域外法人による持続可能な農業参入のあり方ー農地所有権取得の自由化を見据えて
Project/Area Number |
20K06275
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41020:Rural sociology and agricultural structure-related
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
榎本 弘行 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (30453369)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹本 太郎 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (10537434)
中島 正裕 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80436675)
高橋 美貴 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90282970)
澤 佳成 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (70610632)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | 農地法改正 / 法人の農業参入 / 一般法人 / 一般法人の農業参入 / 所有権 |
Outline of Research at the Start |
現在の農業政策は、農外、地域外からの参入自由化や法人の参入の自由化を積極的に進める方向にあるが、一方で地域の農業や農村社会の崩壊に繋がるのではないかが懸念されている。そこで本研究の目的は、第一に、「農地所有適格法人」及び2009年農地法改正後に農地貸借が認められた「一般法人」を対象に、これらが地域外から農業参入した場合に、①地域の伝統・文化、②地域の景観・伝統的農地管理ルール、及び③地域コミュニティといった「地域資源」にどのような影響を及ぼすのかを「実証的」に明らかにすることであり、第二に、これに基づき「持続可能な法人農業参入のあり方を提示することである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、本格的に実証調査を開始した。 2023年、本研究において重要となる法律が制定された。「国家戦略特別区域法及び構造改革特区法の一部を改正する法律」が成立し、特区申請を地方公共団体が行うことができるようになった。自治体が内閣総理大臣に特区申請をし、その認定を受けると、その自治体を介して(一旦農地所有者が農地を地方自治体に譲渡し、これを自治体が一般法人に転売する仕組みによって)、一般法人が農地所有権取得することが可能となった。そこで、2023年に解禁された企業の農地所有権取得について、その手続きに携わることとなる可能性がでてきた自治体の期待と懸念を明らかにすることを2023年度の研究目的とした。そしてこれを踏まえて次のような調査を行った。 (i)調査対象地は、埼玉県・佐賀県・富山県・長野県であり、(ii)調査対象者は、企業の農業参入を担当する課の職員であり、(iii)調査方法は、対面での聞取り調査であり、(iv)調査時期は2023年12月である。 調査内容は、①地方自治体を介した農地所有権取得の評価、②一般法人の農地所有権取得に期待される事項、③一般法人の農地所有権取得に懸念される事項である。 調査結果は、①については、不適正利用に対する抑止力としての効果を期待する意見もあるが、固定資産税確保、農地買取のための予算がない、不正利用の際の後始末を押し付けられる可能性がある等の理由により懸念する意見もあった。②については、農村景観の向上、企業の好感度上昇、周辺地域での農業以外の産業の売り上げ上昇、治水・土砂崩れ防止・災害防止の効果、農の学習、教育効果、地域の雇用創出、農家数の維持に関する効果が期待されること等が明らかになった。③については、農地からの撤退、農地の転売、農地の投機、農地への廃棄物の投棄、周辺営農環境の阻害について懸念あること等が明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は調査を中心とする実証研究であったが、新型コロナウイルス感染症の流行の影響で、調査が2年程できない状況にあったため予定が後ろ倒しとなっており、期間全体として進捗に遅れが生じている。加えて研究代表者の体調不良が続いたことも、遅れの原因となっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、下記の調査を行い、内容を取りまとめて学会等で研究発表を行う。。 ①兵庫県養父市への聞き取り調査―特区制度により一般法人の農地所有が行われていた養父市に聞き取り調査を実施。自治体が抱える業務上の課題や不安、企業の農地所有に期待する点、企業の撤退が発生した際の対応状況等を調査する。②農業参入企業への聞き取り調査―農地所有適格法人を設立して参入した企業に対して聞き取り調査を実施。貸借ではなく、農地を所有することのメリットや参入方式の選択理由を調査する。③全国の自治体に対するアンケート調査―予備調査や前述の聞き取り調査、文献調査をもとに調査対象の選定および調査項目の作成を行い、全国の自治体に対してアンケート調査を実施。2023年に解禁された企業の農地所有権取得について、その手続きに携わる自治体の期待と懸念を明らかにする。
|
Report
(4 results)
Research Products
(37 results)