Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
小児白血病のうち、特にMLL遺伝子の転座を伴うMLL白血病の予後は未だに極めて不良であり、病態に基づいた有効かつ安全な治療法が求められている。そこで本研究では、エピジェネティクスに基づいた新規治療法開発を目指し、新規BET阻害剤開発と新規治療法の提示を目的とする。加えて、個別化医療・ゲノム医療に繋げることを視野に入れ、MLL遺伝子との相互転座遺伝子の違いや、CBP/p300の遺伝子変異に注目し、病態や薬効・副作用の評価を行う。また、新規BET阻害剤の開発だけでなく、既存の治療薬との併用療法も考慮し、有効な併用薬剤の同定を行い、新規治療法を提示することを目指す。
本研究では、未だに予後不良のMLL遺伝子再構成陽性乳児・小児急性リンパ芽球性白血病(MLL-r ALL)において、エピジェネティクス制御に基づいた新規治療法開発を目指し、新規BET阻害剤開発と新規治療法の提示を目的とする。本年度は、主に以下の2つの議題を実施した。①新規BET阻害剤における詳細な作用メカニズム解析:作用メカニズム解析に向けて、臨床試験が行われている既存のBET阻害剤(OTX015)とCBP/p300タンパク質のブロモドメインも阻害する新規BET阻害剤の有効性や安全性をさらに評価した。具体的には、昨年度までに有効性や安全性の評価を行ってきた新規BET阻害剤の結果を踏まえ、ヒトMLL-r ALL細胞株を用いた正所性担がんモデルマウスにOTX015を投与した。その結果、OTX015群は無治療群との全生存期間における有意差は確認できず、血小板数の減少傾向が確認された。加えて、各阻害剤を含む培地下で正常マウスにおける骨髄細胞を培養し、CFC assayを実施した。その結果、OTX015では顕著に単球や好中球などの細胞数が減少し、造血系細胞に対する有害作用を強く示す可能性が明らかとなった。これらの結果から、新規BET阻害剤が、有効性や安全性が高い可能性が示唆されたため、既存のBRD4阻害剤、CBP/p300ブロモドメイン阻害剤を用いて、②に示す検討を行うこととした。②BRD4およびCBP/p300における作用メカニズムと抗腫瘍効果の関連性の解明:既存のBRD4阻害剤およびCBP/p300ブロモドメイン阻害剤の併用は、ヒトMLL-r ALL細胞株に対し、相乗的に細胞増殖抑制効果を示し、マルチブロモドメイン阻害の有効性が重要であることが明らかになった。なお、本研究の中で明らかにできなかった具体的な作用機序については、今後の研究課題とする。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biochemical and Biophysical Research Communications
Volume: 590 Pages: 49-54
10.1016/j.bbrc.2021.12.078
Volume: 588 Pages: 147-153
10.1016/j.bbrc.2021.12.063
https://labo.kyoto-phu.ac.jp/seiri/seiri-j.html