Project/Area Number |
20K04553
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21040:Control and system engineering-related
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
古谷 栄光 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (40219118)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 筋弛緩 / 薬力学モデル / 筋弛緩度指標 / 筋弛緩モニタ / ロクロニウム / スガマデクス / 筋弛緩度制御 |
Outline of Research at the Start |
本研究は,手術中の麻酔において,筋弛緩度を手術内容や進行状況に応じて適切なレベルに維持し,かつ覚醒時に安全に回復できる筋弛緩度制御を実現するシステムを開発することを目的として,筋弛緩薬の効果を適切に表せる数式モデルとあらゆるレベルの筋弛緩度を統合的に表せる筋弛緩度指標の構成,要求される筋弛緩度に適切に維持できる制御法,および覚醒後の安全性を確保するための筋弛緩回復薬の投与方法の研究を行う.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,手術中の麻酔において,筋弛緩度を手術内容や進行状況に応じて適切なレベルに維持し,かつ覚醒時に安全に回復できる筋弛緩度制御を実現するシステムの開発を目的として,作用機序に基づいた非脱分極性筋弛緩薬の効果を表す数式モデルの検討,圧感知型筋弛緩モニタと筋電型筋弛緩モニタの特性の差に関する検討,および薬物動態モデルに基づく筋弛緩回復薬投与後の再筋弛緩の起こる条件の検討を行った.得られた結果は以下のとおりである. 1. 非脱分極性筋弛緩薬のアセチルコリン受容体との結合などの作用機序を考慮に入れた筋弛緩薬の効果を表す数理モデルに基づいて,数種類の筋弛緩薬の効果の違いを表せるモデルの検討を行い,アセチルコリンと受容体の結合と乖離に関する動特性が循環的であるとし,生体内外の実験におけるアセチルコリン濃度の違いを考慮に入れることで実験結果を再現できるモデルを構築できることがわかった.今後このモデルのパラメータを手術時の臨床データから決定することで患者の筋弛緩度を適切に表せるかどうかを検討し,筋弛緩度制御に利用するモデルを構築する予定である. 2. 圧感知型筋弛緩モニタと筋電型筋弛緩モニタの測定値を比較したところ,圧感知型モニタの方が筋弛緩薬投与時,筋弛緩回復時のいずれも早く数値の変化が起こり,また全体的に浅い筋弛緩状態を表す数値となる結果が得られた.より詳細な特性の違いや筋弛緩度を調整する場合にいずれを利用することがより望ましいかなどについて,今後検討を行う予定である. 3. 文献等の調査より,腎臓の機能が低下している患者において再筋弛緩が起こりやすいとされており,そのことをシミュレーションにより確認した.今後腎排泄のパラメータや末梢部位での筋弛緩薬の蓄積量と筋弛緩度変化の詳細な関係を検討する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
筋弛緩薬濃度と効果の関係を表すモデルについては,従来よく利用されている受容体結合モデルでは生体内の筋弛緩薬の効果を適切に表せず,非線形性を考慮に入れたモデルを構築する必要があることを明らかにし,筋弛緩薬と受容体の結合の動特性を考慮に入れることにより,生体外と生体内の実験結果を統一的に表せるモデルを構築した. また,さまざまなレベルの筋弛緩度を統合的に表せる筋弛緩度指標の検討については,浅いレベルから深いレベルまでの指標を非線形に組み合わせた薬力学モデルにより,筋弛緩度を統合的に表せることを確認した. さらに,筋弛緩薬ロクロニウムと筋弛緩回復薬スガマデクスの薬物動態と筋弛緩効果をシミュレーションできるモデルにより,ある条件下で再筋弛緩を再現できることを確認した. 以上に加えて,新たに上市された筋電型筋弛緩モニタと従来の圧感知型筋弛緩モニタの特性の差を臨床データに基づいて確認した. しかし,新型コロナウイルス感染症の影響で,臨床データの取得が予定どおりに進まず,臨床データに基づく検討が不十分となっており,筋弛緩度制御システムの開発には至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,今年度構築した筋弛緩薬の作用機序に基づく動特性を考慮に入れたモデルに基づいて,筋弛緩度指標として用いられている四連刺激反応比,四連刺激反応回数,およびテタヌス刺激後反応回数のそれぞれの値と筋弛緩薬効果部位濃度の関係を導出することを試みる.また,得られたモデルを臨床データおよびこれまでに求めた筋弛緩度指標を統合したモデルと比較して,妥当性および有用性を検討する. また,構築したモデルにおける個人差を表すパラメータについて,手術時のデータから患者にあわせたパラメータ値が決定できる方法について検討する. さらに,再筋弛緩について,これまでに構成した筋弛緩薬,筋弛緩回復薬およびそれらの複合体の薬物動態モデルのパラメータの条件をさらに詳細に検討する.とくに,腎臓の機能が低下している患者の再筋弛緩が多くみられるとされていることから,腎排泄を表すパラメータと筋弛緩度変化の関係を調査し,末梢部位での筋弛緩薬の蓄積量の影響を考慮して,再筋弛緩を回避するための筋弛緩回復薬の投与量と投与方法を検討する. そして,以上を踏まえてあらゆるレベルで筋弛緩度を維持できる筋弛緩度制御法を検討し,筋弛緩度制御システムの開発を行う.
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Report
(3 results)
Research Products
(5 results)