Project/Area Number |
20K08946
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55010:General surgery and pediatric surgery-related
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Research Institution | Kanagawa Children's Medical Center (Clinical Research Institute) |
Principal Investigator |
田中 水緒 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 部長 (60565232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永原 則之 日本医科大学, 医学部, 准教授 (10208043)
田中 祐吉 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 医師 (50420691)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 小児呼吸器腫瘍 / 胎児肺間質腫瘍 / RNAシーケンス / β-catenin / FGFR4 / 先天性嚢胞性肺疾患 / 次世代シーケンサー / RNAシークエンス / 診断マーカー / プロテオーム解析 |
Outline of Research at the Start |
小児がんは1歳以上の病死の原因としては第1位であり、小児の健やかな育成という観点からも有効な対策が求められる。しかし小児呼吸器腫瘍は小児がんの中でも希少で、より頻度の高い白血病や神経芽腫群腫瘍、肝・腎腫瘍などに比べて研究はほとんど進んでいないの現状である。小児呼吸器腫瘍の種類は小児や若年に特有のものがあり、成人の肺癌とは異なる病因で発症するものもあり、その診断・治療には成人とは異なるアプローチが必要な場合がある。本研究では、小児呼吸器腫瘍の分子生物学的背景を明らかにし、特異性の高い診断マーカーを同定し、迅速・正確な診断を実用化することと、遺伝子異常を標的とした創薬への発展を目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
小児呼吸器腫瘍は肺の発生異常や家族性の腫瘍素因が背景にあることや、喫煙などの環境要因の程度が低いことなど成人の肺癌とは異なる病因で発症することが多い。本研究では、小児呼吸器腫瘍の分子生物学的背景を明らかにすることで、病態を解明しその中から特異性の高い診断マーカーの同定を行うことを目的に、次世代シーケンサーを用いて、新生児期・小児期にみられる呼吸器腫瘍の細胞遺伝学的背景を解明および診断マーカーの確立を試みた。 本研究でRNAシーケンスで検討を行った疾患の中でほぼ新生児・乳児に限って発症し、その病因が解明途中である胎児肺間質腫瘍(fetal lung interstitial tumor, FLIT)からFGFR4遺伝子の病的変異を見いだした。同病変は比較的新しい疾患概念であり、世界的にも20例程度の報告例を認めるのみである。本腫瘍にALK融合遺伝子が検出されることは複数の症例で既に報告されている。一方、同融合遺伝子は検出されないFLITが存在し、現時点ではその他の遺伝子異常の報告は乏しい。ALK融合遺伝子陰性のFLITは免疫組織学的にβ-cateninが陽性となることを我々は2013年に報告している。FGFR4遺伝子変異がGSK3β/β-cateninシグナルカスケードに関与していることにより、免疫組織学的にβ-cateninの核陽性として検出されている可能性が示唆される。今回我々はALK融合遺伝子陰性・β-cateninのFLITにFGFR4遺伝子の病的変異を検出し、この結果、従来FLITと診断されてきた腫瘍が分子病理学的な異常を背景に少なくともALK融合遺伝子とFGFR4遺伝子の病的変異を持つ2グループが存在することが示された。これら病因となる遺伝子異常はいずれも遺伝子標的治療の開発が進んでおり、現時点では完全切除のみの治療法の選択肢が広がる可能性が期待される。
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