The politics of securitization and desecuritization of "boat people" in Australia
Project/Area Number |
20K12351
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
|
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
飯笹 佐代子 青山学院大学, 総合文化政策学部, 教授 (30534408)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 真弓 名古屋商科大学, 国際学部, 教授 (20259344)
加藤 めぐみ 明星大学, 人文学部, 教授 (30247168)
山岡 健次郎 群馬県立女子大学, 国際コミュニケーション学部, 准教授 (10584394)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | オーストラリア / ボートピープル / 難民 / 安全保障化 / 境界 / 難民文学 / 難民アート / 多文化社会 / 多文化主義 / ボートピープル(庇護希望者) / 安全保障化/脱安全保障化 / 密航 |
Outline of Research at the Start |
移民・難民の「安全保障化」、すなわち、彼(女)らを、国家の安全や社会秩序を脅かす存在として国家安全保障の政策対象と見なす現象が世界的に顕在化している。多文化主義を掲げてきたオーストラリアにおいても例外ではない。本研究は、同国に密航船で到来する庇護希望者(ボートピープル)の「安全保障化」をめぐる諸相を、従来の政治学的アプローチを超えた広い視座から学際的に解明する。特に、政府の非人道的な政策に異議を唱え、対抗する人びとの存在やさまざまな営為(支援活動や文化芸術を通じた活動も含む)にも注目し、脱「安全保障化」に向けた可能性と課題について、既存研究の枠を超えて議論することの意義を提起する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
メンバーによる計3回の研究会を、2022年9月8日、12月9日、2023年3月21日にオンラインで実施した。9月にはゲスト講師として昔農英明氏(明治大学)を招き(報告テーマは「現代ドイツにおける難民・非正規移民の出入国・滞在管理」)、ドイツとオーストラリアの違いや類似性に着目しつつ意見交換を行った。 飯笹は、オーストラリアがマヌス島(パプア・ニューギニア)に設置した国外難民収容施設から、監視の目をかいくぐって執筆や映像、風刺画等の作品をSNSを通じて外部に発信し、 過酷な収容への抗議を伝えた2人の収容者の創作活動とその影響について考察した。その成果は、日本国際政治学会(10月)、本科研の研究会(12月)、中央大学の研究会(1月)で発表した。 鎌田は、文献・資料を用いて豪北部海域における「脅威」認識を歴史的に振り返り、アジア人労働者/漁民の入域管理と陸地中心主義的な海の領域化の補完関係を検討した。特に1970年代のボートピープルの到着以降は、国益保全を大義として外国漁船の違法操業と「密航者」の取り締まりが強化され、安全保障の最前線として北部海域が再認識されることになった経緯を明らかにした。 加藤は、「排斥言説」に対抗する難民の言説とアクティビズムについて、比較の観点から先住民作家リア・パーセルの作品やMichelle de KretserのThe Life to Come (2017)について精査し、前者について論考を執筆した。またC. Atkins、Z. Fraillon、 J. Frenchらのヤングアダルト小説にみる難民問題の表象について考察した。 山岡は、第47回社会思想史学会において、「『地表の権利』を行使するーグローバルな難民移動が作り出す境界領域」という自由論題報告を行った。また、2023年2月に渡豪し、オルバリー郊外に残されているボネギラ移民受け入れセンター跡を現地調査し、その調査報告を3月の本科研の研究会(3月)において行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オーストラリアでの現地調査に関して、メンバーのうち1名はヴィクトリア州にて実施できたが、8月にシドニーを中心に行う予定であった他の3名は、現地の新型コロナ感染状況により中止せざるを得なかった。入手し得る文献・資料・映像等を最大限に活用しながら研究を進めたが、次年度中に現地調査を実施することで遅れを取り戻したい。
|
Strategy for Future Research Activity |
各メンバーはそれぞれ以下を中心に研究を進め、計3回程度の研究会を設けて最新の研究成果を共有するとともに、新たな知見を得るために関連分野の専門家をゲストスピーカーとして招聘する。また、新型コロナの感染状況により中止せざるを得なかったオーストラリアでの現地調査を実施したい。それらの成果をとりまとめ、書籍として刊行することを目指している。 飯笹は、引き続き「難民とアート」をテーマに、難民問題に関わるアーティストらの創作活動や関連のプロジェクト等に注目するとともに、豪政府のボートピープル政策に対するさまざまな抗議活動や世論の動向について現地調査を踏まえつつ考察を進める。加えて、研究全体の総括を行う。 鎌田は、ボートピープルに対する北部海域管理政策の強化と、多文化政策の文脈における難民定住支援の施策を対比させることによって、異なる難民観の存在を明らかにし、さらにはそこにおいて何が「不可視化」されてきたのかについて考察する。 加藤は、文学者によるアクティヴィズムの実践についてJanet GalbraithやArnold Zableにインタビューを行う予定である。また児童文学やヤングアダルト小説分野での、難民への「排斥言説」に対抗する文学的手段としての啓発的な作品をさらに精査する。 山岡は、昨年度末のオーストラリアでの現地調査をもとに、まずはオーストラリアの移民・難民受け入れの歴史の中にボネギラという場を位置付け、その意義について考察する。さらにその成果を論文として公刊していく。
|
Report
(3 results)
Research Products
(19 results)