英語の話しことばにおける機能語類連鎖の働きに関する基盤的研究
Project/Area Number |
21K00582
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02080:English linguistics-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
澤田 茂保 金沢大学, 外国語教育系, 教授 (00196320)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 話しことば / 文法 / 機能語連鎖 / 話ことば |
Outline of Research at the Start |
人は自分の意思を伝えるために(自由に)創造的に言語を産出するとされる一方、実際の言語使用を見ると、同じ語連鎖が繰り返し現れたり、以前に経験・学習したと思われる表現の使い回しが広く観察される。これを「定型性」という。 従来の定型性の研究では対象領域や定型を構成する言語形式を広く扱うために、その雑多性・多様性が前面にでてしまう。本研究では分析対象領域を英語の「話しことば」、とくに双方向で進行する談話に限定し、さらに定型の構成体として「機能語類から成る連鎖」という制約を設ける。これにより雑多性を押さえ、多様性を制限して、話しことばという特定領域における定型性の働きとその背後にある原理を探る。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「機能語連鎖(function word sequences)」の言語学的な意味付けを行うことである。その際、大きな問題となるのは「機能語(function words)」と「内容語(content words)」の区分設定である。昨年度の報告書にも書いたとおり、この区分設定はなかなか難儀する課題である。 区分設定の基準には「品詞」と「出現頻度」の二つある。まず、品詞概念は文構造の概念と同じなので、ある語を品詞で先験的に機能語であると決定できない。他方、機能語は文法機能を担うため出現頻度は内容語よりもはるかに高くなると考えられるので、出現頻度を基準とする考えも一理ある。だが、頻度自体が連続性概念であるため、機能語と内容語の断絶点の設定は理論的に不可能である。 二つの基準の折衷策を採用することとした。まず、開放系の主要四品詞(名詞、動詞、形容詞、副詞)以外の品詞は原則として機能語に分類する。出現頻度においては、コーパス言語学の成果を取り入れることとし、COCAのspoken genreの最頻度語100の動詞と副詞を機能語とした。この基準では、common verbsも機能語に入るので、本研究の機能語連鎖の領域を文レベルにまで広げることができる。この折衷的基準に依る機能語の特定により、機能語類連鎖の働きを調査研究することができる。 上記の方針に従って、2022年度は『話しことばでの機能語類連鎖の働きについて』の論考を表した。その際に、Biberのlexical bundlesとの関連性や談話標識の研究の接点についても触れて、機能語類連鎖研究の広がりについても言及した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の進捗状況が遅れている理由は以下のとおりである。 (1) 勤務大学で部局長に任命され、管理業務に多くの時間がとられたため、研究のための時間が取れなかったこと。(2) コロナ禍で母語話者の聞き取り調査などを自粛したために、母語話者との十分な議論ができなかったこと
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を遂行するには一定程度の時間を継続的に確保する必要があるが、勤務先大学での管理業務を優先せざるを得ないので、データ規模を下げて取り組む計画である。 当初計画では、コーパスデータ作成のために研究代表者が音声起こしを行ったラジオドラマのスクリプトについて正確さを期すために母語話者インフォマントと確認作業を行う予定であった。しかし、この作業は個々の事項を相互交渉的に行う必要があり、対面で密な環境を必要とするので、新型感染症の影響で自粛した。だが、2023年度は行動制限がなくなるので、インフォマントとの対話に依る聞き取りの活動を開始したい。 2023年度は本研究の最終年度である。成果の発表として、まとめの論考を著すことと、申請者が年来主張してきた話し言葉に基づく文法に関する研究のまとめの研究に綱アgることに取り組む。 まず、本研究の構想の下となった話し言葉の文法論のきっかけとなった研究がある。その研究に関わって専門図書(共著)を表す計画があり、話し言葉の文法教育についてその中の一章を割くことになった。その中において、本研究に関わる話し言葉の中での機能語類連鎖の重要性について記し、今後の研究を活性化させたい。 次に、話し言葉は書き言葉と違い、「場面性」と「リアルタイム性」がある。話し言葉が書き言葉と現われに異なりがあるのは、言語の違いではなく、モードの違いに起因するものである。他方、この二つの特徴に加えて、書き言葉には原理的に存在せず、話し言葉にのみ存在するもう一つの特徴がある。それは「応答」の形式の存在である。これは場面性・対面性と重なるところがあるが、書き言葉には「誰かが話して、それに応答する」ことが原理的に存在しない。他方、話し言葉には応答形式があふれていて、応答形式には本研究の機能語類連鎖が多用される。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)