Effect of CWD in forest soil carbon budget
Project/Area Number |
21H02250
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40010:Forest science-related
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
小南 裕志 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70353688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 智之 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (20633001)
深澤 遊 東北大学, 農学研究科, 助教 (30594808)
高木 正博 宮崎大学, 農学部, 教授 (70315357)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥14,560,000 (Direct Cost: ¥11,200,000、Indirect Cost: ¥3,360,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,540,000 (Direct Cost: ¥5,800,000、Indirect Cost: ¥1,740,000)
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Keywords | 枯死木分解 / CO2放出 / 細片化 / 土壌炭素 / 分解CO2放出 / 枯死木 / 土壌呼吸 / 森林炭素収支 |
Outline of Research at the Start |
森林の樹木は数百年もの寿命を持ち、大気からのCO2を吸収し樹体内に有機物の形で蓄える機能を持っているが、いずれ寿命や病気などで枯死する。枯死した樹木は主に微生物の働きで分解し、それとともにCO2を放出する。一方、分解されずに残った枯死木の一部は土壌圏に蓄えられ森林土壌の一部となる。これらの枯死木の炭素動態が森林生態系の炭素循環に与える影響を包括的に評価する。
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Outline of Annual Research Achievements |
伐採を伴わない天然性林においては、成長していく樹木も長期的にはいつかは枯死して分解系に供給される。NPP(純一次生産量)における樹木成長量の寄与は30~50%程度を占めるため樹病や風害などの攪乱が発生すると、長期に蓄えられた樹体成長分の炭素が一気に枯死木として発生するため、土壌呼吸や長期土壌炭素収支における枯死木の関与は大きい。また、枯死木は小型リターと比較して材内のリグニンなどの難分解性炭素含有率が高いため、その細片化は分解されなかった基質が残って土壌に供給される過程とも考えられ、小型リターとは異なるCO2放出特性を持っている可能性がある。このように複雑な要素を持った枯死木の分解過程を発生から土壌化まで包括的にとらえることは、長期的な森林炭素収支推定において重要な課題である。 本研究では全国5か所(宮城、埼玉、東京、京都、宮崎)のサイトにおいてコナラ枯死木(各約50サンプル)を2016年に設置し、枯死木周辺の土壌呼吸測定と並行して細片化枯死木サンプルと落葉起源リターのSIR(Substrate Induced Respiration)測定を行った。SIR測定は①サンプルを粉砕し②インキュベータでサンプルを25℃とし③含水比約2.5として、まず最適含水率のポテンシャルCO2放出量を測定し④つぎに濃度が約2.5%になるようにグルコースを加えて呼吸量を測定してポテンシャル微生物活性とした。細片化枯死木サンプルのポテンシャルCO2放出量は落葉サンプルの20~30%となり、難分解性の樹皮などの影響で低い微生物活性が観測された。一方枯死木周辺の細片化有機物堆積はこのポテンシャルフラックスの低さを補う5~10倍程度の有機物蓄積が見られた。枯死木細片化に伴う土壌炭素の増大は土壌蓄積の増加と土壌CO2放出の増大の双方の機能があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に全国5サイトにおいて枯死木周辺の土壌呼吸の多点測定を行い、枯死木からの距離による細片化した枯死木起源有機物による土壌呼吸ホットスポットの発生を確認した。これを受ける形で二年度は基質導入法(SIR法)による細片化枯死木と葉リターのポテンシャル呼吸量比較を行った。その結果細片化枯死木の機能として土壌呼吸と土壌炭素炭素蓄積のホットスポットの双方の機能を枯死木が発生ることができることを明らかにした。この段階で当初予想された枯死木が細片化していく過程で土壌炭素収支に与えうる影響の基本的な機能特性の把握に成功したといえる。この過程で小型の赤外線CO2アナライザを用いた多点土壌呼吸測定システムおよびSIR法測定システムの開発を行い、手持ちのツールボックスサイズに集積したシステムにより、遠隔の森林サイトにおいてもこれらの実験が可能なシステムおよびプロトコルを確立した。森林のCO2吸収の真の定量化においては発生する様々な枯死有機物が長期的に自身の姿を変えながらCO2を放出し、またより安定性の高い炭素となって土壌に蓄積してく複雑な過程を理解する必要があり、またより多くの状態の異なる森林における情報の集積が必要となることが予想され、本研究において開発された手法がその一助となることを期待する。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでで得られた知見をまとめて論文化を順次おこなっていく。測定に関しては枯死木が発生してから長時間が経過して枯死木本体が消失した場において細片化枯死木によって周辺よりも大きな有機物蓄積を起こした場所における枯死木影響によるものかどうかを識別するためにC13安定同位体分析による、より長期の分別過程を経た土壌有機物のΔC13上昇効果の評価を行う。さらに投影面積当たりで考えると大量の有機物を土壌に投入する過程であると解釈可能な枯死木発生が流域サイズでの可溶性炭素および窒素流出に与える影響(リーチング)評価が予想される。群落レベルでの攪乱発生に伴う炭素収支の変動評価はこのように森林群落自体だけではなく森林外へのアドベクション影響も当然発生すると考えられる。今後、森林の炭素収支評価およびその温暖化影響研究を考えると、このような森林の炭素収支の動的な変動が森林および森林が周辺に与える影響評価が必要となることが予想され、この研究に向けた広範囲なプロセス評価手法の開発を行う予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)