コレステロール誘導体による生体内脂質の新規合成制御機構の解明
Project/Area Number |
20K07329
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 48040:Medical biochemistry-related
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
安戸 博美 獨協医科大学, 医学部, 助教 (10704885)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | リン脂質 / コレステロール / 細胞膜 / ヒストンアセチル化 / p300 / NF-Y |
Outline of Research at the Start |
申請者らは、細胞膜を構成する主要なリン脂質であるホスファチジルエタノールアミン (PE)と、同じく細胞膜を構成する脂質であるコレステロールの合成がコレステロール誘導体(オキシステロール)により同様の機構で制御される事を明らかにしてきたが、いまだ詳細な分子基盤は不明である。 本研究では細胞膜に存在する脂質の合成制御機構の詳細を解明し、細胞膜脂質の量比の異常に起因する疾患の理解や、人為的な脂質合成制御の治療応用を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
これまでに我々は、細胞膜を構成する主要な脂質であるホスファチジルエタノールアミン(PE)と、コレステロールの合成制御機構に注目し解析を進めてきた。その結果、それら脂質の合成がコレステロール誘導体(オキシステロール)により同様の機構で制御される事を明らかにしてきた。オキシステロールは転写因子NF-Yによるヒストンアセチル化を抑制し、PE合成の律速酵素ETおよびコレステロール合成の律速酵素Hmgcrの転写を負に制御することが明らかになった。その制御機構の詳細を分子基盤から明らかにする。 1.ETおよびHmgcrのオキシステロールによる転写抑制機構の解明 転写促進因子NF-YはETやHmgcrのプロモーターに結合し、ヒストンアセチル化酵素p300をリクルートする。p300はヒストンをアセチル化し転写を正に制御する。 代表的なオキシステロールである25-HCはこのp300のリクルート、ヒストンアセチル化を阻害し転写を抑制する。我々が見出した以上の研究成果を踏まえ、p300とNF-YBの直接の結合や25-HCによる転写因子複合体の変化を確認するための実験を進めている。 2.PEの合成制御により細胞膜のホスファチジルコリン(PC)とPE比の異常が改善されるのか PCとPEは細胞膜を構成する主要なリン脂質である。PC/PE比の低下により発生したマウスの脂肪肝、肝不全がその量比を人為的に正常に戻すことで改善するという報告があるため、PC合成の律速酵素CTαのKO細胞を作成しPC、そしてPC/PE比を低下させる。そこにオキシステロールを投与しPEを低下させ、PC/PE比が正常に戻るのか確認する。また、PCを低下させたことによる細胞内のリン脂質組成の変化をLC-MS/MSを用いて評価する。上記を目的としてCTαのKO細胞を作成し、LC- MS/MSを用い細胞内のリン脂質の解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
免疫沈降法(IP)でのp300とNF-YBの直接の結合の確認、その結合が25-HCにより阻害されるかの検討が難航した。そのため、ETプロモーター領域に特異的に結合するタンパク質を解析できるDNA pulldown assay法を用いて検討をした。新たな実験系を組み立てることに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
p300とNF-YBの直接の結合の確認が難しかったため、p300とNF-Yが形成する巨大な転写因子複合体中に存在する因子の同定を行う。DNA pulldown assayを行い、ETプロモーター領域に結合する転写因子複合体を回収する。その複合体をnano LC-MS/MS (Sciex 6600) で解析し、構成タンパク質の詳細を同定する。さらに25-HC添加の有無により複合体を構成するタンパク質の違いを見出し、オキシステロールによる転写抑制機構にどのような タンパク質が関与するのかを同定する。オキシステロールによる転写制御に関与するタンパク質が同定できた場合、オキシステロールとの直接の結合の有無を確認する。また、CTαKO細胞が樹立されたため、細胞内の脂質組成をLC-MS/MS(Sciex5500)で解析し、細胞内のリン脂質組成の変化を検討中である。PCやPEの絶対量の変化も確認し、PC/PE比が低下していた場合は細胞内にオキシステロールを投与してPE量を低下させ、PC/PE比が正常に戻るのか確認する。もし、PC量の低下が見られない場合はCTα以外のPC合成酵素のKO細胞を樹立し、検討する。
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Report
(3 results)
Research Products
(4 results)