Project/Area Number |
20K17829
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 55050:Anesthesiology-related
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
南雲 一洋 群馬大学, 医学部附属病院, 医員 (10827588)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 周術期アナフィラキシー / 肥満細胞 / 好塩基球 / アナフィラキシー |
Outline of Research at the Start |
アナフィラキシーの発症には、主に好塩基球が活性化するタイプ、主に肥満細胞が活性化するタイプの2種類が存在するのではないかという仮説を立てた。その場合、好塩基球と肥満細胞のどちらが主役になるかは、アナフィラキシーの原因薬剤ごとに分かれるのか、あるい は個人の免疫細胞の反応性に依存するのかは不明であり、本研究で明らかにする。 さらに、免疫反応を引き起こす血漿蛋白にはIgE、IgG、補体があり、それらのうちどの蛋白が介在して免疫細胞の活性化が起きるのかを症例ごとに調べる。 このようにして、周術期アナフィラキシーの患者において、発症に関与する免疫細胞、免疫細胞と被疑薬を介在する蛋白を調べる。
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Outline of Annual Research Achievements |
アナフィラキシーは重篤で命にかかわる全身性の過敏(アレルギー)反応であるが、原因薬物を特定できない場合、アナフィラキシーを再現してしまう可能性がある。したがって、原因薬物を同定することは非常に重要である。 本研究の目的は、アナフィラキシー発症に係る肥満細胞の役割を調べ、肥満細胞が活性化するタイプのアナフィラキシー症例において原因薬剤を同定するための手法を開発することである。好塩基球活性化試験により周術期アナフィラキシーの発生機序を解明する研究を行ってきたが、一部のアナフィラキシー患者では、好塩基球ではなく、肥満細胞が活性化してアレルギー症状が引き起こされたことが示唆された。しかし、そうした症例では、原因薬剤を同定することが難しかった。そこで今回、ヒト由来肥満細胞のセルラインであるLAD2細胞を使用する実験により、肥満細胞を活性化させる薬剤を調べる。さらに、主に肥満細胞が活性化するタイプのアナフィラキシーにおいても原因薬剤を同定するために、肥満細胞活性化試験を行う。本研究により、アナフィラキシー発生機序についての理解が進み、予防法や治療薬の開発につながることが期待される。 昨年度は肥満細胞活性化試験に必要なLAD2細胞は安定して培養することができるようになった。培養したLAD2細胞を用いて予備試験を実施したところ、肥満細胞活性化試験に必要な受容体が発現していることが確認できた。 また、昨年度に引き続き今年度も、皮膚テストや好塩基球活性化試験により、アナフィラキシー症例の診断をおこない、情報の蓄積をおこなっている。症状と皮膚テストでアナフィラキシーと診断したが、好塩基球活性化試験は陰性となった症例も含んでおり、様々な知見を集めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りにアナフィラキシー症例の収集が進んでいる。肥満細胞活性化試験で原因が同定できるかもしれない症例も含んでおり、研究は順調である。 現在の問題は、LAD2細胞の安定的な培養が当初の想定よりも困難である点である。しかし、その原因を探索し、培養の手法を再検討することで、安定した培養をおこなう環境を整えつつある。 以上より、肥満細胞の培養については当初の計画よりやや遅れているが、その他の点については順調に進展しているため、総合的には研究はおおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き今年度の計画に沿って研究を推進する。LAD2細胞の安定した培養が可能になったため、肥満細胞活性化試験を導入し、好塩基球活性化試験のみでは評価できなかったアナフィラキシーの機序について評価をおこなう。LAD2細胞を用いてアナフィラキシー患者の血清で受身感作を行ったところ、LAD2細胞の活性化が確認できたことから、実際の検査においても有用となることが期待される。 また、アナフィラキシー患者自身由来の肥満細胞の培養が可能になれば、LAD2細胞やボランティア由来の肥満細胞を用いた受け身感作の手法も併用し、肥満細胞活性化試験のアナフィラキシーにおける診断的有用性を検証していく。
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