Developing Educational Methods for Fostering Critical Thinking Skills in EFL: Focusing on the International Baccalaureate English Courses
Project/Area Number |
20K13884
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
赤塚 祐哉 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (30760748)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 教材開発 / 批判的思考態度 / 高次思考力 / 問いへの応答 / 英語難易度の判定 / 欧州言語参照枠 / 国際バカロレア / 批判的思考態度の涵養 / 批判的思考力の育成 / 英語による生産型スキル / 学習指導要領との接合 / 英語授業アプローチ / 暗黙知としての教師の意識 / 批判的思考指導 / 国際バカロレアにおける教育諸理論 / 批判的思考 / 教育方法 / 英語授業 |
Outline of Research at the Start |
本研究では英語授業において批判的思考力を育成するための新たな教育方法を開発し、その一般化を図ることを目的とする。そこで、本研究で焦点を当てるのが「国際バカロレア・ディプロマプログラム(IBDP)」である。IBDPは高等学校段階を対象とした国際的な教育プログラムで、国や地域の枠組みを越えた制度設計がなされており、学習者の批判的思考力の育成を大きな特徴としている。近年、批判的思考力の育成は大学教育からでは遅く、少なくとも高等学校段階で実施するのが望ましいとする議論もある。そのため本研究では、IBDPの英語科目を切り口に、批判的思考力を高める英語教育が国内でどのように実施可能なのかを探究する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は批判的思考育成を目指す英語教材の開発を主眼とし、教材を用いて高校生英語学習者の批判的思考の深まりを捉えた。この目的の実現のため、国際バカロレア(IB)プログラムにおける批判的思考指導の方略と高等学校学習指導要領の趣旨も踏まえた教材開発を行い、教材を使用して指導した結果を難易度判定の指標とテキスト分析により分析した。その結果、次の2点を明らかにできた。1) IBの批判的思考の方略が教師からの問いへの応答といった形式を採用していることを明らかにできた。2) 他の履修者との英語による対話が促されることによって批判的思考の深まりに良い影響を与える可能性が示唆された。一方、批判的思考の一要素である他者の視点への気づきや、反駁する態度への深まりが確認できず、調査対象者が情報を鵜呑みにしている可能性も示唆された. そこで、改定版教材の開発に着手し、高次思考力レベルの問いへの応答への抵抗を減らすために学習者同士のインタラクションを促すこと、反対意見を持つことや反論をすることを意識させるためにペアで書いたり話したりすることを促すことを考慮して教材を作成した。調査は国内の3つの高等学校で実施した。効果測定のために批判的思考態度を測定する尺度と、英語使用における批判的思考を測定する尺度を用いた。その結果、改定版の英語教材は学習者の批判的思考態度を育成することに有意であることを確認した。加えて、改定版の開発教材は英語使用場面での批判的思考態度の向上に有意であることを明らかにした。特に、テキスト分析の結果により 、1)異なる主張の提示数が増加したこと、2)根拠となる具体例の数が増加したこと、3)反対意見としての強い主張の数が増加したこと、4)反論としての提案や具体的な主張が示されたこと、5)文章に具体的な根拠が示されたこと、の5点を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、国際バカロレア・ディプロマプログラム(IBDP)の批判的思考指導に係る教育理論や哲学について整理・分析を行うことを目的としている。そこで、内実を明らかにするために国内のIBDP実施校で使用されている実物資料の分析に加え、授業の参与観察、教師へのインタビュー調査を実施し、IBDPの批判的思考理論と哲学の核を特定することができた。そして、特定した理論・哲学を踏まえた英語教材の開発に着手した。英語学習者が他者の視点に気付いたり、反駁したりする学習機会をもてるような理論的枠組みを組み入れることにより、英語使用場面において批判的思考態度を発揮できることを定量的・定性的に明らかにできた。 なお、本研究課題で得られた研究成果については、埼玉県教育委員会「国際バカロレア等特色ある教育検討事業」運営協力委員会委員(2022年度)として、IBDPの教育方法に係る研究の指導助言に活かすこともできた。学術論文・著書としては以下を刊行することができた。 〔共著〕赤塚祐哉, 菰田真由美, 安田明弘, 木村光宏. 2022.「IBの学習理論を踏まえた教材による批判的思考育成の検証ー授業場面及び英語使用場面での態度変容に着目してー」『国際バカロレア教育研究』6, 57-69. 〔共著〕御手洗明佳, 赤塚祐哉, 井上志音. 2023.『国際バカロレア教育に学ぶ授業改善-資質・能力を育む学習指導案のつくり方』北大路書房.(A5判192頁2023年4月刊行)
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の知見として、英語授業では、正解が1つとは限らない問いへの応答を中心とした指導によって、学習者の批判的思考育成に有意な効果がある可能性が示唆された。一方、これまでの研究では、英語熟達度が欧州言語参照枠(CEFR)でB1及びB2レベル(中程度のレベル)を対象とした知見は得られたものの、A1及びA2レベル(下位レベル)の英語学習者を対象とした知見は十分に得られていない。一般社団法人大学IRコンソーシアム(2019)による調査では、国内の大学1年生の現状として、書く力がCEFR A1・A2レベルに該当する者が51.7%、話す力は84.9%であることが報告されている。換言すれば、英語熟達度が低い層が分厚いものの、そうした学習者への教育効果については研究対象として十分に検証がなされていない。そこで、今後の研究課題として「英語熟達度が低い学習者が英語で話したり、書いたりする場面において批判的思考を発揮するためには、英語授業においてどのような『仕掛けづくり』が必要なのだろうか」を設定する。この目的の実現のため、教材開発と指導の方法の手立てを学術的知見に基づき検討する。具体的な手立てとして、外国語学習の環境が日本と類似している台湾のIBDP実施校、そして英語熟達度が低い留学生を対象とした英語授業プログラムを実施している英国のIBDP実施校を分析対象として加える。
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Report
(3 results)
Research Products
(12 results)