骨芽細胞が産生する新規SLRPを介した脂肪細胞分化・脂質代謝の制御機構の解明
Project/Area Number |
20K09875
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57010:Oral biological science-related
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田村 正人 北海道大学, 歯学研究院, 特任教授 (30236757)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 潔美 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (90399973)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
|
Keywords | オステオアドヘリン / 骨芽細胞 / 脂肪細胞 / オステオアドへリン / プロテオグリカン |
Outline of Research at the Start |
近年,骨と他の全身の臓器とのさまざまな関連性が注目されている。脂肪組織が産生するアディポサイトカインが骨に及ぼす作用は報告されているが,その反対の骨組織から脂肪組織へのシグナル分子は未だ明らかでない。本研究では,骨に存在する骨芽細胞が産生するsmall leucine rich proteoglycan (SLRP)2型の一つであるオステオアドへリン分子に注目し,このオステオアドへリンが,脂肪組織の脂肪細胞分化や脂質代謝に及ぼす作用とそれらの機序を明らかにする。すなわち,骨と脂肪組織の異種組織間の恒常性維持のための機能的なクロストークのメカニズムを明らかにする研究である。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、SLRPの一つであるオステオアドへリン (Osad)について、骨組織と脂肪組織の異種組織間の機能的なクロストークの詳細な分子機構を調べ、この分子が骨組織から脂肪組織へのシグナル分子として脂肪細胞分化や脂質代謝に及ぼす作用とその機構を明らかにする。まず、組換えOsadのための発現プラスミドを作成し293細胞にトランスフェクションした。培養上清を回収し、これを用いてOsadの効果を調べた。培養上清を3T3-L1細胞に加えて培養し、Oil RedO染色を行い脂肪細胞分化について調べた。培養上清の添加によりOil RedOで染色された細胞は増加し、脂肪細胞分化の促進が明らかになった。ここに同時にsclerostinを加えたところ、脂肪細胞分化はさらに促進された。この培養系でトータルRNAを採取し、脂肪細胞分化、脂肪酸の取り込み・輸送・酸化など脂質代謝に関わる分子の発現を調べたところ、PPARγ,C/EBP-α, LPL (1ipoprotein 1ipase),FAT (fatty acid transporter),UCP (uncoup1ing protein)などの発現の発現量が増加した。すなわちOsadは脂肪細胞分化のみならず,脂肪酸合成といった脂質代謝系に対しても影響を及ぼした。Osadは小型プロテオグリカンであり,そのコアプロテインにはロイシンリッチリピートドメイン,硫酸化チロシンドメインなど複数のドメイン構造が明らかになっている。そこで、Osadの種々のdeletion mutantを作成し、同様の検討を行った。Osadのコアプロテインのロイシンリッチリピートドメインを失わせると脂肪細胞分化の促進作用が失われた。本年度までに得られた結果から、SLRPのロイシンリッチリピートドメインが脂肪組織における脂質代謝に影響を及ぼすことが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度の研究計画に基づき研究を実施し,以下の研究成果を得たため。 293細胞にOsad発現プラスミドをトランスフェクトし,培養上清を得た。この培養上清を3T3-L1細胞に加えて培養したところ,Oil RedO染色の増加が見られた。また,全RNAを採取しPPARγ、C/EBP-α、LPL (1ipoprotein 1ipase)、FAT (fatty acid transporter)、UCP (uncoup1ing protein)などの発現についてリアルタイムPCRを用いて調べたところ、mRNA発現が増加した。これらの研究成果はOsadが脂肪組織の脂肪細胞分化のみならず,脂質代謝系に対しても影響を及ぼすことを示している。さらに、Osadの種々のdeletion mutantを作成し、同様の検討を行った。Osadのコアプロテインのロイシンリッチリピートドメインを失わせたところ、Oil RedO染色の増加が減少した。また、PPARγ、C/EBP-α、LPL およびUCPのmRNA発現の増加も減少し、脂肪細胞分化の促進作用が失われた。これらの結果から、Osadのコアプロテインのロイシンリッチリピートドメインが脂肪細胞分化により重要であるという新規の知見が得られ、Osadが脂肪細胞分化・脂質代謝の調節因子という新たな可能性が考えられた。これらより、本研究はおおむね順調に進展していると考えられた。
|
Strategy for Future Research Activity |
小型プロテオグリカンであるOsadのコアプロテインには、複数のドメイン構造が明らかになっている。今後の方針としては、このOsadとLRP、sclerostinなど他の分子との分子間相互作用を調べる。それぞれのcDNAを用いドメイン構造の種々の変異体発現ベクターを作成する。これらの発現ベクターを細胞にトランスフェクトする。その後、培養細胞から抽出した溶液を抗体で免疫沈降したのち,タグ抗体でウエスタンブロットを行う。これらの検討によりOsadと他分子の相互作用とそれに関わるドメインを同定する。これにより、Osadの脂質代謝調節ドメインが明らかになると考えられる。それらのドメインの合成ペプチドを作成し脂肪細胞分化に及ぼす影響についても検討を行う予定である。
|
Report
(3 results)
Research Products
(2 results)