インクジェット技術を利用した細胞Durotaxis誘導基材作製の確立
Project/Area Number |
20K12661
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 90120:Biomaterials-related
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
津留 美紀子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生命理工学センター), 准研究員 (60399574)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | Inkjet patterning / Gelatin / Durotaxis / Protease / AFM / インクジェットパターニング / ゼラチン / 酵素活性測定 / Protease hydrolysis |
Outline of Research at the Start |
創傷治癒やがん転移、細胞分化に関与する細胞遊走の一つで、細胞が基質の硬さを感知し、軟から硬領域へ遊走する現象(Durotaxis)は、細胞と基質の相互作用を理解する上で重要である。Durotaxisを誘導する弾性勾配基材の設計には、高額なフォトマスクが必要で、複雑な弾性勾配基材の設計には限界がある。 そこで、弾性勾配基材の新しい設計に、インクジェットパターニング技術を用いて酵素溶液を足場基材の表面に極微量滴下し、酵素加水分解に伴い弾性勾配を作製させる手法の確立を目指す。多様な弾性勾配パターニング足場基材を作製し、Durotaxis誘導および細胞挙動を容易に計測可能なシステムを構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、細胞が基材の硬さを認識し、軟から硬領域を指向し遊走する現象(Durotaxis)について、この現象を制御することで細胞の分化能を基材の物性から制御する足場基材の設計技術を目指している。具体的には、ハイドロゲルの表面にインクジェットパターニング技術を用いて極微量の加水分解酵素を滴下する。滴下後、酵素加水分解反応が進むことでハイドロゲルの弾性を改変させる。この方法を用いて複雑なパターンでハイドロゲルの弾性勾配を作り出し、この表面で細胞の振る舞いを解析することで、Durotaxis誘導を任意に制御できるような手法の確立を進めている。 研究実績:原子間力顕微鏡を用いた弾性測定法の実験系の構築に向けて、ゼラチン以外のナノファイバー材料を用いた手法についても検討を進めた。実験に用いたポリL乳酸ハイドロゲルについて、走査電子顕微鏡観察により数十nmのナノファイバーネットワーク構造であることを確認した。しかしながら、ファイバー密度が不均一な構造であることも確認しており、この構造は酵素加水分解による弾性勾配の制御に影響が出ることが示唆され、今後さらに検討する必要がある。 本研究で培ったハイドロゲル表面観察技術を応用して、湿度の制御が必要な微生物の増殖過程を光学顕微鏡観察する手法を確立した。この方法で得られたタイムラプス観察動画は、Nikon Small World CompetitionのHonorable Mentions に選出するに至った。また、本研究に関連する共著論文を3報発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
従来法で弾性改変したゼラチンゲルを用いた原子間力顕微鏡(以下AFM)の弾性測定実験を進める上で、AFM計測中に、サンプルが固定できず、詳細な解析ができないことが明らかになってきた。そこで、AFMを用いた水中計測が可能な、ハイドロゲルの固定方法の検討を進める。また、ハイドロゲル計測に最適なAFMのプローブの選択なども検討が必要であることから、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
Durotaxis誘導可能な弾性勾配足場基材の設計条件を見出すため、以下の通り進める。 1)現状でAFM液中計測がうまくできない原因と考えられるハイドロゲルの固定方法と、ハイドロゲルの厚みなどを検証する。またこれらの変更に伴うハイドロゲルへの酵素加水分解効率への影響について従来法と比較し、弾性勾配足場材料設計技術とAFM計測の互換性を図る。 2)AFM計測サンプルとしては非常に柔らかい材料であるハイドロゲルの弾性変化を詳細に解析するために、数種のAFMプローブで計測データを検証し、測定条件の最適化を進める。 3)1,2 で検討した実験系を元に、さまざまな条件の弾性勾配足場材料が得られるように、様々なインクジェット滴下条件、酵素反応条件で足場材料の設計を進め、Durotaxis誘導を検証する。
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Report
(3 results)
Research Products
(9 results)