海鳥類の繁殖成績を決定する内的要因と人間活動の影響を評価する包括的モデルの開発
Project/Area Number |
20H04374
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64040:Social-ecological systems-related
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
庄子 晶子 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (30792080)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新妻 靖章 名城大学, 農学部, 教授 (00387763)
高橋 晃周 国立極地研究所, 先端研究推進系, 准教授 (40413918)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥17,940,000 (Direct Cost: ¥13,800,000、Indirect Cost: ¥4,140,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2020: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
|
Keywords | キャリーオーバー効果 / 操作実験 / バイオロギング / 海鳥 / ミツユビカモメ / 酸化ストレス / 動物行動 |
Outline of Research at the Start |
本研究は個体数減少が著しい海鳥類について、その繁殖成績を決定するメカニズム解明のための新手法を開発するものである。人間活動の影響と繁殖にかかる親から子への投資量との相互作用により、繁殖中に受けた影響が非繁殖期の行動を変化させ、その後の繁殖成績を大きく左右すると考えられるが、キャリーオーバー効果についての研究は少なく、詳細は明らかにされていない。そこで、本研究では繁殖投資量を人為的に操作する実験を行い、さらに人間活動による影響も評価することで、海鳥類の繁殖成績決定メカニズムを解明する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,2021年度に繁殖中のミツユビカモメに装着したMigrate社製のGeolocatorの回収を行うために実施した野外調査において,予定通り各実験群より移動や行動を調べるためのロガーデータの回収を行い,回収率も高かった。また,生態学的キャリーオーバー効果を評価するために回収時に体組織を採取した。このうち,血液は収集後にすぐに遠心分離させ,血漿は酸化ストレス分析に,残りはテロメア長測定に使用した。酸化ストレスとテロメア長測定については順調に分析が進んでおり,すでに結果を得ている。ミツユビカモメ実験個体において繁殖に成功した個体は,失敗した個体と比べて越冬海域を広く利用しており,これは繁殖に成功した個体はより餌条件の良い環境を利用していたためであると考えられる。また,非繁殖期の行動パターンについて実験群毎に解析したところ,コントロール群と繁殖投資量が高いグループでは同じような行動パターンを示していたのに対し,人工給餌を受けて繁殖投資量が低かった実験群では繁殖後の飛翔時間が短かく近海で過ごしていたことが示唆された。酸化ストレス値では実験群毎に違いは見られなかったが,繁殖投資量が高い実験群のオスだけ高い結果であった。繁殖フェノロジーや産卵数では実験群間で違いは見られなかった。これらの結果から,ミツユビカモメは繁殖期に蓄積した負債を次時期に持ち越し,非繁殖期の行動や分布を変化させることでその後の繁殖にうまく対応しており,今後はキャリーオーバー効果が個体群動態に及ぼす影響についてモデル構築を進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,野外調査により回収したジオロケーターと血中酸化ストレス測定とテロメア長測定を実施しており,予定通りに進めることができた。ジオロケーターの回収率も高く,試料収集も問題ない。繁殖成績は極端に低い年であったことから結果の解釈に注意が必要だが,より実験の効果がみえやすくなったという利点もある。このため,本年度の目的は達成できたと考えている。一方,人為的影響を評価するためにビデオロガーを用いて漁船に接近する様子の撮影を試みたが,うまく撮影できなかった。装着方法を改良することで撮影可能であることが判明してことから,来年度の野外調査で撮影を試みたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度に回収できなかったデータロガーの回収をするため野外調査を実施する。特に,繁殖をスキップしたペアのデータは回収が難しいが,キャリーオーバー効果が強く出ている個体と考えられるため,1ペアでも多く回収できるよう努める。さらに,人為的影響を評価するため,漁船への接近の有無についてビデオロガーを用いて撮影する。野外調査後は,ジオロケーターから得られる位置情報と行動データ,繁殖フェノロジーと生理的指標から,繁殖投資量の違いが繁殖成績に及ぼすメカニズムと人為定期影響について考察する。結果を統合してキャリーオーバー効果が個体群動態に及ぼす影響についてモデル構築する。
|
Report
(3 results)
Research Products
(15 results)