性犯罪規定改正後に想定される実務上の諸問題に関する理論的研究
Project/Area Number |
21K01209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05050:Criminal law-related
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
嘉門 優 立命館大学, 法学部, 教授 (40407169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 司 龍谷大学, 法学部, 教授 (20432784)
山下 裕樹 神戸学院大学, 法学部, 講師 (20817150)
玄 守道 龍谷大学, 法学部, 教授 (60460721)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 性犯罪規定の改正 / 法制審議会 / ドイツの法改正 / 被害者の同意 / 抗拒不能 / 欺罔 / 不同意性交罪 / 性犯罪改正 / 故意 / 未成年者保護 / 事実認定 |
Outline of Research at the Start |
研究方法としては、先行研究や判例分析を踏まえた理論的な検討、比較法的な見地からの解決策の模索、実務家からのヒアリングなどによる実態調査、他の研究者との意見交換などを予定している。具体的な研究内容としては、第一に、性犯罪における被害者の同意の判断、第二に故意の認定、第三に、未成年者保護に関する検討、とくに、現在の監護者性交等罪が対象としている場合以外にも、一定の年齢未満の者に影響力を有する者による性交等を処罰するかどうかについて、第四に、被告人/被害者の供述証拠の信用性判断の在り方について検討を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会の意見として報告された、事務当局作成の要綱(骨子)案は、2023年2月17日の法制審議会(総会)に報告・採択され、法務大臣に答申がなされた。今年度はこの要綱案の制定時の議論を巡って研究を進めてきたが、その成果として、2022年5月に、関西学院大学で行われた第10回刑事法学フォーラム「刑事立法の動向とそのあり方」において「性犯罪規定の改正について」と題して、性犯罪改正に関する報告を行い、実務家も含めた専門家との意見交換を行った。さらに、その報告内容を踏まえて、要綱(骨子)案の問題点を検討し、立命館法学404=405号において「性犯罪規定の改正-要綱(骨子)案について」と題する論稿を公表した。判例研究としては、性犯罪改正の一つの契機となった判例(名古屋高判令和2・3・12 判時2467号137頁)について評釈を行い、「被告人が、同居の実子(当時19歳)が被告人による暴力や性的虐待等によって抗拒不能の状態に陥っていることに乗じて性交をしたとされる準強制性交等罪の事案において、抗拒不能状態を認定できないとして無罪を言い渡した原判決を破棄して有罪とされた事例」と題して、判例時報2517号に公表した。また、ドイツの性刑法改正状況を知るため、2023年3月に、講師として、ヨアヒム・レンツィコフスキー氏(ドイツ、ハレ大学教授)を龍谷大学にお招きして研究会を行った。講演内容については龍谷法学に掲載予定である。そのほか、性犯罪を専門的に研究する学外の研究者との検討会も行い、情報の取得に努めてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、性刑法改正に関する報告や論考を公表することができた。特に、要綱(骨子)案に関する検討をすぐに公表できたのは、それまでの学外の研究者との研究会を重ねて検討を深めていたことによるものが大きい。さらに、比較法的な研究として、ドイツのレンツィコフスキー先生をお招きして意見交換できたことは、本研究にとって非常に有意義であった。
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Strategy for Future Research Activity |
要綱(骨子)案が提出され、改正法の成立時期が迫ってきた(ないしは法改正後の)タイミングにあることから、本研究の目的としては、立法論議よりもむしろ、改正後に生じうる解釈上の論点に目を向け、今後の実務上の解釈指針となりうる理論的視座の提供を目指している。6月に開催される日本刑法学会のワークショップでは、以上の目的を踏まえて、共同研究を行い、専門家との間での意見交換を行う予定である。また、国外の研究者との意見交換もさらに進める予定である。さらに、法的な視点だけではなく、性的な同意に関する心理学的なアプローチをとる研究者との共同研究も進行中であり、そちらの成果も公表する予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)