発がん高感受性モデルマウスを用いたトリチウムの生態影響評価
Project/Area Number |
20K05386
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 31010:Nuclear engineering-related
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
馬田 敏幸 産業医科大学, 教育研究支援施設, 准教授 (30213482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大津山 彰 産業医科大学, 医学部, 准教授 (10194218)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | トリチウム / 低線量率被ばく / 発がん高感受性モデルマウス / LOH解析 / 低線量率ひばく / 遺伝子変異 |
Outline of Research at the Start |
トリチウムによる被ばくの形態は、放出されるベータ線のエネルギーが低いことや分子の状態(水蒸気)などから、低線量・低線量率の内部被ばくが想定される。我々は、低線量でのトリチウムベータ線の影響を調べるために、発がん高感受性マウス( ApcMin/+マウス:大腸癌抑制遺伝子であるAPCに変異があり、小腸・大腸癌が高頻度で発生する)を用いて突然変異の発生場所を調べ、トリチウムによる発がんの機構を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、発がん高感受性モデルマウス(ApcMin/+マウス)を用いて、トリチウムのベータ線による低線量率被ばくの発がんリスクを評価することを目指している。 令和4年度は令和3年度に行った1.7Gy被ばくよりもさらに低線量のトリチウムの影響を調べた。45MBq(小腸の被ばくが1週間で0.85Gyの被ばくに相当)のトリチウム水をApcMin/+マウスの腹腔に接種し、小腸腫瘍の形成を27週令で調べた。その結果、トリチウム水投与群の小腸腫瘍数は非投与群に比べて有意な増加は見られなかった。 また、腫瘍の一部から採取した細胞のゲノムDNA を抽出し、18 番染色体に存在する複数のMit マーカーに対するPCR プライマーでDNA フラグメントを増幅し、バイオアナライザーでLOH解析を行いトリチウムによる遺伝子突然変異型を解析した。現在のところ、トリチウム被ばくによる特徴的な欠失は検出されていない。染色体の特徴的な欠失の検出が可能なMitマーカーが存在するかどうか、選定の再検討を行なっている。 一方、トリチウム水投与群と非投与群でマウスの体重に有意差はなかったが、トリチウム水投与群のマウスの脾臓重量が有意に増加した。屠殺直後のマウスの心臓から採血を行い、血球計数装置にてリンパ球数、血小板数およびヘモグロビン値を計測した。その結果、リンパ球数と血小板数にはトリチウム水投与群と非投与群に有意差はなかったが、ヘモグロビン値がトリチウム水投与群で有意に低下した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、発がん高感受性モデルマウス(ApcMin/+マウス)を用いてトリチウムによる低線量率ベータ線被ばくによる小腸腫瘍からDNAを採取し、遺伝子変異解析を行い、発がん機構を解明することが目的である。以下のように研究を進めていく計画であった。1) B6-ApcMin/+マウスとC3H野生型マウスのF1マウスを準備し、トリチウム水暴露実験に供する。2) 2週齢のC3H/B6-ApcMin/+ F1マウスに、0.5Gy、1.0Gy及び2.0Gyの内部被ばくに相当する放射能のトリチウム水を腹腔内に投与し、27週齢で体重、脾臓の重量、リンパ球数、血小板数、ヘモグロビン値ならびに小腸・大腸の腫瘍数を調べる。3) 腫瘍の一部から採取した細胞のゲノムDNA を抽出し、18 番染色体の複数のMit マーカーに対するPCR プライマーでDNA フラグメントを増幅し、バイオアナライザーでLOH解析を行いトリチウムによる遺伝子突然変異型を解析する。4) これらのデータを非照射、ガンマ線照射装置でシミュレーション照射及びガンマ線高線量率照射したマウスの結果と比較して、トリチウムに固有の突然変異が生じるかを調べる。 しかし、研究分担者が定年により令和4年度から削除されたことが予想よりも研究遅延に影響が大きかった。さらにコロナ禍の状況も試薬調達等に悪影響を及ぼした。低線量率ガンマ線照射装置の不具合によりApcMin/+マウスの幼若期における照射を実施できなかった。さらにMitマーカーの選択の適正にも疑問が発生したためLOH解析の再検討を行っている。 以上のように予期しない出来事が重なったため、進捗状況に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
延長が認められた1年で下記のように研究を進めていく。 1)B6-ApcMin/+マウスとC3H野生型マウスのF1マウスを準備し、ガンマ線照射実験(高線量率及びシミュレーション照射)を行う。 2)LOH解析の改善を行い非照射のグループと比較して、トリチウムに固有の突然変異が生じるかを検討する。 3)これまでに得られたデータをまとめ、論文作成の準備に取り掛かる。
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Report
(3 results)
Research Products
(11 results)