自然リンパ球を制御する細菌叢と活性化・抑制をコントロールするPD-1の役割解明
Project/Area Number |
20KK0360
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (A))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 49070:Immunology-related
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
佐藤 尚子 (高山尚子 / 高山 尚子) 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 専任研究員 (90732446)
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Project Period (FY) |
2021 – 2023
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥14,040,000 (Direct Cost: ¥10,800,000、Indirect Cost: ¥3,240,000)
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Keywords | 免疫応答 / 自然リンパ球 / 細菌叢 / 疾患制御 |
Outline of Research at the Start |
申請者のこれまでの研究により、胃にも共生細菌が存在し感染から防御的に働いていることを突き止めた。またこの防御機構には自然リンパ球(Innate lymphoid cell; ILC)が重要であるが、この制御にPD-1/PD-L1を介した制御機構が存在することが明らかになってきた。本研究では、感染やガン化に関与するILC1と細菌との関係性が示される結果が得られたので、発展的研究としてILC1と菌叢の関係性について解析を行う。また、国際共同研究によりマウスの供与を受け、in vivoでの応答を詳細に解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
自然リンパ球(Innate lymphoid cells・ILC)は、細胞の分化と機能により1型から3型の大きく3つに分類される(NK細胞などを加えたて現在は5つとする事もある)。ILCが持つユニークな機能と疾患との関わりにより、今なお世界的に競争が熾烈である。本研究課題は、申請者が発見・報告した3型自然リンパ球(ILC3)や近年報告した胃での2型自然リンパ球(ILC2)だけでなく、腸管や脂肪織内におけるILCと疾患との関係性について国際共同研究としてフランス・パスツール研究所のDr. James Di Santoと共に進めている。2020年からの世界的なCOVID19のパンデミックにより、申請者が所属する研究機関において海外渡航禁止令が発令され国外での研究活動が実質不可能であったが、2022年7月に制限付きながら解禁になった。そこで、2022年10月から11月にかけて渡仏しパスツール研究所にて研究活動を行った。 脂肪組織にも腸管と同様に1型自然リンパ球(ILC1)が存在する。しかしながら、腹膜炎とILC1の関係性についてはこれまで明らかになっていなかった。また通常、脂肪組織に存在するILC1はIL-7Raを発現しないことが知られている。申請者らの研究により、急性腹膜炎を呈したマウスモデルの解析では炎症症状の増悪と共にIL-7Raを発現するILC1が増加することが明らかになったが、その役割については未だ不明である。そこで、パスツール研究所では脂肪組織から産生される液性因子をLuminexを用いて網羅的に検出した。その結果、XCL1やCXCL2などの特異的なケモカイン産生が急性腹膜炎と共に脂肪組織から産生されていることを突きとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、研究代表者が所属する機関での海外渡航制限が緩和された後、すぐにフランスに渡航し実際の研究活動進めた。しかしながら、フランス国内でのテロ活動拡大とコロナ感染拡大に伴う治安の悪化およびそれに伴うシステム変更により、パスツール研究所ではセキュリティが強化され入所制限が厳しくなっており、短期の研究者受け入れは実質不可能になっている。そこで、今年度はパスツール研究所内の共同研究者にマウス実験を依頼し、検出に申請者が同行することで、より効率的に有益な研究成果を得られるように試みた。その結果、理研では行う事ができないLuminexによる液性タンパク質の網羅的検出を行う事ができ、急性腹膜炎を発症した際の脂肪組織での動態について詳細な情報を得る事ができた。現在は、パスツール研究所で得られた網羅的タンパク質解析結果と併せて、この急性腹膜炎モデルマウスにおいてIL-7Raを発現するILC1がPD-L1を介して脂肪組織と相互作用している結果を論文にまとめている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に入り、世界的なCOVID19のパンデミックもある程度の見通しがたち、日本においても渡航制限が実質解除された。しかしながら、パスツール研究所での短期滞在が実質不可能になったことより渡仏しての研究活動が難しく、今年度は申請書にて記載したNCR1-Creマウスを受け入れ研究室(パスツール研究所)から日本に輸入してRORgt floxと交配を進めるべくMTA締結を行った。現在は輸入の手続きを行っており、2023年5月末にはRORgt floxとの交配が開始できると考えている。前述のようにフランス・パスツール研究所での研究活動には制限があるため、現在はパスツール研究所ニューカレドニアにて引き続き研究開発を続けることを模索している。これまで、フランスパスツール研究所の受け入れ研究員James Di Santoとパスツール研究所ニューカレドニアの所長Marc Joanとはすでにオンラインによるミーティングを行い、実験計画についての打ち合わせを行った。今後は様々な臓器における自然リンパ球の役割解明に向け、国際協力を受けながら全力で研究を進めているところである。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)
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[Journal Article] A Japanese herbal formula, Daikenchuto, alleviates experimental colitis by reshaping microbial profiles and enhancing group 3 innate lymphoid cells2022
Author(s)
Zhengzhen Shi, Tadashi Takeuchi, Yumiko Nakanishi, Tamotsu Kato, Katharina Beck, Ritsu Nagata, Tomoko Kageyama, Ayumi Ito, Hiroshi Ohno and Naoko Satoh-Takayama
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Journal Title
Frontiers in Immunology
Volume: in press
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Peer Reviewed / Open Access
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