キャリア初期におけるデベロップメンタル・ネットワークの形成プロセスの解明
Project/Area Number |
20K01956
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07080:Business administration-related
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Research Institution | Otemae University |
Principal Investigator |
坂本 理郎 大手前大学, 現代社会学部, 教授 (40449864)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | デベロップメンタル・ネットワーク / メンタリング / 新入社員 / 上司のかかわり行動 / キャリア初期 / OJT / 職務特性 / 人材育成 / 職場の人間関係 |
Outline of Research at the Start |
職場レベルでのマネジメントが可能な職務特性および職場の上司のメンバーへの関わり方が、個人の成長を促進する関係性であるデベロップメンタル・ネットワーク(developmental network)の形成に対してどのように影響を与えているのかを、企業の若手従業員に対する主に質的な調査によって追究する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、キャリア初期にある企業等の若手従業員を中心としたデベロップメンタル・ネットワーク(個人の成長やキャリア発達を支援する多様な人間関係Developmental Network、略してDN)が形成されるプロセスを明らかにすることにある。特に、若手従業員が従事する職務の特性および職場の人々とりわけ直属上司の関わり方が与える影響に注目している。本研究事業の3年目にあたる2022年度は、2021年度および2022年度に行った調査・研究の結果のとりまとめと公表を中心に行うことができた。具体的な調査・研究成果としては、X社の新入社員に対するインタビュー調査から得られたデータを、SCAT法を用いて分析したところ、直属上司による以下の2つの行動が、DNの部署外への拡大にネガティブな影響を及ぼしていることが明らかになった。 ①緊密かつ緊張的な2者関係を促す関わり行動(直属上司から承認されたいという新入社員の欲求を媒介して) ②直属上司による委任と早期の自立を促す関わり行動(直属上司からの期待に応えて自立しようという新入社員の欲求を媒介して) 直属上司の関わり行動がDNの領域拡張(領域の多様化)に作用している事例が見出された点は、先行研究では注目されてこなかった新たな知見である。このような成果をとりまとめた論文を、大手前大学論集(査読あり)に掲載することができた。そのほか、民間企業が主催するセミナーやWebページにおいて、本研究事業全体の成果について公開することもできた。その結果、企業の人事担当者などと有益な意見交換を行うこともできた。 他方で、論文査読のプロセスの中で理論構築のうえでの課題も見えてきたため、引き続き調査・研究を行っていく必要性を感じている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのところ、コロナ禍の中でも調査を行って、一定の学術的進捗を得ることができていると考えられる。また、その成果を論文やセミナーなどで公表できたことは良かったと考えられる。他方で、調査対象者が限定されているため、さらなる調査の必要性があることも認識している。また、論文査読者によって指摘されたように、組織行動論としての理論構築のためには、先行研究との位置づけをあらためて行う必要も考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究事業で調査を行い、その成果を公表できたことは評価したいものの、十分に調査ができたかというと物足りなさは否めない。残りされた期間は短いが、あらたな調査を行う努力を行いたい。 併せて、この研究を次のステップに進めるために、あらためて関連する分野での文献レビューなどを行って、あらたな研究課題の設定も考えたい。たとえば、直属上司との関係性が他の他者との関係性にどのように影響するかについては、教育心理学における教室での人間関係のあり方が参考となる面もある。既存の組織行動論の研究ではカバーしきれない面もあるため、このように視野を広げた考察が必要であろう。
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Report
(3 results)
Research Products
(1 results)