バイオマーカーを利用した耐乾性コムギ育種法の確立および代謝物QTL解析
Project/Area Number |
20K06759
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45010:Genetics-related
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
妻鹿 良亮 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教(テニュアトラック) (80738526)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 節水型耐乾性 / コムギ / メタボローム / QTL解析 / 代謝物 / メタボロミクス / 代謝物QTL解析 / バイオマーカー |
Outline of Research at the Start |
本研究では、節水型耐乾性形質のモデル系統であるアブシシン酸受容体過剰発現コムギで見出した生理学的特徴および乾燥ストレス環境下での生産力データを基に、スーダンの圃場にて湿潤区と乾燥区で栽培したコムギ160系統から節水型耐乾性候補系統を選抜する。選抜系統から作出した交配系統群のゲノム解析を行い、候補系統から同定した節水型耐乾性系統で蓄積する代謝物の情報とを組合せて原因遺伝子座の同定を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
アブシシン酸受容体遺伝子の過剰発現によって、気孔を閉鎖気味に保ち、蒸散による水の消費量を抑制しても、種子収量を維持できる「節水型耐乾性」形質をコムギが獲得できることを先行研究において見出した。しかし、遺伝子組換え作物の社会的許容の観点からも遺伝子の過剰発現では栽培系統としての確立は現在の時世的に難しい。そのため本研究では、43種類のDゲノムドナーを親に持つ多重合成コムギ派生(MSD)集団という多様な遺伝的背景を持つ自然交配系統から節水型耐乾性系統の探索を行う。節水型耐乾性コムギは非節水型と比較してさまざまな特徴が見られ、これらを指標とすることで選抜が可能と考えられる。しかし、いずれの表現型データの取得には、ある程度の大きさ、あるいは登熟まで植物を育てる必要があるため、申請者はより簡便な選抜方法を確立することを目的にそれらの形質と相関する代謝物(バイオマーカー)を探索する。実験材料として、これまでにMSD集団から選抜した節水型あるいは非節水型の親系統どうしの交配によって作出したF7世代のRIL集団(222系統)が得られている。本年度は当該集団を鳥取大学乾燥地研究センターのレインアウトシェルター圃場で栽培を行い、CO2ガス交換速度、蒸散速度、クロロフィル蛍光を測定し、節水形質の評価を行った。バイオマーカー探索のためのメタボローム解析については、予備実験によって乾燥ストレス条件の強さに依存して変化する代謝物を同定した。また、サンプルの採取を行い、R5年度にGCMSによる全系統のメタボロームデータの取得を行う予定である。QTL解析については、F7系統のそれぞれからゲノムDNAを抽出し、GRAS-Diゲノムシーケンスサービスを利用してシーケンスデータを取得し、神戸大の松岡由浩教授の協力のもと、QTL解析パイプラインの整備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R4年度において、遺伝的背景が概ね固定化されたF7世代の集団を用いた形質評価のための栽培試験を開始した。鳥取大学乾燥地研究センターにR4年度に整備されたレインアウトシェルター圃場にて栽培を開始し、厳格な土壌水分の制御によって湿潤区と乾燥区を作り出し、それぞれの環境下でCO2ガス交換速度、蒸散速度、クロロフィル蛍光の測定を行った。また、メタボローム解析に供試するサンプルの採取を行った。以上、種々の形質についてのQTL解析を行う準備を整えることができたことから、研究はおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
R5年度において、栽培した系統集団の農業形質のデータ取得、炭素同位体比分析サンプルの採取、分析の実施、データ解析に加えて、光合成活性データとR4年度に取得したゲノムシーケンスデータを組み合わせたQTL解析を実施する予定である。まずは、種々の耐乾性形質(光合成速度、炭素同位体比、農業的形質をもとにした耐乾性indexなど)とゲノムシーケンスデータを使用して形質のQTL解析を行う。またF7世代のRIL集団の各系統のメタボローム解析を実施し、まずはR4年度の予備実験において注目した代謝物の合成分解に関わるQTLの同定を目指す。節水型耐乾性と関連するバイオマーカーは、種々の耐乾性形質をもとにしたQTL解析結果との比較によって同定する。
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Report
(3 results)
Research Products
(11 results)