ゲノム編集ニワトリによる高機能インフルエンザワクチンの生産
Project/Area Number |
20H02537
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 27040:Biofunction and bioprocess engineering-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西島 謙一 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (10262891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金岡 英徳 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (30631973)
小野 悦郎 九州大学, 医学研究院, 教授 (00160903)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2020: ¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
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Keywords | ニワトリ / ワクチン / 遺伝子改変 / 卵 / 発育鶏卵 / 遺伝子改変ニワトリ / インフルエンザ / 始原生殖細胞 |
Outline of Research at the Start |
世界的流行の恐れから、インフルエンザワクチン生産法の抜本的改善が急がれている。発育鶏卵による従来法はワクチン生産に適した自動化機器類などが整備されており、今後もワクチンの大部分はこの方法により生産されるものと考えられる。本申請では、これまで開発してきた家禽の遺伝子操作技術を用いて新たなトランスジェニックニワトリを作製し、高力価なヒトインフルエンザワクチンを生産する新たな手法を提供することを目指す。本申請ではこのための基盤技術として精子を持たないニワトリ系統の作製も行う。ニワトリはワクチン生産だけでなく最も身近な家畜でもあり、本研究が完成されれば社会生活に対する影響は大きい。
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Outline of Annual Research Achievements |
発育鶏卵でウイルス株の増殖を左右するのは漿尿膜上に存在する糖鎖の結合パターンであり、理論上糖鎖をヒト型化できれば、ヒトウイルスを馴化プロセスなしで増やせるようになる。また、発育鶏卵での増殖が極端に低いワクチン株を効率よく増殖させることが可能となる。そこで、これまで開発を進めてきたニワトリの遺伝子改変技術を用いてヒト型糖鎖発現ニワトリを作製する。安全性を確保するために、本申請では複数のニワトリ系統を樹立し、これを交配して目的の発育鶏卵を得る計画である。 1. Creリコンビナーゼを発現するニワトリと、プロモーターと糖転移酵素の間をスタッファーで区切った2種のニワトリ系統が必要である。本年度は、プロモーターと糖転移酵素の間をスタッファーで区切ったニワトリ系統について、遺伝子導入PGCを移植した胚を孵化させて得た生殖腺キメラニワトリが性成熟したため、精子における導入遺伝子のコピー数を検定した。その結果、交配によりトランスジェニック後代を得ることが充分に期待できるキメラ個体が複数存在することが確認された。現在、交配により得たヒヨコのスクリーニングを進めている。 2.培養PGCにおいて、糖転移酵素の一種を過剰発現したところ増殖がほぼ停止することが認められた。哺乳類では、ある種のガン細胞において発現昂進が認められむしろ増殖促進に寄与することが想定される遺伝子であることから、トリで認められる新たな現象である可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
作製したトランスジェニックニワトリにヒトインフルエンザウイルスが感染し群れの中で流行すると変異を誘発してパンデミックの原因となりうる。本研究では、これを防ぎ安全性を確保するために個体にはヒトインフルエンザウイルス感染性を持たせず、発育鶏卵でのみヒト型ウイルスを増殖させることとしている。このために、二つのトランスジェニックニワトリ系統を別個に樹立し、その交配により得られた発育鶏卵ではじめてヒトインフルエンザウイルス増殖性を持たせる計画である。トランスジェニックニワトリの作製プロセスにおいては、遺伝子操作を施した始原生殖細胞株をレシピエント胚に移植し得られた生殖腺キメラオス個体を交配し、得られた子孫を検定して目的のトランスジェニックニワトリを得る。生殖腺キメラオス個体の成熟には約6ヶ月を要する上、得られた生殖腺キメラ個体が次世代を得る上で有望であるかどうかは成熟して精子を解析するまで不明である。実験動物としては大型に分類されるニワトリを多数飼育するのは手間とスペースの制限のため困難である。本研究においては、複数のトランスジェニックニワトリ系統を樹立する過程が一番のリスクであるが、現在までのところ作製は順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
2系統目のトランスジェニックニワトリの樹立が成功し次第ニワトリを成熟させ、既に樹立済みの系統と交配して得た受精卵を孵卵して発育鶏卵を得る。まず、作製した発育鶏卵での発生に異常がないことが必須である。発育不良で漿尿液が必要量採取できない場合は、発現組織や発現量の異なる複数の系統のうちから目的に合致する個体を選択して交配に用いることで解決を図る。発育鶏卵中の漿尿膜において期待通り糖転移酵素が発現していることをRT-PCRにより確認した後、糖鎖が改変されていることを確かめる。その後、ヒトインフルエンザウイルスの増殖性及び変異発生の頻度を検定する。目的通り糖鎖が改変されていれば、通常の発育鶏卵中では増殖が困難であったり、増殖の過程でトリ型に変異が入りやすいワクチン株でも、問題無く増殖が可能となることが期待される。これにより本研究の目的である「遺伝子改変ニワトリを用いたワクチン生産」という新たなコンセプトの確認を進める。
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Report
(3 results)
Research Products
(3 results)