Project/Area Number |
21K01753
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07090:Commerce-related
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
岩本 明憲 関西大学, 商学部, 教授 (10527112)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | AIDAモデル / Elmo Lewis / Sheldon School / サステナブル・マーケティング / サステナビリティ / SDGs / 4Ps / 消費者像 / マーケティング / マーケティングマネジメント / 三方よし |
Outline of Research at the Start |
本研究「マーケティング・マネジメント理論への学説史的構築」は,現在支配的なマーケティング理論のうち,とりわけ重要な骨格を成す4Ps(Price, Product, Place, Promotion)及び既存の短期の利益追求型のマーケティング観に対して理論的修正を図ると共に,日本企業に特徴的に見られる実際のマーケティング行動やその思想的背景をモデル化した新たなマーケティング理論の骨格を構築することを主眼に置いた研究である。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、主に二つの方向性で研究を進めてきた。第一に、広告論の理論的基盤の再評価を行うべく、広告効果モデル及び消費者行動モデルの基礎を成す(加えて、Rogersの新製品採用モデルの基礎とさえされている)AIDAモデル(Attention-Interest-Desire-Action)の起源を探究する研究に従事してきた。これは、現在の支配的なマーケティング理論である世界的マーケティング学者Philip Kotler(及びK. KellerやG. Armstrong)による『Marketing Management』及び『Principles of Marketing』における見解を大きく覆すものであると同時に、それらの見解が極めて杜撰な資料分析を通じて流布されたことを明らかにするものである。より具体的には、AIDA理論の起源は、長年(少なくとも約40年ほど)信じられてきたElmo Lewisの18世紀の研究成果ではなく、むしろ19世紀初頭のSheddon Schoolのセールスマン養成のために制作・出版された指導用テキストの中に見出されるというものである。この発見は、マーケティング理論全体から見ると、ごく僅かな貢献であるものの、現状において上記両テキストブックにおいて、数百もの参照資料が提示されている中で日本人研究者による研究が僅か一つしか見当たらない(しかも、それは日本の事例に関するケーススタディでる)ことを踏まえると、我が国のマーケティング研究が世界レベルで認められるための第一歩になると思われる。 第二に、サステナビリティ・マーケティングに関連して、最新の研究動向の追尾を行った。これらの準備作業は2023年度において実を結ぶものであり、引き続き研究を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の進捗状況に関しては、「やや遅れている」と言わざるを得ない。その主たる原因は、2022年度の研究成果を日本国内のみならず世界のマーケティング研究者にアピールするために、英語での執筆が求められたこと、そして、それを国外の有名ジャーナルに掲載すべく投稿し、査読結果に基づき、新たな対応に迫られたことに求められる。現在、マーケティング史の世界的学会であるCHARM(Conference on Historical Analysis and Research in Marketing)での発表の機会とProceedingsの掲載がアクセプトされたものの、2023年6月に行われる学会発表の準備に追われており、その後のジャーナル掲載を目指した投稿にも労力を振り向ける必要があるため、抜本的な改善は難しいと思われる。ただし、現在進捗中の研究は、上でも述べたように、世界でも類を見ない研究成果であり、また発表予定の国際学会も日本人では参加は三人目(CHARM2023に参加する日本人研究者は1名のみ)であることを踏まえる極めて貴重な研究発表の機会であり、研究の進捗と同じくらい重要な研究活動であるため、現在はそれに全力を注いでいる次第である。とはいえ、今年度後半は、新たなテーマに取り組むことが可能であり、その下準備も進めていることから、当初予定していた規模の研究成果を実現することは十分に可能であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の進捗方策に関しては、第一の最も重要なターゲットをサステナビリティ・マーケティングに据えて、研究を進める予定である。というのも、当該分野は、20世紀までの利潤追求、売上やマーケットシェアの最大化を前提としたマーケティング理論を根本から焼き直す理論であり、マーケティングミックスとしての4P戦略は元より、ターゲットに据える消費者像とその性質のカテゴライズ方法など、これまでのパラダイムとは異なる枠組みが必要であり、研究のインパクトが極めて強いと予想されるからである。 これを実際の研究成果として形に残すために、第一に、サステナビリティ・マーケティングの理論的特徴を明らかにすべく学説史的な研究に早急に取り掛かり、その後に、サステナビリティ・マーケティングが想定すべき消費者の研究に移行する。この研究は、世界的にも未着手のテーマであり、現在では単に「環境意識が高い消費者」と一括りにされている消費者像を大きく展開させる可能性を秘めている。というのも、現代の(日本ではSDGs)に関連付けられている消費者は、必ずしも環境(だけ)に関心があるわけではなく、自分が属する企業活動や、家族やコミュニティやその環境だけに関心があったり、それ以外にはあまり関心がなかったりするケースが既存研究で指摘されているものの、未だサステナビリティ・マーケティングという大きな枠組みには組み入れられていないからである。こうした理論的修正は、今後のマーケティング理論の進展にとって欠かすことができない理論的基盤になると思われ、国際的なインパクトも非常に大きいと予想されるため、残り少ない研究機関において、最大の研究のインパクトを生み出す上で極めて適切なテーマであると考えられる。
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