Nevanlinna theory and default functions on general spaces
Project/Area Number |
21K03299
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12010:Basic analysis-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
厚地 淳 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (00221044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 宏 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 教授 (90194919)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | ネヴァンリンナ理論 / グラフ上の拡散過程 / 有理形関数 / トロピカル幾何学 / ディリクレ形式 / 正則写像 / 値分布論 / Nevanlinna理論 / 破綻関数 / Liouville型定理 |
Outline of Research at the Start |
有理形関数に対して成り立つネヴァンリンナ理論を、空間の確率論的特性に注目して、様々な一般的な空間を定義域とする関数に対する理論に拡張する。まず、既知のトロピカルネヴァンリンナ理論をブラウン運動を用いて定式化する。さらに、ネットワーク上の拡散過程を用いて高次元トロピカルネヴァンリンナ理論の確立を目指す。また、ネヴァンリンナ理論の個数関数の一般化として得られる破綻関数を研究し、一般空間の劣調和関数の解析や、滑らかでない調和写像に対する Liouville 型定理を研究する。一般的なケーラー多様体上の拡散過程を用いて同次元ネヴァンリンナ理論を拡張する。
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Outline of Annual Research Achievements |
1.前年度まで取り組んでいたグラフ上のネヴァンリンナ理論の構築を、グラフ上の拡散過程を用いてデルタ凸関数に関するネヴァンリンナ理論として定式化し、研究を完成させた。特に、前年度までのトロピカルネヴァンリンナ理論の研究で不十分であった箇所を修正し、グラフ上の拡散過程がある種の再帰的条件を満たすときに、従前の研究で知られていた対数微分の補題が成立することを示した。この論文はComputational Methods and Function Theory(電子版)に掲載された。 2.古典的ネヴァンリンナ理論の発展的研究として、写像の変形に対するネヴァンリンナ理論の安定性について考察した。この副産物として、古典的なピカールの大定理の確率論的手法を用いた直接的な証明を与えた。 3.確率論的な値分布論的手法の拡張として極小曲面の存在領域についての研究を行った。極小曲面上のブラウン運動は、極小曲面の存在するユークリッド空間内の連続マルチンゲールと捉えることができる。確率的完備な極小曲面上のブラウン運動の持つ性質をマルチンゲールの持つ性質として捉えなおし、このような性質を持つマルチンゲールの族を導入した。これを極小曲面に付随したマルチンゲールと呼ぶことにする。このクラスに属するマルチンゲールの持つ性質を考察した。例えば次のようなことがわかる。3次元ユークリッド空間内の極小曲面に付随したマルチンゲールの標本路の凸包は、確率1でユークリッド空間全体または平行な2平面に挟まれた領域のいずれかである。また、このクラスのマルチンゲールは全空間、及び、半空間や平行な2平面に挟まれた領域以外の凸集合からは有限時間で脱出する。このような凸集合としては錐領域、筒領域が代表的な例である。さらに、これらの領域からの脱出時間の可積分性を評価した。これはBessaらの先行研究の精密化となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度に完成を見たグラフ上のネヴァンリンナ理論は、当初から目標としていた一般空間上のネヴァンリンナ理論に対する我々の手法の成果物として捉えることができる。よって、主な研究課題については、概ね順調に進展していると評価する。これは最近よく研究されるようになったトロピカル幾何学の一つの展開形であると考えている。トロピカル幾何学はその性質上、主に有限系を扱うが、リーマン面の理論とその上の関数論が閉リーマン面から開リーマン面へと発展したように、非コンパクトな研究対象=無限系としての無限グラフ上の関数論の類似を考えるのは自然な発展と思われる。本研究は必ずしも既存のトロピカル幾何学の研究を継承するわけではないが、有限系と無限系ではその研究手法、研究対象が全く異なっていたとしても不思議ではないので、一定の意味はあると考えている。そのほか、破綻関数の研究、および、その応用例として、ネヴァンリンナ理論の安定性という概念の導入や、極小曲面や調和写像への展開の基礎となり得る極小曲面に付随したマルチンゲールの概念の導入といった新しい研究も進展しており、研究全体としてもおおむね順調と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
一般空間としてのグラフ上のネヴァンリンナ理論の拡張・発展形として、グラフ間の調和射の値分布論について考察を進める. 2023年度までの研究ではネヴァンリンナ理論の手法を確率論的方法を援用することにより、グラフ上の関数のネヴァンリンナ理論として定式化したが、これをさらにグラフ間の写像の値分布論として展開することを考える. 特に、グラフ間の写像として調和射(harmonic morphism) を考える。調和射の概念は、元来リーマン多様体間の写像に対して考えだされた。調和射は調和関数を保存する、すなわち、写像の値域の多様体上の調和関数に調和射を合成した関数は、写像の定義域上の調和関数となる、という性質によって特徴づけられる。これを確率論的に解釈すると、調和射は定義域上のブラウン運動を値域上の時間変更を施したブラウン運動に写すことを示している。 グラフ間の調和射の概念は、浦川により導入されたが、そこでも調和関数の保存という性質によって特徴付けされている。ただし、浦川の論文では、グラフは重み付けされておらず、これを重み付けグラフに拡張する必要があるが、自然な拡張が可能と考えられる。このようなグラフ間の調和射についてはすでにいくつかの先行研究がある。例えば、有限グラフ間の調和射については、リーマン-フルヴィッツの定理の類似が知られている。我々は無限グラフの場合に、このような定理の対応物が何になるかに興味がある。そこで、まずネヴァンリンナの第1主定理の対応物、類似物に注目し、これについて研究を進める。
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Report
(3 results)
Research Products
(14 results)