C-O結合の表面活性化法を基盤とした新規クロスカップリング反応の開発
Project/Area Number |
21H01712
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 27030:Catalyst and resource chemical process-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金 雄杰 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (00761412)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2021: ¥9,230,000 (Direct Cost: ¥7,100,000、Indirect Cost: ¥2,130,000)
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Keywords | 担持金属触媒 / 表面活性化 / C-O結合 / クロスカップリング / 選択還元 / 再生可能資源 / 不均一系触媒 / 加水素分解 / 脱炭酸脱水素 |
Outline of Research at the Start |
持続可能社会の実現に向け、合成化学は従来の化石資源依存型から再生可能資源、例えばバイオマスを原料とする合成化学へのパラダイムシフトが必要である。本研究では、バイオマスの基本骨格に多く含まれるフェノール或いはアルコール類を原料とする合成化学の基盤を構築するために、合成化学的に極めて重要であるC-O結合切断を鍵とするクロスカップリング反応を開発する。本研究では、ターゲット反応を実現するための触媒設計指針、すなわちC-O結合の表面活性化法を新たに提案し、「持続可能合成化学」に向けての基盤技術を構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、触媒担体、特にリン酸塩担体によるC-O結合活性化法を基盤として、フェノール、アルコール、あるいはエーテル類と種々の求核剤、特に炭素求核剤とのクロスカップリング反応を開発する。2022年度はアルコール、エーテル、あるいはカルボン酸の加水素分解反応を中心に検討を行った。メタリン酸アルミニウム担持白金触媒(Pt/Al(PO3)3)を用いたアルコールの加水素分解反応に関して、赤外分光法(IR)により反応機構を検討した。Pt/Al(PO3)3を水素ガスにより前処理を行うと、水酸基の伸縮振動由来のバンドが触媒のIRスペクトルに新たに現れた。これは、水素分子がPtナノ粒子により切断され、続くスピルオーバーにより表面ブレンステット酸点が生成することを示唆する。種々のコントロール実験により表面ブレンステット酸点がアルコールの加水素分解反応に不可欠であることが示唆された。また、アルコールは担体表面のAl由来のルイス酸点に吸着することも示唆された。上記から、アルコールのC-O結合はAl由来のルイス酸点とH2に誘起された表面ブレンステット酸点の協奏により活性化されることが分かった。また、本年度はエステルの加水素分解反応についても、引き続き検討を行った。触媒としては、Pt/WO3-ZrO2が温和な条件下でエステルの加水素分解反応に高い活性・選択性を示した。反応機構の検討により、ZrO2の表面に生成したWO3ナノクラスターがエステルのC-O結合活性化に重要であると同時に、その水素貯蔵能が常圧水素下で反応が効率的に進行する鍵であることが明らかとなった。また、昨年度に続き、カルボン酸の脱炭酸脱水素反応に関しても検討を行った。この反応に関しては、基質をアルデヒド或いはアルコールにも展開できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度はアルコールの加水素分解反応について、赤外分光法により反応機構を検討し、C-O結合の活性化に関する重要な知見が得られた。これを触媒設計にフィードバックすることにより、更に高い活性・選択性を示す触媒を開発可能である。また、研究当初は予期しなかったエステルの加水素分解反応を極めて温和な条件下で促進するPt/WO3-ZrO2触媒を開発できた。これに関する成果をアメリカ化学会誌に論文として発表し、ジャーナルの表紙に選ばれた。また、カルボン酸、アルデヒド、アルコールからアルケンへの変換反応に関しても結果がまとまりつつあり、現在論文発表に向けて準備を進めている。以上のことから、本研究はおおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討により、表面ブレンステット酸点がC-O結合の活性化に欠かせないことが分かった。したがって、今後は触媒の担体をメタリン酸塩あるいはリン酸塩からリン酸水素塩に変えて担体効果を検討する。金属のリン酸水素塩を担体とし、これに種々の遷移金属を担持することにより、C-O結合の加水素分解反応を検討する。ここで得られた知見をベースに研究当初の目的であったクロスカップリング反応を検討する。また、リン酸塩担体に固持せず、エステルの加水素分解反応に効果的であったWO3-ZrO2などの複合酸化物担体に関しても検討を行う。これらに関して、分光学手法による反応機構の検討を適宜行いながら、効率的に触媒のチューニングを行う。また、カルボン酸、アルデヒド、あるいはアルコールの変換反応に関しても引き続き検討を行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)