品種間差異を利用したハスの花の発熱・恒温性機能の解明
Project/Area Number |
20K21305
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 39:Agricultural and environmental biology and related fields
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
高田 まゆら (馬場 まゆら / 高田まゆら) 中央大学, 理工学部, 教授 (10466807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 洋平 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (00746844)
郭 威 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (70745455)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 送粉生態系 / 花の発熱 / 画像解析 / 自動撮影 / 深層学習 / 物体識別 / 画像処理 / 恒温植物 / 訪花昆虫 / 自動撮影カメラ / 花托 / 発熱メカニズム |
Outline of Research at the Start |
ハスは、花托と呼ばれる花の中心部分が発熱し、開花中約3日間 30度から37度の間に昼夜問わず維持される恒温性という機能を持つ。ハスの発熱・恒温性は訪花昆虫を花に誘引し送粉を促すためであると考えられているが、研究例は非常に限られておりその因果関係はよくわかっておらず、またその機能を維持する分子機構や遺伝的背景等も不明である。本研究では、多数のハス品種を対象に花托の発熱パターンを調べ、品種間での形態的及び遺伝的変異を利用することで、「発熱が訪花昆虫を誘引することで結実率を高める」という仮説の検証及び発熱・恒温性に関与する遺伝子の同定を行うことを目的としている。
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Outline of Annual Research Achievements |
ハスは、花托と呼ばれる花の中心部分が発熱し、約4日間の開花中30~37度の間に維持される恒温性という機能を持つ。本研究は、東京大学附属生態調和農学機構のハス見本園において複数の品種のハス花を対象に花托の発熱パターンを調べ品種間での形態的及び遺伝的変異を利用して、目的①ハス花の発熱が訪花昆虫を誘引するメカニズムの解明及び目的②ハス花の発熱・恒温性に関連する遺伝子の同定を行っている。目的①に関しては、複数の野外実験・室内実験の結果、発熱器官である花托の一部切除による発熱の程度の低下は雄蕊の開葯率を低下させること及び訪花昆虫を減少させることが示唆され、また雄蕊の十分な開葯には30度以上という高い温度が必要であることがわかったことから、ハス花の発熱・恒温性は開花2日目早朝という適切なタイミングで雄蕊を開葯させ、訪花昆虫を誘引する役割を持つことが示唆された。またAIによる訪花昆虫の検出に関しては、去年ミツバチ類の自動検出に成功した上、今年はハチ類、ハエ類、コウチュウ類について検出と同定モデルの構築するためのトレニングデータの作成し、これらのデータを用いた深層学習モデルの構築及びパラメータの調整を行っている。目的②に関しては、3年目のトランスクリプトームデータを取得するため、開花前後の花托温度変化の記録と花器官のサンプリングを実施した。昨年度に引き続き開花1日目(発熱)と開花5日目(非発熱)の花托、および開花1日目の花弁、雄ずい、雌ずいをサンプリングし、RNA-seqによる網羅的発現解析を実施した。前年度までの2回分の解析結果と合わせ3反復分のデータ解析を行い、発熱関連遺伝子と花器官形成関連遺伝子の発現動態をそれぞれ詳細に解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ハス花を操作した野外実験および室内により本研究の目的①の重要な仮説を複数検証することができたことから、概ね順調に進展していると言えるだろう。一方で、まだ十分な繰り返し数を得ることができていないため、今後は引き続き野外実験を継続する。またAIによる訪花昆虫の検出に関しては、タイムラプスカメラ(TLC200, Brinno Incorporated, Taipei)で撮影された訪花昆虫はサイズが極めて小さかったことから、二段階深層学習パイプラインの構築を行う。具体的には、開花したハス花の検出を行い、花の領域のみ画像から抽出をしてから、訪花昆虫検出モデルにある予定である。目的②に関しては、前年度までと同様にNovaSeq6000によるRNA-seq解析を実施した。前年度までに取得した2回分の反復データと合わせて3反復とし、GO解析やクラスター解析を実施した。その結果、全体で29683遺伝子の発現が検出され、開花1日目、5日目の花托において特異的に発現している遺伝子はそれぞれ211個、373個、検出された。この中には他の発熱植物で発熱への関与が報告されているAOX, UCPs, COX等と高い相同性を示す遺伝子が含まれていた。また花器官形成に関与するABCEクラス遺伝子の器官別の発現パターンも明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
目的①に関して次年度は、前述の通り野外実験・室内実験を継続する。またAIによる訪花昆虫の検出に関しては、モデルの精度検証を行うと同時に、複数類の訪花昆虫の行動分析をできるようにしていく。目的②に関しては、引き続き詳細なデータ解析を実施し、既報のAOX、UCPs遺伝子以外の発熱関連遺伝子の発現動態を明らかにするとともに、花器官形成に関与するABCEクラス遺伝子の環域(ホール)毎の発現パターンに注目し、コア真正双子葉植物とハスを含む基部群の植物種における花器官形成モデルの保存性についても検討する。
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Report
(3 results)
Research Products
(5 results)
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[Presentation] Detecting and Studying Honey Bees Visiting Behavior in Lotus Flowers.2021
Author(s)
Grison, S., Takada, M.B., Higuchi, T., Ishikawa, T., Baba, Y.G., Fukatsu, T., Guo, W.
Organizer
The 8th International Horticulture Research Conference.
Related Report
Int'l Joint Research
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