防食塗装の経年劣化を遠隔から定量評価できる目視を超越した赤外分光計測法の創生
Project/Area Number |
21H01213
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 18010:Mechanics of materials and materials-related
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
阪上 隆英 神戸大学, 工学研究科, 教授 (50192589)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤井 淳嗣 京都教育大学, 教育学部, 講師 (10744625)
久保 司郎 神戸大学, 工学研究科, 客員教授 (20107139)
小川 裕樹 神戸大学, 工学研究科, 助教 (50880788)
塩澤 大輝 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (60379336)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2021: ¥9,490,000 (Direct Cost: ¥7,300,000、Indirect Cost: ¥2,190,000)
|
Keywords | 材料力学・実験力学 / 非破壊評価・状態監視 / 赤外線計測 / 重防食塗装 / 鋼構造物 / 非破壊評価 / インフラ鋼構造物 |
Outline of Research at the Start |
鋼構造物の長寿命化ならびにライフサイクルコストの削減には,予防保全の導入が不可欠である.鋼構造物の腐食に対する予防保全での課題は,重防食塗装の劣化を早期に定量評価し,これに基づき防食計画を立案・実行することである.しかしながら現状では,これを可能にする非破壊評価法は存在しない.本研究の目的は,重防食塗装膜が有する赤外光の分光反射・吸収・透過特性に着目し,赤外線カメラを用いた分光画像計測ならびに分光特性に基づくマルチスペクトル逆問題解析に基づき,遠隔から構造物の重防食塗装の早期劣化を定量的に評価できる,「目視を超越した」全く新しい計測法を創生することである.
|
Outline of Annual Research Achievements |
橋梁,石油タンク,配管等のインフラ構造物の長寿命化ならびにライフサイクルコストの削減には,予防保全の導入が不可欠である.鋼構造物の腐食に対する予防保全での最重要課題は,限られたリソースの下で,鋼構造物の腐食に対する予防保全を実施するため,重防食塗装の劣化を早期に遠隔から非接触・非破壊で,効率的かつ高精度に検知するとともに,劣化進行度を定量的に評価できる非破壊評価法を開発することである.そこで,本研究では,重防食塗装膜が有する赤外光の分光反射・吸収・透過特性に着目し,赤外線カメラを用いた分光画像計測ならびに分光特性に基づくマルチスペクトル逆問題解析に基づき,遠隔から構 造物の重防食塗装の早期劣化を定量的に評価できる計測法を開発する. 2022年度には,計測に用いるハードウエアとして,対象物の分光特性を画像化できるハイパースペクトル赤外画像計測装置を完成させた.まず塗膜劣化模擬試験体に対して,ハイパースペクトル赤外画像計測装置を用いて,太陽光を光源に用いるパッシブ計測および照明光を用いるアクティブ計測により,塗膜劣化部位の検出および塗膜の残存厚さの定量評価を行った.さらに,完成した装置を用いて,実橋梁での塗膜劣化計測を行った結果,目視を上回る精度での塗膜劣化部位の検出が可能であることが明らかになった.また,ハイパースペクトル赤外画像計測装置の計測精度向上を目的として,一定周期で変動する照明の下での近赤外線強度変動データをロックイン計測する,アクティブロックイン計測法を開発した.アクティブロックイン計測法の有用性については,塗膜劣化模擬試験体を用いた計測,ならびに実橋梁での現場計測を通じて実験的に検証した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由 計測のためのハードウエアであるハイパースペクトル赤外画像計測装置を完成させ,アクティブロックイン計測のためのソフトウエアの開発も順調に進み,塗装膜試験体に対する赤外線計測に関する基礎検討は当初の予定通り順調に終了した.さらに,開発した計測システムによる実橋梁の塗膜に対する実験においても良好な結果が得られた.最終年度での検討項目の抽出も完了しており,研究遂行上の問題点は見当たらないため,「おおむね順調に進展している」と言える.
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2023年度には,計測システムの高精度化と実構造物への適用性確認を主要課題とする.具体的な研究実施計画を以下に示す. ①アクティブロックイン計測による塗膜劣化の高精度検出 変動するアクティブ赤外線照明の下で自己相関ロックイン計測法を適用することで,赤外線輝度値変動のみを抽出し,環境による外乱を除去した塗膜劣化検出を行う. ②データ解析法の高度化による塗膜劣化検出の高精度化 ハイパースペクトル赤外線計測データを処理し塗膜劣化部位を高精度に検出するため,ハイパースペクトルデータキューブに対するデータ解析手法(主成分解析法,スペクトルマッチング解析法)を開発する. ③実構造物の塗膜劣化検出 太陽光を用いるパッシブ計測および照明光を用いるアクティブ計測による塗膜劣化検知を行う.種々の鋼構造物の防食塗装に用いられている,様々な銘柄の塗料に対し赤外分光特性を計測し,特定帯域透過フィルタを用いた赤外線計測により高精度かつ高効率な劣化評価を行う.さらに,上述のデータ解析法を導入したハイパースペクトルイメージングによる高精度な塗膜劣化検出を行う. 長大鋼橋梁を主な計測対象とした現場実験を行い,本研究課題で開発したハイパースペクトルシステムの有用性を確認するとともに,社会実装に向けた問題点の抽出を行う.
|
Report
(2 results)
Research Products
(14 results)