海洋シアノバクテリア由来の熱帯病治療薬リード化合物の創製
Project/Area Number |
20H02870
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 37020:Chemistry and chemical methodology of biomolecules-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
末永 聖武 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (60273215)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2020: ¥7,540,000 (Direct Cost: ¥5,800,000、Indirect Cost: ¥1,740,000)
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Keywords | 海洋シアノバクテリア / 構造決定 / 構造活性相関 / カルシウムポンプ / 抗原虫活性 / 天然物化学 / SERCA阻害剤 / ミトコンドリア呼吸鎖複合体I阻害剤 / 抗トリパノソーマ 活性 / 単離構造決定 / 化学合成 / 環状ペプチド / 鎖状リポペプチド / 全合成 / 熱帯病 / 原虫 / 抗マラリア / 天然物 / 熱帯業原虫 / マラリア / 新規物質 / 鎖状ペプチド / N-メチルアミド / ペプチドーポリケチドハイブリッド化合物i |
Outline of Research at the Start |
本研究では、マラリアなどの熱帯病に対する治療薬として有望な物質を、海洋シアノバクテリアから発見し、その作用機構を明らかにする。さらに、発見した物質に基づき熱帯病治療薬リードを創製する。特定の薬剤標的を狙って誘導体を合成する従来型の創薬研究とは異なり、特異な化学構造をもつ天然物の活用により、新しい型の治療薬リードの発見を目指しているのが本研究の特色である。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、海洋シアノバクテリアを探索限として、熱帯病治療薬のリード化合物となり得る物質を探索している。2022年度は3種の新規物質を単離し、いずれについてもその全合成を達成した。これらは全て論文発表済みである。 伊江島で採集した海洋シアノバクテリアから腫瘍細胞に対して強力な増殖阻害活性を示すイエゾシドを単離し、計算化学や合成的手法により、その絶対立体構造を明らかにした。イエゾシドは構造新規性が高く、ペプチドーポリケチドー糖が結合したハイブリッド化合物である。さらに作用機構解析を行い、その作用標的が小胞体膜上のカルシウムポンプ(SERCA)であることを解明した。SERCA阻害の強さはnMオーダーであり、史上2番目に強力である。イエゾシドの全合成も達成している。 石垣島で採集した海洋シアノバクテリアから、細胞密度依存的な増殖阻害活性を示すカルドラゾールを単離し、その構造を明らかにした。作用機構解析の結果、ミトコンドリア呼吸鎖複合体Iを阻害することが分かった。さらに、カルドラゾールの全合成を達成した。 奄美大島で採集した海洋シアノバクテリアから、わずか68 μgの極微量成分であるベルアミドを単離した。高磁場NMR、計算化学を用いて、その相対立体構造を推定した。さらに、両方の鏡像体を全合成し、キラルHPLCにおける保持時間を天然体のものと比較することによって、絶対立体構造を決定した。さらに合成品を用いた生物活性試験により、ベルアミドが抗トリパノソーマ活性をもつことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海洋シアノバクテリアから抗トリパノソーマ 活性を示す新規物質は年度中に1つ発見している。それ以外に、史上2番目に強力なカルシウムポンプ(SERCA)阻害剤であるイエゾシシドを発見している。構造新規性が高く活性も強いことから、抗がん剤、光マラリア薬のリード化合物とて期待される。また、ミトコンドリア呼吸鎖複合体Iの阻害剤であるカルドラゾールを発見していている。さらにこれら発見した物質の全合成を達成しており、各種誘導体の合成、構造活性相関研究を実施する準備が整っている。3種の物質の単離・構造決定と全合成については全て論文発表済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
抗トリパノソーマ 活性を示すベルアミドは、合成により量産できているため、他の熱帯病原因原虫に対する活性などをさらに検討する。SERCA阻害剤イエゾシドについては、立体配置を変えたジアステレオマーや糖やペプチドを削除した簡略誘導体を合成して生物活性を評価し、構造活性相関を明らかにする。これまでの合成ルートでは収率や選択性に若干問題があるので、その改善も進め、各種誘導体を効率良く合成する。 これらの研究と並行して、海洋シアノバクテリアから、熱帯病原虫に毒性を示す新規物質の探索を継続する。4月下旬に宮古島。伊良部島で海洋シアノバクテリアを採集する予定である。離島地域の海洋シアノバクテリアから、構造新規性の高い新規物質が見つかっている例が多いので、今後も離島地域を中心に試料採集を実施する計画である。また、これまでは比較的脂溶性の高い画分から物質探索を行ってきたが、水溶性の高い高極性画分にも注目して物質探索を進める予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(54 results)
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[Journal Article] Isolation of caldorazole, a thiazole-containing polyketide with selective cytotoxicity under glucose-restricted conditions2022
Author(s)
Osamu Ohno, Arihiro Iwasaki, Kyouhei Same, Chihiro Kudo, Erika Aida, Kazuya Sugiura, Shimpei Sumimoto, Toshiaki Teruya, Etsu Tashiro, Siro Simizu, Kenji Matsuno, Masaya Imoto, Kiyotake Suenaga
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Journal Title
Organic Letters
Volume: 24
Issue: 25
Pages: 4547-4551
DOI
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Peer Reviewed
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