルを得ることができた。分析の結果、予想以上に良質のデータが得られたことが判明しており、すでにいくつかの学会発表で結果を公表し、また出版が決定した論文や著書もあることから、当初の計画以上に進展した側面もあるといえる。 しかし反面、名古屋圏と京阪神圏での現地調査、とくに現地に居住するメンバーと東京に居住するメンバーの対面での協力による調査は、新型コロナ禍のため限定的にしか行なわれなかった。 以上を総合的に判断すれば、おおむね順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
社会地区分析に関しては、近日中に2020年国勢調査の地域メッシュデータが使用可能になることから、これをデータベースに追加して、趨勢的変化に関する分析を補強することとする。 三大都市圏調査データに関しては、膨大な数の変数とサンプルを含むデータであることから、経済的格差、健康格差、社会的ニーズの充足状況、社会意識、政治意識、地域間移動と世代間移動など、幅広いテーマについて分析を進めていく。 現地調査に関しては、残された予算と時間が限られることから対象と調査方法を絞り、名古屋圏における研究分担者1名によるフィールド調査と、京阪神圏における研究代表者によるデジタルカメラを用いたビジュアル調査を軸として実施していく。 研究の成果は6月と7月に予定されている国際学会、10月に予定されている日本社会学会、日本労働社会学会などで報告する予定である。これらの準備を含めて5回程度の研究例会を開催し、年度末に成果報告書をまとめたあと、成果の全体をまとめた学術書と、成果を社会に還元するための啓蒙書など、何冊かの著書を出版する予定である。
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