Project/Area Number |
20H03397
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47050:Environmental and natural pharmaceutical resources-related
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
松本 崇宏 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (30780431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 智絵 長崎国際大学, 薬学部, 講師 (10804221)
中村 誠宏 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (20411035)
渡部 匡史 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60634326)
渡辺 徹志 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (90182930)
齊藤 洋平 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (90411032)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2020: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
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Keywords | 熱ショックタンパク質 / がん幹細胞 / Wntシグナル経路 / 天然物 / 創薬 / Wnt シグナル / Lindera umbellata / Petasites japonicus / Hypericum erectum / Valeriana fauriei / P-糖タンパク質 / Hibiscus tiliaceus / Murraya oenigii |
Outline of Research at the Start |
これまでに,がん細胞増殖抑制作用を指標とした抗がん剤の探索研究は数多く行われており,非常に低濃度でがん細胞の増殖を抑制できる化合物が見出されてきた.一方,本研究では,抗がん剤抵抗性改善薬の提案を目的としている.中でも,これまでにほとんど報告の無い熱ショックタンパク質 (Hsp) 阻害作用およびがん幹細胞 (CSC) 毒性作用等,抗がん剤抵抗性改善作用を有した低分子有機化合物の探索を行い,見出した化合物については,既存の抗がん剤との併用による有効性について個体レベルで明らかにすることを目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
がん細胞が薬剤抵抗性を示す主な原因として,アポトーシス抑制機能を介して薬剤抵抗性に寄与する熱ショックタンパク質 (HSP) の過剰発現および薬剤抵抗性・多分化能を有するがん幹細胞 (CSC) の存在等が挙げられる.本研究においては,がん細胞の薬剤感受性を増強させる化合物の探索を目的とし,種々の薬用植物および真菌が産生する化合物の探索を実施した.これにより得られた化合物について,子宮頸がん (HeLa) 細胞のアドリアマイシン (ADR) 感受性増強作用およびCSC駆逐作用の評価を行った. カノコソウ (Valeriana fauriei),ナンテン (Nandina domestica),および真菌Penicillium maximaeが産生する化合物は,単独では子宮頸がん (HeLa) 細胞の増殖,細胞死,および形態に影響を与えることなく,ADRの細胞死誘導作用を有意に増強することを見出した.そこで,これらの化合物について機序解明を進めたところ,カノコソウおよびP. maximae産生化合物が,HeLa細胞においてHSPの発抑制作用を介し,ADR感受性を増強することが示唆された. フキ (Petasites japonicus) 含有セスキテルペンおよびクロモジ (Lindera umbellata) 由来新規化合物 linderapyroneは,スフィア形成法により作製したCSCに対し,増殖抑制活性を示した.さらに,ウェスタンブロッティングおよび DNA マイクロアレイ等を用いた種々の解析の結果,linderapyrone は Wnt シグナル阻害活性を介し,CSCの駆逐作用を示している可能性が強く示唆された.さらに,アフィニティービーズを用い,親和性の高いタンパク質を精製することにより,linderapyrone標的候補分子を見出すことが出来た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
がん細胞の薬剤感受性を増強させる化合物の探索を目的とし,種々の薬用植物および真菌が産生する化合物の探索を実施した.これにより見出した化合物について,抗がん剤抵抗性改善機能評価を進めた結果,数種の化合物はHeLa細胞のADRの感受性を増強させることを見出した.また,その作用は,HSP105の発現抑制作用およびP-糖タンパク質阻害作用を介したものであることを明らかとしている.さらに薬剤抵抗性を持つCSCの駆逐能を有する新規化合物linderapyroneを見出すとともに,その作用はWnt経路の阻害を介したものであることを明らかとしている. HSP105発現阻害作用を有する天然由来低分子有機化合物に関する報告は,本研究計画によるものが初めてである.また,CSC駆逐作用を見出したlinderapyroneについては,標的候補分子を見出すことに成功しており,次年度以降の動物実験および構造最適化研究に発展させることが出来る.このことから新規医薬品シード化合物の提案を目的とする本研究計画は,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画でCSC駆逐作用を見出した新規化合物linderapyroneの標的候補分子は,これまでに低分子阻害剤が報告されていないタンパク質であった.既報において,当該タンパク質の発現を特異的に阻害することで,がん細胞のアポトーシスが誘導され,さらに種々のタンパク質発現に影響を与えることが報告されている.そこで,これらの知見を基に,linderapyroneが標的タンパク質の機能へ与える影響をウェスタンブロッティングおよびPCR法を駆使して確認する.また,モデルマウスを用いた実験により,本研究で見出した化合物の個体レベルでの抗腫瘍活性の評価を進める.さらに,標的タンパク質のlinderapyrone結合部位について,計算科学システムを用いて明らかとし,構造最適化のための知見を得る.
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