零熱膨張ガラスの熱弾性散逸機構の解明とそのデバイス応用
Project/Area Number |
21H01776
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 28050:Nano/micro-systems-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塚本 貴城 東北大学, 工学研究科, 准教授 (70646413)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,760,000 (Direct Cost: ¥5,200,000、Indirect Cost: ¥1,560,000)
Fiscal Year 2021: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | MEMS / 振動子 / Q値 / 熱弾性損失 / MEMS振動子 / 零熱膨張ガラス / 低熱膨張材料の微細加工 |
Outline of Research at the Start |
MEMS技術を用いた振動デバイス,例えばジャイロスコープや基準周波数発振器は,その性能の向上のために,振動の質を表すQ値を高める必要がある.様々な要因がQ値を制限するが,そのなかでも熱弾性損失によるエネルギー散逸は不可避であり,これがQ値の上限を決めることが多い.そこで,原理的に熱弾性損失を零にできる可能性のある,零熱膨張ガラスを用いたMEMS振動デバイスの実現を目指して研究開発を行う.零熱膨張ガラスの精密加工方法の開発や,作製した微細構造体内でのエネルギー散逸機構の解明を目標とする.
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Outline of Annual Research Achievements |
MEMS振動子の熱弾性損失を極めて小さくできる可能性のある零熱膨張ガラスについて,その微細加工技術を研究開発した.通常入手可能な零熱膨張ガラスの厚さは数100マイクロメートル程度の厚さが有り,このままでは,微小振動子としては厚さが厚すぎる.そのため,シリコン等の支持基板に接合してから加工を始める必要がある.そのため,まず最初に,シリコンと零熱膨張ガラスの接合方法を開発した.硼珪酸ガラスとシリコンの接合に使われる陽極接合の技術を零熱膨張ガラスに応用する方法を考えた.接合可能な温度,電圧の条件を明らかにした.その後,シリコンと零熱膨張ガラスの熱膨張率差による反りを補正しながら研磨する方法を開発し,10マイクロメートル程度まで均一に零ガラスを薄くすることに成功した.さらに,零熱膨張ガラスの反応性イオンエッチングによる微細加工の方法を確立した.零熱膨張ガラスのエッチングの場合には,通常のフォトレジストはエッチングマスクとして不十分であることがわかったので,電気めっきによる金属(ニッケル)厚膜マスクを用いて加工を行った.その結果,反応性イオンエッチングにより零熱膨張ガラスが垂直に微細加工できることが証明された. また,零熱膨張ガラスを3次元MEMS振動子(半球振動子,HRG)に応用するための加工方法について研究を行った.HRG構造を作製するためには,予め深堀エッチングにより加工したシリコン基板と零熱膨張ガラスを真空中で接合し,その後,高温処理によりガラスを変形させる必要がある.そのための接合条件,研磨条件,高温加工条件を明らかとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,零熱膨張ガラスの加工に必要な,シリコン支持基板との接合技術,熱膨張率差を補正しながら研磨する技術,反応性イオンエッチングによる加工技術,高温熱処理による変形技術の開発が行え,振動子の作製の目処がついたため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,開発した技術を用いて,試験用のMEMS振動子を作製し,振動特性を測定する.特にQ値については,熱弾性損失の影響を評価するために,温度制御(特に室温よりも低い温度)が可能な真空試験環境を整備し,異なる温度環境で試験することで,熱弾性損失の大きさを評価する.これまでの研究成果から,零熱膨張ガラスの熱変形には,当初の予想よりもはるかに高い温度(1000℃程度)が必要であることがわかったため,3次元構造は作製可能ではあるが,零熱膨張ガラスの熱膨張率特性が悪化する可能性が高い.そこで,今後は,熱処理を使わない平面型振動子(片持梁やリングかた振動子など)に限定して実験を進める.
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)