Project/Area Number |
21H02065
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 37020:Chemistry and chemical methodology of biomolecules-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 克典 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (00403098)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2021: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 生体内合成 / がん治療 / 糖鎖 / 人工金属酵素 / マウス |
Outline of Research at the Start |
本研究は、これまでフラスコで行われていた有機合成化学反応をマウスのがんで選択的に行うことを目的とする。マウスの疾患の現地で直接、薬剤や生物活性分子を合成して機能を発揮させることにより、副作用なく治療する。
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Outline of Annual Research Achievements |
前年度に触媒的環化反応による生物活性分子の合成(分子合成)を実現したので、本年度では触媒的脱保護による生物活性分子の放出(分子放出)やがん組織への生物活性分子の触媒的複合化(分子複合化)も検討した。すなわち、金(III)触媒またはパラジウム(II)触媒を用いて、アセチレンを含む保護基に対する触媒的環化反応をトリガーとした、ドキソルビシンやエンドキシフェン抗がん剤の放出を実現し、抗腫瘍活性を発現させることができた。 一方、細胞表面リジン残基へのプロパルギルエステルによる金(III)触媒アミド化反応を用いて、様々なペプチドをがん細胞に選択的に導入することができた。接着阻害分子であるRGD誘導体をがん細胞に導入するとともに、がん細胞に導入することによって顕著な抗がん活性を示す分子を見出した。 さらに、これらの金属を含む人工金属酵素への「糖鎖パターン認識」の付加を行なった。本課題ではHeLa(ヒト子宮頸がん)、A549細胞(ヒト肺がん)、およびSW620(ヒト大腸がん)を対象のがんに設定した。予備的な成果から、HeLaにはalpha(2,3)シアリル化糖鎖とalpha (2,6)シアリル化糖鎖、A549はalpha (2,3)シアリル化糖鎖とグルコサミニル糖鎖、SW620には alpha (2,3)シアリル化糖鎖が選択的に認識することが分かっていたので、人工金属酵素の表面に対してこれらの糖鎖を「理研クリック反応」により導入した。このように「糖鎖パターン認識」を付与した人工金属酵素は、標的の細胞を選択的に認識した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、金属触媒反応を用いて、生物活性分子の触媒的放出や触媒的複合化を実現するとともに、人工金属触媒を標的のがん細胞に導入することができた。従って、抗がん活性の著しい向上を実現し、研究はおおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、本年度までに実現した触媒的環化反応による生物活性分子の合成(分子合成)、触媒的脱保護による生物活性分子の放出(分子放出)、さらにがん組織への生物活性分子の触媒的複合化(分子複合化)を利用して、マウス内での分子活性化による生体内での機能発現を試みる。特に次の2つのがん治療マウスモデルを用いた触媒的な分子活性化と機能発現、すなわち生体内合成化学治療を実現する。 (A)マウス内での固形がんに対する治療 マウスに移植した固形がんに対して、がんの抑制効果を検討する。特にシアリル化糖鎖を持つ人工金属酵素でターゲティングできるがんをマウスに生着し、薬剤をホベイダ・グラブスのルテニウム触媒で合成してがん治療を実施する。 (B)マウス内でのがん転移に対する治療 マウス転移モデルにおいて、人工金属酵素システムによる転移の抑制効果を評価する。すなわち、マウス内のがん細胞をターゲティングできる糖鎖付加人工金属酵素により、抗がん活性ペプチドをがん選択的に複合化して転移を阻害する。
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