抗酸菌によるマクロファージの抗原提示抑制に関わるCerS2の役割
Project/Area Number |
20K17471
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 54030:Infectious disease medicine-related
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
花房 慶 順天堂大学, 大学院医学研究科, 博士研究員 (40867909)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 極長鎖脂肪酸鎖 / スフィンゴ脂質 / 抗酸菌 / マクロファージ / 殺菌 / IFN-γ / 貪食能 / 抗原提示 / CerS2 / Zymosan / 極長鎖脂肪酸 |
Outline of Research at the Start |
食胞における殺菌回避や細胞内寄生を特徴とする抗酸菌による感染症は、日本の患者数が世界最多である。本研究は、抗酸菌によるスフィンゴ脂質代謝を標的とした細胞内寄生・抗原提示抑制機構を明らかにすることを目的とした。 C24極長鎖脂肪酸を含むセラミドは食胞成熟に関わり、宿主免疫機構にはスフィンゴ脂質代謝産物が関与している。そのため、C24セラミドを合成する酵素CerS2に着目して、スフィンゴ脂質代謝産物がヒトマクロファージの抗原提示における分子機構をどのように制御しているかを調べ、抗酸菌による抗原提示抑制機構に迫る。本研究の成果は、抗酸菌感染症の新規予防・治療方法の開発に寄与することが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
結核菌やMycobacterium avium complex (MAC)のような病原性のある非結核性抗酸菌は、マクロファージに貪食されると食胞成熟を抑制することで細胞内寄生を果たし、さらには、抗原提示を抑制する。2022年度では、ホルボールエステルによりマクロファージ系に分化させた遺伝子改変を行なったヒト急性単球性白血病細胞株THP-1細胞に抗酸菌を貪食させてコロニー形成アッセイ法や局在観察を行った。遺伝子改変を行なったTHP-1細胞は前年度までに作製した極長鎖脂肪酸鎖を有するスフィンゴ脂質 (C24-SL)の生合成を担う酵素であるセラミド合成酵素2 (CerS2)をゲノム編集により欠損した株 (ΔCerS2THP-1)やΔCerS2THP-1にCerS2を過剰発現させた株 (CerS2RTHP-1)を使用した。その結果、CerS2の発現の有無によって非病原性抗酸菌であるMycobacterium smegmatis (MSMEG)の殺菌に影響があることや、食胞成熟の殺菌に重要とされるリソソームマーカータンパク質のMSMEGを内包した食胞への局在が変化することがわかってきた。これらの結果からMSMEGやMACの殺菌に重要な機構が存在すること、また、CerS2もしくはC24-SLが関与する食胞成熟の仕組みが存在する可能性を見出した。このような食胞成熟における分子機構を明らかにするために、現在は生化学的な解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の成果から、抗酸菌の殺菌における新たな機構やスフィンゴ脂質が関わる殺菌における分子機構が存在する可能性を見出した。しかしながら、それらの分子機構を明らかにできていないため、現在、解析を進めている。そのため、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果から、C24-SLが介する食胞成熟および殺菌機構が存在することがわかってきた。しかしながら、食胞成熟に伴ってSLの分子種の中でどの様な分子種が増減しているかは不明である。そこで、質量分析による定量的なSLの解析を行う。また、ヒト末梢血単球由来マクロファージのような実験系を用いて、THP-1細胞以外で同様の結果が得られることを殺菌や局在について解析する。ヒト末梢血単球由来マクロファージの解析においては、C24-SLが介する殺菌機構において重要な役割を担うタンパク質についてsiRNAによる遺伝子干渉法を用いた標的タンパク質のノックダウン条件下により検証を進める。以上の結果から、C24-SLが食胞成熟においてどのように重要であるか、また、抗原提示における役割を明らかにしていきたい。
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Report
(3 results)
Research Products
(21 results)