Project/Area Number |
21H02641
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47060:Clinical pharmacy-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
玉井 郁巳 金沢大学, 薬学系, 教授 (20155237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 大 金沢大学, 薬学系, 准教授 (40709028)
若山 友彦 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (70305100)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
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Keywords | 尿酸 / 高尿酸血症 / トランスポーター / NDFIP1 / CD38 / 痛風 / 尿酸結合タンパク質 / URAT1 / ドチヌラド / 受容体 / センサー / 脂質代謝 / 臓器間相互作用 / 薬物動態 |
Outline of Research at the Start |
尿酸の様々な組織・臓器・細胞への作用や血清尿酸値レベルは、生体の多様な因子によって調節されていると考えられる。しかし、関連因子情報は断片的であり、尿酸が何故ヒトにおいてのみ高いかなど基本的なことも含めて不明なのが現状である。本研究では、体内の尿酸を感知し、その情報を尿酸値調節や生体反応と結び付ける分子があると考え、それを尿酸センサーと名付け、その分子実体の同定を試みる。特に、高尿酸血症は高血圧や腎疾患あるいはNAFLDなど脂質関連疾患など多様な疾患との関連が示されており、本成果は高尿酸血症に伴う疾患発症機構解明へとつながるため、高尿酸血症と関連疾患の治療にも展開できると期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、何故尿酸がヒトで厳密に維持されるかという疑問に対して挑戦しており、その解決策として尿酸結合タンパク質となる“尿酸センサー”を同定することで血清尿酸値変動に伴う生体応答の全容解明を狙っている。R3年度までに、尿酸結合タンパク質として同定されたCD38について、尿酸一ナトリウム塩(MSU)から生じる尿酸結晶による発現上昇が観測され、CD38によるNAD+分解がNLRP3インフラマソームを活性化することを見出した。R4年度は新たに可溶性尿酸(sUA)の作用に着目した。その結果、MSUとは逆にCD38のNAD+分解酵素活性を阻害することを見出した。即ち、sUAはCD38阻害によりNAD+を維持し、炎症反応を抑制することを示唆した。本作用は、CD38遺伝子欠損マウスを用いたin vivoでも裏付けられた。したがって、高血清尿酸時ではMSUが生成して炎症が増大し、低尿酸時には免疫反応を抑制されてしまうため、正常な血清尿酸値維持の重要性を示唆する結果である。本成果はCD38が尿酸センサーであることを示し、投稿準備に至った。一方、新規に本邦で認可された尿酸排泄促進薬ドチヌラドの作用機構が、従来薬と比べURAT1選択性が高く、さらに強い作用を示すため、薬理作用の特徴づけに関する検討を進めた。その結果、ドチヌラドはURAT1に対しTrans-阻害作用を有することを見出した。本成果は、in vitro阻害試験で得られた阻害定数から推測されるよりも強いin vivoでの尿酸排泄促進作用を示すことを説明できる。さらに本阻害作用はURAT1を介する尿酸輸送の駆動力となる有機酸輸送阻害に起因することまで見出し、本成果も投稿準備中に至った。R5年度は、これら成果を学術誌に掲載するとともに、CD38以外の尿酸センサーの探索と、ドチヌラドがURAT1選択性高いメカニズム解明を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
R3年度までに、尿酸結合タンパク質として同定されたCD38について、尿酸一ナトリウム塩(MSU, monosodium urate)から生じる尿酸結晶による発現上昇が観測され、CD38によるNAD+分解がNLRP3インフラマソームを活性化することを見出した。即ち、CD38は尿酸センサーの一つとして見出された。R4年度は新たに、可溶性尿酸(soluble UA: sUA)の作用について検討を進めたところ、MSUとは全く反対に、CD38のNAD+分解酵素活性を阻害することを見出した。即ち、sUAによるCD38阻害によりNAD+が維持され、炎症反応を抑制することが示された。本作用は、正常マウスと比べてCD38遺伝子欠損マウスでは高尿酸時の炎症作用が低下する傾向が示され、in vivoでも裏付けられた。即ち、血清尿酸値が高い場合には尿酸塩結晶が生成し、低尿酸時には免疫反応を抑制することを示唆し、正常な血清尿酸値を維持することの重要性を示唆する結果となった。本成果は学術論文に投稿準備中までに至った。一方、尿酸排泄促進薬の作用機構の詳細を検討したところ、URAT1選択性の高いドチヌラドはTrans-阻害作用を有していることで、in vitro阻害試験で得られた阻害定数IC50から推測されるよりも強いin vivoでの尿酸排泄促進作用を示すことがわかった。さらにTrans-阻害作用機構はURAT1を介する尿酸輸送の駆動力となる有機酸輸送阻害に起因することまで見出し、本成果も投稿準備中に至った。以上、当初想定した以上の成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
新規の尿酸排泄促進薬ドチヌラドは従来からのベンズブロマロンなどに比べ尿酸再吸収トランスポーターURAT1に対する選択性が極めて高く、選択的尿酸排泄促進薬(SURI)と分類されるが、それが何故かは不明である。そこで、URAT1のタンパク質構造と尿酸排泄促進薬の化学構造から、結合部位をAlphafold2などin silicoにより予測し、結合部位に特徴があるかについて検討を進める。結合部位予測に基づいたURAT1のアミノ酸残基を置換するなどのアプローチにより、結合部位を実験的に同定し、URAT1以外のトランスポーターの構造上の特徴と比較する。URAT1選択的なドチヌラド結合部位に相当するアミノ酸残基の有無によりSURIの原因を明確にする。なおR4年度までに見出したドチヌラドのTrans-阻害に関する成果を論文化する。また、R4年度までに尿酸センサー候補タンパク質としてその意義を明確にしたCD38に対する可溶性尿酸の阻害作用に関する成果を論文化する。さらに、もう一つの尿酸センサー候補タンパク質のNDFIP1に着目した検討を進める。NDFIP1は生理・病理学的過程で働いている重要なタンパク質として知られており、それらとの関連からNDFIP1の尿酸センサーとしての意義を見いだす。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)