Project/Area Number |
20K06444
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 42030:Animal life science-related
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
岩澤 淳 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (90242742)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | ニワトリ胚 / 卵黄嚢 / 糖代謝 / ニワトリ / 糖新生 / 卵黄 / ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ / 胚 / 血糖値 / 代謝 |
Outline of Research at the Start |
鳥類の胚は卵黄と卵白だけを栄養源として育つ。鳥類の卵黄を包む卵黄嚢が栄養を入れる袋というだけではなく,その栄養分を利用可能な形で胚に供給するための酵素を持った代謝臓器でもあることは,あまり注目されていない。一方,顕著な高血糖動物である鳥類はすでに胚期から血糖値が高いが,卵内の糖質は卵重の約1%と少ないので,高い血糖値の維持には糖新生が不可欠である。本研究は鶏胚の孵卵期間を通じてもっとも大きい代謝臓器である卵黄嚢における糖代謝を調べる。孵化に備えたエネルギー源として糖を貯蓄する一方で糖を血中に放出して血糖値を高めるという資源の巧妙なやりくりに際して卵黄嚢が果たす生化学的な役割の解明をめざす。
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Outline of Annual Research Achievements |
鳥類の胚は,卵黄と卵白だけを栄養源として育つ。顕著な高血糖動物である鳥類は,すでに胚期から血糖値が高いが,産卵された卵内の糖質は卵重の約1%と少ないので,高い血糖値の維持には糖新生が不可欠と考えられる。本研究では,鶏胚を対象として卵黄嚢における糖代謝を調べた。卵黄嚢は代表的な代謝臓器である肝臓よりも孵卵期間を通じてはるかに大きい。孵化に備えたエネルギー源として糖を貯蓄する一方で糖を血中に放出して血糖値を高めるというやりくりに際して卵黄嚢が果たす生化学的な役割を解明することを目的とした。採卵鶏種卵の卵黄嚢膜を孵卵期間中を通じて採取し,糖新生の鍵酵素について遺伝子発現と酵素活性を定量した。乳酸,トリグリセリド,遊離脂肪酸,卵黄嚢膜のグリコーゲンおよびグルコース,血糖値も定量した。 すべての酵素について,遺伝子発現および活性は陽性であった。発現量と酵素活性の違いは,以下のように,胚の発生段階ごとの生理的要求を反映していると思われた。孵卵1週目から2週目半ばまでは,糖新生酵素の発現・活性と乳酸濃度が高く,乳酸からの糖新生が活発であることが示唆され,漿尿膜の毛細血管が完成する前の胚が低酸素状態である可能性を反映している。胚が好気的状態にある第2週半ばから第3週半ばにかけて,卵黄嚢のトリグリセリドと遊離脂肪酸の含量が増加した。卵黄脂質のトリグリセリドが加水分解されてエネルギー源となる脂肪酸が生成され,グリセロール骨格は糖新生に利用されることが示唆された。胚が再び嫌気状態になると考えられる第3週後半には,グルコース-6-ホスファターゼのみの遺伝子発現と酵素活性が高くなり,卵黄嚢内のグリコーゲン量が減少していた。したがって,この時期は糖新生の活性が低く,卵黄嚢膜に蓄えられた糖質が血液中に分泌され,孵化のためのエネルギーとして利用されていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は本研究計画において予定していた研究の大部分を終えることができた。これらの成果について,学術論文1本を投稿(審査中),1本を6月頃に投稿予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前項記載のように,2022年度は本研究計画において予定していた研究の大部分を終えることができた。一方,胚外臓器である卵黄嚢と胚内臓器である肝臓,腎臓等との比較については学術論文に値する十分な成果が得られていない。また,研究の展開として計画していた卵黄嚢の培養法の確立を通じた「単層臓器の生化学」への展開についても,最終年度へ向けた課題として残っている。さらに,コマーシャル鶏種は遺伝的背景が伏せられているものが多いが,これまでに行った実験結果では大きな品種差が認められた。 このため,ナショナルバイオリソースプロジェクト等が提供している遺伝的背景の明確な系統を用いて系統間での糖代謝の差異を検討し,知られているゲノム情報を参照することで,胚の糖代謝の特徴を浮き彫りにすることができるのではないかと考えている。同プロジェクトのウズラリソースには血糖値が高い系統と低い(哺乳類よりははるかに高い)系統が存在する。これらの系統間で血糖値を維持する生化学的メカニズムの比較,および高血糖値の補償機構を解明することで,鳥類の高血糖の本質に迫ることができると考えられる。これらの項目については次年度の科研費申請に向けて準備を行っている。
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Report
(3 results)
Research Products
(2 results)