Project/Area Number |
21H04584
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 23:Architecture, building engineering, and related fields
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森 拓郎 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (00335225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
簗瀬 佳之 京都大学, 農学研究科, 准教授 (00303868)
田中 圭 大分大学, 理工学部, 准教授 (00325698)
宮内 輝久 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部 林産試験場, 主査 (20446339)
五十田 博 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (40242664)
中谷 誠 宮崎県木材利用技術センター, その他部局等, 主任研究員 (90433143)
石山 央樹 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90634436)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥41,730,000 (Direct Cost: ¥32,100,000、Indirect Cost: ¥9,630,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2023: ¥9,230,000 (Direct Cost: ¥7,100,000、Indirect Cost: ¥2,130,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,020,000 (Direct Cost: ¥5,400,000、Indirect Cost: ¥1,620,000)
Fiscal Year 2021: ¥13,260,000 (Direct Cost: ¥10,200,000、Indirect Cost: ¥3,060,000)
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Keywords | 耐久性評価 / 木質構造 / サステイナブル / 耐久設計 / 含水率 / 耐久性 / モニタリング / モデル化 / 長寿命化 / 中層大規模木造 |
Outline of Research at the Start |
サステイナブルな社会の構築において中規模な構造物に木材を利用することが頻繁に検討されている。中規模建築物においては、RCや鉄骨と言った他構造との構造的な併用、もちろん木造が主構造というものが考えられ、これら建築物が 他構造並みに長期間において信頼性を担保できることを示すことが必要となる。しかし、中規模構造に木材が利用されるようになってからの期間が短く、その事例に関する検討は進んでいない。そこで、中規模木造における事例の収集、木質材料の劣化に影響を及ぼす水との関係、長期利用のための保存処理の性能評価を実施し、基礎的なデータの蓄積を図り、中規模構造物への木材利用の耐久設計のガイドラインを提案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、課題1.木材と水分流入による寸法変化とそれに伴う接着耐久性及び部材・接合部強度性能に関する研究、課題2.鋼材及びコンクリートからの木材への水分移動による影響と部材・接合部強度性能に関する研究、課題3.大型木質材料用の耐久処理技術の検討とその耐久性評価、並びに強度性能に関する研究、課題4.中規模構造物への木材利用のための耐久設計のガイドライン、の以上4つの課題に絞り、検討を実施している。3年目は、課題1、2、3および4の検討を進めたので、それぞれの成果について具体に示す。課題1は、これまでの成果を基に小試験片での含水率計測の確からしさの検証を継続し、長さ方向への含水率(水分)移動の速さについてスギを対象に検討した。これらの成果については、日本建築学会中国支部にて発表した。課題2は、引き続き鋼材の結露に関する検討を進め、この成果について学会での発表をおこなった。加えて、実建物による計測を始めた。また、コンクリートとの水分移動については、引き続きCLTを床板とした実験的な検討を進め、含水率への影響が3層目以降にほとんど現れないこと、時間とともに15%前後まで含水率が回復することがわかってきた。この成果についても日本建築学会などで発表した。また、含水率の影響がCLTなどの接着性能に与える影響についても実験を進め、本成果も現在まとめている。課題3は、3年目に実施予定の寸法での暴露試験を統合した形ですでにはじめており、これらの結果も木材学会等で発表している。課題4は、含水率の影響範囲の検討を進め、またセンサーに必要な機能や評価方法の検討などを始めている。現在、課題1~3の実験については、前倒し気味におこなっており順調に研究は推移している。また、課題1~3については、知見の蓄積が進んでいるため、論文執筆を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題1.木材と水分流入による寸法変化とその速度に関する研究については、含水率の計測方法の提案と相まって、注目を浴びており、同様のデータの蓄積を目指す方々からの依頼が増えるなど、この分野における新しい知見となっている。含水率変化に伴う接着耐久性及び部材・接合部強度性能に関する研究については、課題3と連動しているため、課題3における集成材やCLTから切り出した試験片によるデータの蓄積は進んでおり、含水率の影響範囲の指定に向けて、2024年度にまとめを進めたいと考えている。これらのことから、順調に推移しているものと判断する。課題2.鋼材及びコンクリートからの木材への水分移動による影響と部材・接合部強度性能に関する研究については、金物の結露の影響要因の特定と対処方法について検討を進めており、学会での発表をおこなっている。また、実建物における計測を始めたところである。加えて、CLTとコンクリート材料における含水率の調査については順調に進んでおり、期間をかけると当初よりは高いものの木材の性能変化としてはわずかな状態まで回復することを明らかとし、十分に検討が進んでいるといえる。課題3.大型木質材料用の耐久処理技術の検討とその耐久性評価、並びに強度性能に関する研究については、新たな処理方法を用いた暴露試験体の設置も終わり、データ収集とその解析が、順調に進んでおり、学会の発表もおこなえていることから、概ね順調と判断している。また、企業との連携も進められており、社会還元としても良い成果が上がっている。課題4については、当初の予定通り、今年度から含水率の影響範囲とその強度への影響を基本として検討を始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
課題1については、ラボレベルでの検討として、長さ方向の検討をスギで実施してきたが、樹種による違いについても終了させたい。また、2年、3年の暴露試験から得られた接着や圧縮(支圧)性能の試験片の実験とそのデータ整理を引き続きおこなう。このようなデータは、他では見られないため、貴重なデータとなると考えている。課題2については、金物における結露実験についてはCLTを用いておこない、実建物においても実験結果を基にどのような条件で起こるのかなどを検討する予定である。加えて、コンクリートと木材の複合材料におけるそれぞれの材料の強度特性への影響について検討し、まとめる。木材側の含水率が回復することが確認されたため、この含水率の上昇期間による影響を限定的な元と確認できれば、耐久性評価には大きな成果であると考えるため、データ整理と考察を進めたい。課題3については、長期調査の建物を2棟確保しているが、さらに増やしたいと考えている。加えて、現地調査できる建物も増やしたいと思っており、来年度も実施を継続したいと考えている。この調査から得られた問題点を踏まえた実験を構築できるように検討を進める。また、現在実施している暴露試験ももう1年ほど継続しておこなう予定である。課題1のデータとしても少しでも長期のデータを蓄積することが重要であると考えているため、本試験体を有効に使っていく予定である。課題4については、課題1、2、3において得られた情報を整理しながら、木材側の含水率の変化が起こりやすい範囲とそれによる影響から、含水率による状態評価に良いと考える木口からの距離などについて検討を進め、耐久評価への貴重な情報をまとめていきたい。
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