グルタミン酸回収機構を調節する神経細胞とアストロサイトのクロストーク
Project/Area Number |
20K05963
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38060:Applied molecular and cellular biology-related
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Research Institution | Showa Women's University (2021-2022) International University of Health and Welfare (2020) |
Principal Investigator |
林 真理子 昭和女子大学, 食健康科学部, 准教授 (30525811)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | グルタミン酸 / アストロサイト / グルタミン酸トランスポーター / 神経シナプス形成 / ペリニューロナルネット / ヒアルロン酸 / 神経細胞 |
Outline of Research at the Start |
中枢神経系において,興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸はシナプスに放出されて受容体を活性化した後,神経シナプス前細胞やグリア細胞の一種のアストロサイトに回収されてシナプス伝達が終結する.神経細胞をとりまく細胞外マトリクスであるペリニューロナルネットの骨格を形成するヒアルロン酸の合成はグルタミン酸の回収を支える.ペリニューロナルネットやグルタミン酸トランスポーターの発現・局在・活性を制御する神経細胞―アストロサイト相互作用にかかわる分子を明らかにし,グルタミン酸回収機構を調節して正常な興奮性伝達を維持する仕組みを解明する.
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Outline of Annual Research Achievements |
神経細胞は培養開始後4-5日で神経突起の伸長を始めるが、アストロサイトの分岐形成はこれとほぼ同時に開始すること、この段階で既にアストロサイトの分岐同士が互いを避ける性質を持ち、アストロサイト同士が重ならず排他的な領域を形成しながら空間を埋めていく、タイリング現象に繋がっていることを継時観察によって確認した。そして、グルタミン酸トランスポーターのGLASTやGLT1、GABAトランスポーターGAT3などアストロサイトに特異的な輸送タンパク質や、アストロサイトに特異的な中間径繊維GFAPの発現は、神経シナプスマーカーであるグルタミン酸受容体や小胞型グルタミン酸トランスポーターの発現と並行して上昇すること、リン酸化Ezrinは単独培養アストロサイトの突起の先端にあり神経シナプスへのアプローチに関わるとされるが、GFAPの届かないアストロサイトの突起の先端で、MAP2に標識される神経突起の近傍に局在するものが多いことを免疫染色で観察した。これらの結果について、論文にまとめ、査読に対応し、発表した。 続いて、アストロサイトの形態的成熟に関わる神経細胞との相互作用因子について、CRISPR-Cas9による遺伝子破壊の手法でスクリーニングをおこなった。アデノ随伴ウイルスを用いてアストロサイトに遺伝子導入し、ウイルス陽性の細胞に特異的にアストロサイトの分岐形成やタイリングに影響がみられるものを選定した。そして、二百余の候補遺伝子から、三十余りの形態制御に関わる可能性の高いものを選定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経細胞との混合培養に含まれるアストロサイトで遺伝子破壊を行い、突起の伸長や分岐、タイリング現象などアストロサイトの形態的な成熟に影響を与える頻度が高いものとして、三十余りの遺伝子に絞り込むことができた。これらについては、各種の遺伝子発現データベースでアストロサイトでの発現が特異的かつ顕著であることを確認した。そして、同じ遺伝子を破壊する別のガイドRNAを設計し、同じ表現型がみられるか確認したり、二重に感染させて二か所で遺伝子を切断し確実に遺伝子破壊したりすることで、これらの遺伝子の機能を確認する準備を進めている。また、同じファミリーに属する遺伝子のうち、アストロサイトでの発現が認められるものについてもガイドRNAを設計して二重、三重に遺伝子破壊することで遺伝子同士が機能を補うことを妨げ、表現型がより確実なものになるかを確認することとした。 また、これに先立って、アデノ随伴ウイルスの感染により、対照サンプルでもアストロサイトの形態にしばしば影響がみられることが評価を難しくしていた。そこで培養条件やウイルス感染条件の改善を行い、より安定的に表現型観察ができるようにした。
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Strategy for Future Research Activity |
上記で準備を進めている候補遺伝子の表現型確認と、同じファミリーに属する遺伝子との関係の解析を進めていく。そして、強い表現型を示す遺伝子や、遺伝子群がみつかれば、免疫染色やウェスタンブロッティングでタンパク質レベルでの発現パターンや細胞内局在を調べていく。また、蛍光タンパク質を融合しての遺伝子発現によって細胞内局在や大量発現がアストロサイトの形態に及ぼす影響を評価していく。候補に残っているのはいずれも膜タンパク質なので、そのリガンドや細胞内の結合タンパク質があれば、その遺伝子破壊を行い、アストロサイトの形態に与える影響を評価する。また、神経細胞側に発現する膜タンパク質をリガンドとする場合は、神経細胞側の遺伝子破壊が神経細胞の形態やシナプス周辺のタンパク質の局在、周囲のアストロサイトの形態に与える影響を評価する。ドメイン構造から、ドミナントネガティブの遺伝子の設計が可能であれば、それも試す。このようにして、神経細胞とアストロサイトの間のクロストークに関わる分子間相互作用を明らかにしていく。
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Report
(3 results)
Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Postsynaptic structure formation of human iPS cell-derived neurons takes longer than presynaptic formation during neural differentiation in vitro.2021
Author(s)
Togo K, , Fukusumi H, Shofuda T, Ohnishi H, Yamazaki H, Hayashi M, Kawasaki N, Takei N, Nakazawa T, Saito Y, Baba K, Hashimoto H, Sekino Y, Shirao T, Mochizuki H, Yanemura H
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Journal Title
Mol Brain
Volume: 14
Issue: 1
Pages: 149-149
DOI
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Peer Reviewed / Open Access