放射性銅(Cu-67)の活用による効果的・効率的がん治療の実現
Project/Area Number |
20K08090
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52040:Radiological sciences-related
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
飯田 靖彦 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (60252425)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 放射性銅 / 67Cu / 核医学治療 / がん / somatostatin / 放射性薬剤 / マウス / Cu-67 / 内用放射線療法 / がん治療 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、β-線のエネルギーが高ければ腫瘍の大小にかかわらず治療効果が高いのか、腫瘍サイズに応じた最適のエネルギーが存在するのか、あるいはエネルギーの低いβ-線が効率的な治療に結びつくのか、を明らかにするため、1) 67Cu標識薬剤を設計・合成し、担がんモデルマウスを用いて分布動態、抗腫瘍効果を評価する、2) 腫瘍サイズと67Cu標識薬剤の治療効果の関係を明らかにする、3) 90Y標識薬剤の治療効果と比較検討する、の3段階で実験を実施する。
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Outline of Annual Research Achievements |
90Yなどから放出される高エネルギーβ-線は、高い治療効果を示す一方で飛程が長いために周辺臓器への被ばくが生じ、投与量が制限される。飛程の短い低エネルギーβ-線放出核種を利用すれば周辺臓器への被ばくが抑えられ、大量投与による効果的な治療が実現できると期待されるが、腫瘍サイズが大きいと腫瘍全体に放射線が照射されず、十分な治療効果が得られない可能性がある。本研究では低エネルギーβ-線放出核種である67Cuに着目し、がん治療における有効性を調べるとともに、67Cuによる核医学治療の臨床的有用性を基礎的に評価することを計画した。これまでの検討で、神経内分泌腫瘍 (NET) を標的とする67Cu-ToDBTTATEが担がんマウスにおいて腫瘍抑制効果を示すこと、また1,300 mm3未満の腫瘍サイズでは67Cu-ToDBTTATE投与群の腫瘍抑制効果に差異がないことを予備的に検証した。今回、腫瘍サイズと67Cu-ToDBTTATEの腫瘍抑制効果の関係に差異がないことを確認する目的で、モデルマウスの右腹側部にラット膵線がんAR42J細胞を移入し、腫瘍サイズにより4グループに分類し、各グループについてcontrol群と67Cu-ToDBTTATE投与群を作製して2群間の腫瘍サイズを比較した。その結果、4グループともにcontrol群と67Cu-ToDBTTATE投与群の2群間に腫瘍サイズの有意な差を認める一方、腫瘍サイズが800 mm3を超えるグループでは67Cu-ToDBTTATE投与による腫瘍抑制効果が減弱する傾向を認めた。また、腫瘍サイズが200 mm3未満のグループでは、十分な腫瘍抑制効果が得られないことも明らかとなった。今後は、この知見をもとに67Cuの腫瘍内における分布とその効果を検証し、更なる67Cuの臨床的有用性を示していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
23年度は腫瘍サイズと67Cuの腫瘍抑制効果の関係について検証を行った。2.5×106個のラット膵線がんAR42J細胞を7週齢の雄ヌードマウスの右腹側部に移入後、腫瘍の成長を待ち担がんマウスを作製した。担がんマウスをランダムに2群に分け、1群には67Cu-ToDBTTATEを投与し、他の1群は未処置、あるいは生理食塩水または同量のToDBTTATE (ligand)を投与した。投与日を0日として14日まで経時的に腫瘍の長径aと短径bを計測し、[腫瘍サイズ(mm3)=a×b2/2]に代入して腫瘍サイズを算出した。同時にマウスの体重も測定した。未処置群、生理食塩水投与群、およびToDBTTATE (ligand)投与群をまとめてcontrol群とし、0日時点での腫瘍サイズにより、<200 mm3、200~500 mm3、500~800 mm3、>800 mm3の4グループに分類した。67Cu-ToDBTTATE投与群も同様に4グループにわけ、各グループについてcontrol群と67Cu-ToDBTTATE投与群の2群間の腫瘍サイズを比較した。解析の結果、腫瘍サイズが200~800 mm3のグループでは67Cu-ToDBTTATE投与2~6日で腫瘍の成長を抑制したが、>800 mm3では投与12~14日になって初めて有意な腫瘍抑制効果を示しており、腫瘍サイズが800 mm3を超えると腫瘍抑制効果が減弱する傾向を認めた。一方で、腫瘍サイズが200 mm3未満のグループでは、十分な腫瘍抑制効果が得られておらず、実験の妥当性を含め、200 mm3未満で腫瘍抑制効果を示さない原因を明らかにする必要性が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
低エネルギーβ-線放出核種である67Cuが腫瘍サイズに関係なく腫瘍抑制効果を示すかどうかを調べた今回の検討では、腫瘍サイズが800 mm3を超える場合に腫瘍抑制効果が減弱する傾向を示すことを認めた。一方で腫瘍サイズが200 mm3未満の群では、十分な腫瘍抑制効果を認めない結果となった。200 mm3未満では、受容体の発現が未発達でligandが十分に集積していない、あるいは血管新生が未成熟で組織が低酸素状態にあり、低エネルギーβ-線による障害作用を受けにくい可能性が考えられ、この点について検証する必要がある。 また、高エネルギーβ-線を放出する90Y標識薬剤でも同様の結果が得られるかについても検証していく。AR42Jラット膵臓外分泌腺癌細胞をヌードマウスに移入し、腫瘍が約1cmに成長した後(2~3週間)、動物実験に使用する。90Y標識SST誘導体 0.925 MBq、1. 85 MBq、3.7 MBqを担がんモデルマウスに投与する。対照としてsalineあるいは等量の未標識体を投与したマウスも用意する。腫瘍の成長を2、3日間隔で2~3週間観察し、67Cu標識薬剤の結果と比較検討し、得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行っていく。
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Report
(3 results)
Research Products
(5 results)